試験研究は今 No.238「ホッキが貝殻の黒色化について」(1995年9月8日)

ホッキガイ貝殻の黒色化について

1.はじめに

  根室湾で漁獲されるホッキガイには、貝殻の色が茶褐色系のもの(銘柄名:茶ボッキ)と黒色系のもの(銘柄名:裏ボッキ)とがあり、茶ボッキは黒ボッキよりも品質や味が劣るとされ、根室地方では安い価格で取り引きされています(図1)。そこで、ホッキガイ資源をより価格の高いものとして利用する方法を探るため、平成5~6年に、根室湾中部漁業協同組合、根室市の協力のもとに試験・調査を実施しましたので、その結果について紹介します。

2.試験・調査経過

  • 平成5年度
黒ボッキが多いとされる漁場(黒ボッキ漁場)と茶ボッキが多いとされる漁場(茶ボッキ漁場)で海底の砂を採集し、分析を行いました。平成5年6月に、茶ボッキ漁場から採取した漁獲サイズ(平均殻長99ミリメートル、平均重量258グラム)のホッキガイ500個に標識(ダイモテープ)を接着して黒ボッキ漁場に移殖を行いました。
銘柄別のホッキガイの歩留まり、肥満度(貝の体積に対する剥き身重量の割合)、水分含量、グリコーゲン含量、遊離アミノ酸組成などを調べました。
  • 平成6年度
銘柄別のホッキガイの分布状況を調べ、銘柄によって漁場を黒ボッキ漁場と茶ボッキ漁場に分類してそれぞれの割合をみてみました。
銘柄別のホッキガイおよび移殖ホッキの歩留まり、肥満度、水分含量、グリコーゲン含量、遊離アミノ酸組成などを調べました。

3.これまでにわかったこと

  • 根室湾のホッキガイ漁場の面積割合は、黒ボッキ漁場が32.8パーセント、茶ボッキ漁場が67.2パーセントで、茶ボッキ漁場が多いと言う特徴がありました。
  • 黒ボッキ漁場は茶ボッキ漁場に比べて底質中に有機物か多い傾向があるようです。
  • 黒ボッキは茶ボッキよりも歩留まりがよく(図2)、肥満度も高い傾向がみられました。移殖ホッキは両者の中間的な値を示していました。
  • 黒ボッキは茶ボッキよりも水分が少なく(図3)、グリコーゲンが多い傾向がみられました(図4)。移殖ホッキは両者の中間的な値を示していました。遊離アミノ酸組成にはあまり差がみられませんでした(図5)。
  • 茶ボッキを黒ボッキ漁場に移殖して、5ヵ月後、12ヵ月後、16ヵ月後に回収して貝殻の黒色化の程度を調べたところ、貝殻が徐々に黒色化して16ヵ月後に回収したものは黒ボッキとして流通できることがわかりました。
    • 図2
    • 図3
    • 図4
    • 図5

4.おわりに

  茶ボッキを黒ボッキ漁場に移殖することによって、16ヵ月で黒ボッキにできることがわかりましたが、黒ボッキ漁場の広さやホッキガイの密度を考えると、大量の茶ボッキを黒ボッキ漁場に移殖することは困難です。

  また、経済効果を考えると、茶ボッキ移殖に要する経費と、茶ボッキを黒ボッキ化することによって増える漁獲金額と比較してみなけれぱなりません。

  いずれにしても、ホッキガイのみならず、漁獲物を少しでも価値の高いものとする工夫が、限られた水産資源を有効利用するためにはますます重要になってきていることには間違いありません。(根室地区水産技術普及指導所)(釧路水産試験場主任専技)

ページのトップへ