試験研究は今 No.325「スケトウダラ陸上凍結品の品質評価」(1997年11月21日)

スケトウダラ障上凍結品の品質評価

はじめに

  近年、紋別近海ではホタテガイの漁獲量の増大と、スケトウダラの漁獲量の減少により、市内加工場の処理体制も大きく変化し、冷凍すり身、すきみ、フィレーブロックなどの処理加工施設が減少しています。

  こうしたことから、まとまった量のスケトウダラが鮮魚で水揚げされてもこれらの処理に対応できる加工場は極めて少なく、スケトウダラ等の多獲魚処理体制の弱体化→魚価の低迷→漁獲意欲の減退の悪循環により、紋別地域での水産業全体の縮小が懸念されています。

陸上凍結品は餌料

  スケトウダラの船凍品は、加工場の稼動状況に合わせて解凍され、フィレーブロックなどの原料として用いられています。しかし、紋別近海で操業する沖合底曳き網漁船では凍結設備に限界があり船凍品は製造されていません。さらに、現状での陸上凍結品は船凍品に比べ品質的に劣るため餌料に利用されているにすぎません。

高品質な陸上凍結品の開発にむけて

  これまで述べたような背景から、従来の船凍品に匹敵する品質のスケトウダラ陸上凍結品を適宜供給するシステムの開発が望まれています。

  そこで今回は、スケトウダラ陸上凍結品の晶質に対する漁獲後の処理および凍結方法の影響について、地元の業者と共同で検討を行いましたので、その結果の概略について紹介します。

試料および方法

1)試料の調製
原料は96年5月にオホーツク海で沖合底曳き網漁船により漁獲されたスケトウダラを用いました。漁獲後、表1に示したように、船上で過冷却処理、箱詰め処理を行い、それぞれの処理区分を陸上で一般および急速凍結を行いました。なお、比較のためカムチャッカ半島南東沿岸で96年11月10日に漁獲・製造された船凍品を対照として用いました。

表1 資料の調整方法
船上処理および陸上での凍結方法(船上処理の時間:約20時間)
  1. 船凍品(対照)
  2. 過冷却処理(3度以下の海水に浸漬)後、 急速凍結(-45度)
  3. 過冷却処理(3度以下の海水に浸漬)後、 一般凍結(-30度)
  4. 箱詰め処理(船上放置、外気温約10度)後、 急速凍結(-45度)
  5. 箱詰め処理(船上放置、外気温約10度)後、 一般凍結(-30度)
・急速冷凍:コンタクトフリーザー(-45度)、凍結時間約6時間、終温-18度
・一般冷凍:エアーブラスト(-30度)、凍結時間約8時間、終温-15度

2)品質評価
各試料を経済的に解凍し、品質評価の指標としてK値、ドリップ量、塩溶性タンパク質量を個体ごとに測定しました。

結果

  今回の試験では、スケトウダラ陸上凍結品の品質をk値、ドリップ量および塩溶性タンパク質量で評価しましたが、処理および凍結条件の違いによる品質の評価結果はそれぞれの指標により異なっていました。以下にその概略を述べます。

1)鮮度の指標とされるK値では、急速凍結(表1(2)(4))の方が一般凍結した場合よりも優れていると判定され、さらに、急速凍結した場合では、過冷却処理と箱詰め処理に差は認められませんでした。
なお、一般凍結(表1(3)(5))の場合、過冷却処理(表1(3))を施した方が品質的に優れていると判定されました。
2)フィレー製品などの品質指標となるドリップ量では、過冷却処理後に急速凍結(表1(2))した場合、最も優れていると判定されました。しかし、他の処理・凍結方法(表1(3)(4)(5))では、明瞭な差は認められませんでした。
3)すり身原料としてみた場合、タンパク質変性の指標である塩溶性タンパク質量については処理・凍結方法による明瞭な差は認められませんでした。
4)船凍品との比較

それぞれの指標を用いて、船凍品と陸上船凍品の品質を比較すると、K値では過冷却処理を施した場合では凍結条件によらず船凍品よりも優れていました。また、
ドリップ量では、過冷却処理・急速凍結品でも船凍品より劣る結果となりました。
さらに、塩溶性タンパク質量では処理・凍結方法に係わらず船凍品との差は認められませんでした。

今後の課題

  以上に述べてきたことから、今後、処理および凍結方法の異なるスケトウダラ陸上凍結品から、実際に各種加工品を製造し、それぞれの加工原料としての適性と各種品質評価指標の対応を検討する必要があるものと考えられました。

(網走水産試験場紋別支場 福士 暁彦)

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