試験研究は今 No.295「カレイ刺し網漁具の漁獲機構解明調査-編み目の選択性について-」(1997年2月28日)

カレイ刺し網漁具の漁獲機構解明調査 -網目の選択性について-

はじめに

  カレイ刺し網漁業には北海道の沿岸漁業者の多くが関わっています。近年、資源量の減少や魚体の小型化により、管理対策が求められています。

  そのため、網目規制や体長制限などの対策を進めていくには、どのようにしてカレイが網に掛かり(羅網)漁獲されるか、また、目合(網目のサイズ〉や締結(イセ;網を教説する時、細面(網幅と網丈)を確保するように網糸を菱形に形作る際の縮尺割合)といった漁獲機構の解明が求められています。このため網走水試は平成5年から3年間、サロマ湖のクロガシラカレイをモデルにカレイ刺し網漁具の漁獲機構解明調査を実施しました。

用いた漁具と調査結果について

  調査に用いた刺し網は縮結が60パーセントで目合が2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8寸までの6種類と、目合が合が3.2寸で縮結が40~80パーセントの5種類です。なお網幅は60メートル、網丈は2.3メートルに全て統一しました。カレイ刺し網では縮結の違いによる網目の形状が漁獲性能を左右する要因となっていることが分かっていますが、体長組成については各縮結間で差が認められませんでした(図1)。このことからクロガシラカレイに対する刺し網の選択性は縮結とは無関係で、目合によって決定されることが分かりました。

  また、漁獲物の測定時にネットマーク(編の跡)の部位を調べたところ、第一血管棘付近(J)と側線より上側のB、C、Eに多く残されていました(図2)。

  サケ等のように紡鐘形の魚では胴局長が最大の部位で網に掛かりますが、カレイ類では羅網部位が普通の魚とは異なり、クロガシラカレイの羅網部位は腹鰭基部胴周(GPel)と第一血管棘から背鰭後縁の胴周(Gand)との間にあると考えられました(図2)。
    • 図1
    • 図2

網目選択性曲線の推定

  そこでGPelとGandとの間の形態の関数として示される羅網の確率(セーチンのモデル)を用いて網目選択性曲線を推定しました。

  体長階級別の平均胴周良と体長の関係を調べたところ、右上がりの直線で表することができ(図3)、この関係からモデル作成に必要な要素を求めて選択性曲線を描きました(図4)。このように、大きな目合の曲線ほど右側にずれていて、その頂点も高くなっていました。これは目合を拡大すれば大きな魚が捕れ、大きな目合ほど漁獲効率が良いことを示しています。例えば、サロマ湖では体長20センチメートルの雌のクロガシラカレイを最も効率良く漁獲出来るのは、3.2寸の網ということになります。この選択性曲線は実際の漁獲物ともよく一致することが分かり、モデルの妥当性が確認されました。
    • 図3
    • 図4

おわりに

  ところでカレイ類は一般に雄に比べて雌の体長が大きく、目合を拡大すると雌がたくさん捕れるようになります。3.6寸以上の目合で漁獲されたサロマ湖のクロガシラガレイは漁獲物の70パーセント以上が雌でした。従って目合を大きくしていけば、小型魚を保護する一方で、雌を多く漁獲することにもなり、資源に悪影響を及ぼしかねません。そのため、海域毎に雌雄の体長組成を考慮して適正目合を選定することが、資源管理上重要と思います。(網走水試 資源管理部 横山信一)

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