試験研究は今 No.330「バカガイ調査用の小型噴流式けた網について」(1997年12月23日)

バカガイ調査用の小型噴流式桁網について

はじめに

  バカガイ(通称エゾバカ)は全道の砂浜海域に広く分布しています。とりわけ桧山支庁管内の道南日本海沿岸の漁獲金額は1.41億円(平成3~7年、5年間の平均)で、浅海漁業生産額の19.7パーセントを占め、ウニ、アワビに次いで貴重な浅海資源となっています。そのため、浜からは適切な資源管理の指導や増殖手法の開発が求められています。

  函館水試では、平成2年から浮遊幼生や沈着稚貝の出現量や分布、稚貝の成長などを調べてきました。平成8年からは、さらに沈着以降の幼稚貝の分布、成長、減耗などを把握し、資源補充の仕組みを明らかにするとともに、種苗放流のための適地を調べることにしています。バカガイは、一般の操業では桁幅1.52~1.9メートルの「バカガイ桁網」を漁船の推進力で曳くという結構荒っぽい方法で漁獲されています。このため正確な曳網距離は不明です。また、袋網の目合も7.5センチメートルと幼稚貝が抜けてしまう程大きく、これを幼稚貝の定量的な調査に用いることはできません。そこで、主に漁獲サイズまでの幼稚貝を対象とした調査用の桁網を製作しました。

桁網の構造概要

  図の様に、近年ホッキガイの操業で一般的に用いられている噴流式桁網を小型にしたものです。似たような桁網に釧路水試と浜中漁協が考案、設計したホッキガイ幼稚貝専用の小型噴流式桁網などがあり、それらも参考にしました。
    • 図
 大きさは本体部の幅50センチメートル、長さ76センチメートル、高さ24センチメートル、重量約40キログラム、網口部の幅50センチメートル、高さ20センチメートル、袋網長100センチメートルで、袋網は目合4ミリメートル(モジ網)を用意しました。バカガイ幼稚貝の調査用に工夫したのは、次の様な点です。

(1)水流を送るノズル管部を2カ所に取付け、それぞれの噴射再度を自由に変えられます。
(2)袋網に入った漁獲物はファスナーの開閉で取り出せ、回収に便利です。

なお、噴流水を送るエンジンボンブは5馬力のものを、ホースは50ミリメートルの消防用ホースの合織のものを用いています。

網桁の曳網方法は、船首から30キログラムアンカーを投入して船を固定し、船尾から投入した桁網をドラムで20メートル巻き取っています。曳網速度は約4メートル/分で、曳網距離は巻き取ったロープから求めています。曳網面積は10平方メートルです。

桁網の採集効率

  今年の9月に、江差町伏木戸漁場において、この桁網の採集効率調査を行いました。潜水により採集した曳網前後の密度を比較した結果、83.1パーセントと算出されました。採集効率は、底質の状態や水深、海面のナギの状態などによって異なると思われ、噴流水を送るエンジンポンプの出力を変えることである程度調節できます。来年も再度この調査を行い、値を確定したいと考えています。
    • 表

おわりに

  水産生物の生態調査では、まずその対象生物を定量採集する必要があります。道南日本海沿岸のバカガイ幼稚貝調査でも、この漁具を用い定量調査が可能となりました。それにしても、小型の桁網とはいえ調査用具一式となると桁網のほかにエンジンポンプ、ホース類、曳網用ローブ、アンカー用ローブ、そして時にはアンカーと借上ボンゴ車の荷台が満杯になってしまうほどです。さらに船上では調査員が船首と船尾に分かれず連携よく採集作業を進めなければなりません。

  地元の組合員である船頭さんをはじめ、町水産課の職員、関係水産指導所め皆様のご協力を得て遂行しているところです。

(函館水試 資源増殖部 嶋田宏 伊藤義三)

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