試験研究は今 No.283「函館水産試験場水産加工相談室情報1」(1996年11月1日)

函館水産試験場水産加工相談室 情報!

  函館水産試験場の水産加工相談室は、北海道大学名誉教授の羽田野六男氏を相談員に迎え、本年4月1日にスタートして8ヵ月を過ぎようとしています。

  相談件数は当初の予定よりやや少ないようですが、地元函館市周辺の加工業者からはもとより、東京都、千葉・茨城・神奈川県など道外からの相談が道内より多いという現況です。ここで、寄せられた相談のいくつかを紹介します。

○最初の相談内容は、羽田野先生の専門分野で白糠町の加工業者からのイクラに関する相談でした。
Q.イクラに含まれている生理活性を有する成分とはなんですか?
A.DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)です。
Q.DHA,EPAはイクラにどれぐらい含まれていますか?
A.DHAはイクラで1.28、塩イクラで1.85、醤油漬1.90(グラム/100グラム卵)EPAは生イクラで1.18、塩イクラで1.61、醤油漬1.77(グラム/100グラム卵)です。
Q.EPA、DHAの生理作用にはどんなものがありますか?
A.老人性痴呆症防止作用、学習機能向上作用、視力低下抑制、抗腫瘍作用血中脂質低下作用、血圧降下作用、抗血栓作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用、抗糖尿病作用などがあります。

○次に函館市、渡島・桧山支庁で産業的な問題となっているイカゴロについて茨城水試から照会がありました。
Q.イカゴロの処理と利用方法について教えて下さい。
A.処理については当地では民間処理会社へトン当り7,000円の処理量を支払っています。1日の処理量は60トンで未処理の過剰分は凍結しておいて後日処理しています。利用法としてはイカゴロを戦中、戦後の一時間、醤油代用品として魚醤を製造、あるいは塩酸水解によるアミノ酸液の製造も行われていたが、現在では行われていません。製造法の改善(脱脂脱臭)によっては製品化の可能性もあります。

○イカについて水産庁の中央水産研究所から照会がありました。
Q.スルメイカの鮮度と肉質との関係について教えて下さい。
A.外観的な判定の仕方で、新鮮時では漁獲直後のイカは全体に透明感があり、胴部(外套膜)の表皮は黒褐色あるいは赤褐色で表皮の色素胞は活動しています。筋肉は半透明で硬直状態です。逆に鮮度が低下した場合は表皮は白色化し、筋肉は透明感がなくなるとともに弾力も失います。

○次に渡島管内随一の水揚げ金額を誇るホタテガイについて長万部町の加工業者から照会がありました。
Q.玉冷ホタテを解凍したときに赤褐色の斑点が出ている、この原因と水ぶくれについて教えて下さい。
A.赤褐色斑点の発生は海水中に常在している次の4つの菌の付着が原因です。
(1)ビブリオ、Fグループ
(2)ビブリオ アルギノリチカス
(3)ビブリオ アンギュラルーム
(4)ジュードモナス属

  しかし、これらの菌は食中毒原因菌とは別種であります。

  水ぶくれは貝柱に傷があると先程の菌が付着、侵入し、一種の化膿症状になり、それが原因になります。対策ですが、この菌は夏季になると海水中に多くなり、常に付着することが考えられるのでホタテの処理時に貝柱に傷をつけないこと。また、ボイル後は急冷すること(20~25度で長時間おくことを避ける)。生のまま出荷する時は塩素殺菌が必要です。

 ○東京のNHKからはウナギの効用(栄養成分、蒲焼の夏バテ効果など)について電話が入りました。
A.ウナギの旬は夏ではなく、下りウナギの秋です。夏の土用のウシの日は特に旬とは関係ありません。土用のウシの日は江戸時代の平賀源内がウナギと結びつけたもので土用とウナギの関係は科学的根拠はありません。強いて言えば脂肪分がウナギに多いので夏バテ防止になるのではないでしょうか。また、ウナギを刺身で食べないのは血中のイクチオヘモトキシン・(タンパク性)という毒素があるからです。この毒は加熱するとタンパクが変性して無毒になります。栄養価を言う時には「生」ではなく、「白焼き」「蒲焼」の状態で論じるべきでしょう。

  ちなみにこの内容は7/18の「生活ほっとモ一二ング」で放映されました。(函館水産試験場 企画総務部 主査 八木 弘幸)

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