試験研究は今 No.292「新たに開発されたウニ進入防止フェンスについて」(1997年1月31日)

新たに開発されたウニ侵入防止フェンスについて

はじめに

  近年、日本海では磯焼けが進行し、海藻類の繁茂が思わしくないことから、コンブの単産減、ウニ類の身入り不良、アワビの成長不良等が大きな問題となっています。

  この磯焼けの持続要因としてウニの食圧が大きいことは、水産試験場等が中心となって行った実証試験で明らかでありますが、海藻群落の形成には、海藻類の芽生えの時期である冬季に一定区域からウニ類等の植食動物を除去してやる必要があります。

  しかし、これまでのウニ侵入防止装置では、ウニ除去後も再びウニの移動侵入が見られ、定期的に除去を繰り返さなくてはならなかったり、装置自体が波浪で破損したりしていました。

  この程、渡島西部指導所と函館水試専門技術員により、画期的なウニ侵入防止フェンスが開発されましたので、その概要を紹介したいと思います。

装置の概要・原理

  図の様に、基本的にはチエーンと棒鋼を組み合わせたものです。
  1. チェーンは、(1)海底地形に密着し、凸凹岩盤や転石地帯でも隙間を防ぐことが可能であり、(2)比重が大きく、波や潮流に対し固定力が高い。
  2. 棒鋼は、(1)網地がピンと張らず、フワフワとして掴みどころが無いためウニ類は乗り越えることができない。また(2)ウニ類はこのようなユラユラし、不安定なものへの接触を嫌う。
といった性質を巧く利用したものです。

開発試験の結果について

  ウニフェンス開発予備試験として平成7年度に松前で行った試験結果の概要をお知らせいたします。

1.試験・調査の日程、方法
  冬季(12月初旬)にウニフエンスで一定区画を囲うように設置し、内部のウニを除去。翌春(4月初旬)海藻繁茂状況、ウニの分布調査を行いました。

2.海藻の繁茂状況
  12月は磯焼け状態でフェンスの内外とも海藻の繁茂は全く見られませんでした。4月の調査ではウニフェンスの外は海藻総重量で0.3キログラム/平方メートルと僅かな着生が見られましたが、ウ二フェンス内は2.3キログラム/平方メートルと海藻群落を形成し、良好な繁茂が見られました。

3.ウ二の密度の変化
  12月の調査で1平方メートル当たりの平均密度は、フェンスの外は6.8個/平方メートルでありフェンス内は0.2個/平方メートルでした。約4ヵ月後、フェンスの外は、12.0個/平方メートルに大幅に増加しましたが、フェンス内は0.8個/平方メートルとわずかの増加にとどまりウニがフェンス周辺に蝟集しているにも拘わらず、フェンス内には殆ど侵入出来なかったことを示しています。
    • 図1
    • 磯焼け地帯に設置されたウニフェンス

今後の利用方法

  概念図に示したように、ウニフェンス内に蝟集海藻を繁茂させ、適正な量のウニを移植して身入りさせて漁獲することか可能となります。

  将来的にはこの方法を輸採制の形をとって事業化することが考えられフェンスの有効利用が期待されます。

  なお、ごの技術は道職員の勤務発明として認められ、広く普及させるため現在特許出願中であります。(水産部 主任専技、函館水試 主任専技、渡島西部地区水産指導所)

    • 概念図

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