試験研究は今 No.264「ウニ栽培漁業函館ブロック協議会の活動について」(1996年5月24日)

資源管理型漁業と漁民意識

1.はじめに

  北海道ウニ栽培漁業協議会はウニ栽培漁業の推進方向や各地域の課題についての検討を行い、効率的にウニ資源の増大を図り、地域に根ざしたウニ栽培漁業の定着を促進させることを目的に設置されました。さらに、その下部組織として各地区における取り組みをより効率的に推進するため、各水産試験場に配置されている水産業専門技術員の担当区毎にブロック協議会が設置されています。今回は、函館ブロック協議会の活動について紹介します。

2.アンケート調査結果概要について

  函館ブロック協議会は、渡島・桧山支庁管内関係機関を構成員とし、海域的には、日本海・津軽海峡・道南太平洋と3つの異なった海域を抱えています。平成7年度事業として、アンケート調査を実施し、地域の現況の把握を行い成果と問題点を整理し、共通の認識のもと次年度に向けた具体的活動の策定を行いました。

  平成6年の全道のウニ生産高はエゾバフンウニ(むき身重量)で432トン・金額で56億円、キタムラサキウニで379トン31億円です。また、平成6年のエゾバフンウ二人工種苗放流数(購入放流)は全道で4,493万個放流されています。

  渡島支庁の生産高は宗谷についで2番目で、エゾバフンウニ数量は82トン・金額11億円、桧山支庁で12支庁中10番目5トン金額5億円で渡島・桧山合計で全道の生産量の20%を占めています。

  また、キタムラサキウニについては、全道の37%を占めています。

  一方、平成6年のエゾバフンウ二人工種苗放流数は渡島では1,157万個体と全道の26%で1番多く放流しており、ウニ栽培漁業への熱意が伺えます。アンケート調査は水産指導所を通じて各会員である漁業協同組合ぺ聞き取り調査方式で行いました。調査項目として平成元年から7年までのウニ人工種苗購入(受入)状況・購入種苗の用途。中間育成状況として施設の種類・育成期簡・開始時終了時の平均殻径・生残率・中間育成経費。また、放流後の状況として放流場所の底質・水深・放流方法・放流密度・放流後の成長・生残・放流効果。さらに、問題点の把握のために中間育成・放流後の状況について項目毎に選択方式による判断を記入してもらいました。組合別購入種苗の用途としては、篭などによる中間育成に56%、大型種苗購入による直接放流が28%、粗放的中間育成が14%、管理漁場への放流が2%となっています。

  篭による中間育成については日本海・津軽海峡では秋採苗の種苗を春先に6.5~8.3ミリメートルのものを2カ月半程度育成し13~18ミリメートルで放流しています。道南太平洋では春採苗の種苗を11~12月に7ミリメートル前後ものを半年弱育成し18ミリメートル前後で6~8月にかけて放流しています。生残率も80~95%と技術的問題点については特になく、中間育成経費の問題が上げられていました。

  粗放的中間育成は津軽海峡・太平洋で行われており、一般漁場や造成溝で5~8ミリメートルサイズや15~22ミリメートルサイズで1年弱育成して小サイズのもので20~35ミリメートル、大サイズのもので40~19ミリメートルまで育成、一般漁場へ放流しています。残留率にはぱらつきがあり、数%から81%で小サイズで平均26.9%、大サイズで平均46.6%でした。

  放流後の状況については、各海域共通に放流後の管理・生残・放流動棄についての問題を上げており、高水温や集中豪雨による繁死問題など、今後、放流の見直しを考えざるを得ない等、巌しい現実が上げられています。 これらのことから繁死に強いキタムラサキウニに対する要望も増えてきている現状にあります。
    • グラフ

3.平成8年度の取り組みについて

  平成8年2月26日に協議会の総会(検討会)を開催しエゾバフンウ二人工種苗放流マニュアルの説明・アンケート調査結果の報告及び平成8年度の具体的取り組みについて協議を行いました。日本海・津軽海峡・道南太平洋の各海域に各々テーマを持って指導所を核として各種事業を取り入れ実施していくこととしました。

  津軽海峡地区では、マニュアルに沿った管理によるエゾバフンウ二人工種苗放流実証試験。道南太平洋地区では同じく実証試験と斑点症のモニタリング検討調査。日本海地区では天然キタムラサキウニの種苗としての有効性の検討として、年齢別の成長及び歩留り調査を予定しており、各海域に適したウニ栽培漁業の定着によるウニ資源の増大を目指しています。(函館水産試験場 主任水産業専門技術員 伊藤雅一)

ページのトップへ