試験研究は今 No.334「エゾバフンウニ人工種苗の放流実態について」(1998年2月13日)

ゾバフンウ二人工種苗の放流実態について

はじめに

図1
  エゾバフンウ二人工種苗の放流は種苗生産施設の増加とともに近年急激に増加
し平成7年の放流実績は80漁協で約5,010万粒に達していますが、今ひとつ目に見える形で放流効果が現れていないのが現状です。これ対にし、平成7年には放流から漁獲に至るまでの技術を紹介したウニ人工種苗放流マニュアルが発行されました。また、平成7年度より活動を開始した各水試エリアのウニ栽培漁業協議会では、マニュアルを活用しながらモデル地区での取組などを通して地区に応じた技術の開発を行っています。

  そこで今回は、全道ウニ栽培漁業協議会で報告された各地の放流事例をもとに各地区のエゾバフンウ二人工種苗の放流実態を図-1に示した日本海海域(宗谷岬~白神岬)、道南太平洋海域(白神岬~地球岬)、道東太平洋海域(地球岬~知床岬)の3つのブロックに分けて紹介します。

1.種苗放流数と殻径別内訳

  平成7年度におけるエゾバフンウ二人工種苗の放流数は全道で約5,010万粒で日本海、道南太平洋、道東太平洋海域でそれぞれ1,158万粒、1,435万粒、2,417万粒が放流されています。放流ウニの大きさも様々ですが、海域別の放流ウニの殻径を図-2に示しました。これによれば日本海海域においては殻径10~15ミリメートルのものの割合が最も高くなっています。ただこのグラフではわかりませんが、日本海の南部では15~20ミリメートルが、北部では10ミリメートル未満の割合が多いようです。また、道南太平洋海域では海峡側の一部地域で10ミリメートル未満での放流も見られますが、概ね15ミリメートル以上の大型の種苗で放流されています。

  さらに、道東太平洋海域では一部、平磯上に掘削された溝を利用した粗放的な中間育成も含め、圧倒的に10ミリメートル未満が主流となっています。
    • 図2

2.各海域におけるウニ人工種苗放流の特徴について

  放流種苗の大きさぽ放流場所、時期、方法などと密接に関連していますが、ここでは各海域の放流実態で特徴的な部分を紹介します。

日本海海域
高水温になる盛夏前(6~8月)に放流することが多く、特に南部ではその傾向が顕著です。放流漁場は水深が3メートル以浅、餌料海藻は北部では一部コンブの繁茂が見られるものの全般的に餌料木足の傾向が見られます。害敵生物はイトマキヒトデやヨツハモガニで人工種苗放流を行っている28漁協の内、20漁協で害敵駆除を行っています。

道南太平洋海域

高水温期に発生しやすい疾病予防の点から6~7月頃放流されることが多くなっています。放流漁場は5メートル以浅の天然及び人工礁ですが、一部10メートル前後にも放流されています。害敵はヒトデ類、ヨツパモガニですが、その駆除を行っているのは31漁協中7漁協のみとなっています。
道東太平洋海域一般的には10~11月に放流されていますが越冬して翌年の春にも一部放流されています。放流場所は日高西部では2メートル以浅の人工構内を利用しているほか、天然漁場の水深7メートルまでの各水深帯にわたっています。餌料海藻としてはコンブが豊富ですが、コンブ漁場との競合により必ずしも放流場所として最良の場所を確保できないようです。害敵生物としてはヒトデ、カニ類、カジカ等があげられますが、ほとんどの地区で駆除はしていません。

3.生産量の推移

  図-3に海域別のエゾバランウニ生産量を示しました。どの海域も平成7年度現在、昭和60年台の水準と比べかなり低く苦戦を強いられていますが、それぞれの海域・地区の条件に合ったエゾバフンウニ増殖の取組が実を結び、一刻も早いウニ資源の回復が待たれるところです。

※この他、網走支庁管内で50トン(H7年)の生産があります。
    • 図3

(水産林務部栽培振興課 水産業専門技術員)

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