試験研究は今 No.366「規格外ケガニの漁獲を防ぐカニかごの改良試験」(1998年11月27日)

規格外ケガニの漁獲を防ぐカニかごの改良試験

はじめに

写真
  北海道のケガニ漁業は日本海を除くオホーツク海と太平洋沿岸一帯で行われ、ほぼ周年にわたって何処の港にケガニが水揚げされています。オホーツ海では3~8月に年間1,500~1,900トンのケガニが漁獲され、その量は北海道全体の6割以上を占めています。ケガニはまさにホタテやサケとともにオホーツク海の特産品の一つと言えます。

  ケガニ漁業は知事許可で通常、カニかごて操業しており、かご数や網目の大きさ、操業期間および漁獲量の上限などが制限されています。また雌ガニは全て、雄ガニも甲長(甲羅の長さ)8センチメートル未満の漁獲が禁止されています。

  このため、操業の際にはケガニが船上に揚がると、雄雌、サイズ別にすばやく選別し、雌と甲長8センチメートル未満(規格外)の雄ガ二を海に戻しています。しかしながら、ケガニは海から揚げられると弱りやすく、特に夏場の気温の高い時期には死んでしまうカ二もでてきます。

  北海道ではケガニ資源の増大と管理を目指して様々な取組が行われています。網走水試では、雄の規格外カニが船上に揚がるのを防ぐため、昭和62年からカニかごに脱出口を取り付ける、(写真)とによるかごの改良試験を行ってきまレた。

  ここでは、平成7~9年に中央水試資源管理部と共同で実施した試験の概要を紹介します。

かご周辺のケガニの行動

  ケガニの操業は普通、早朝に行います。餌を入れたカ二かごを水深50~150メートルの海底に沈め、2~3日後に船上に引声揚げてケガニを漁獲します。

  海底に置かれたかごでは、周囲にいたケガニが缶の中の餌(イカまたはキュウリウオ)の匂いに誘われて集まり、かごの側面を昇って上部の入り口から中へ入ることになります。

  中央水試で行ったかご内の行動実験(水槽実験)では、ケガニはそれぞれある程度の距離を保ちながらかごの内側側面や底を歩き回る様子が観察されています。この点、タラバガニやハナサキガニでは重なり合って入っていると言われています。そうしている間に、ケガニはかごの底輪近くに取り付けられた脱出口に遭遇し、そこから文字どおり脱出します。

脱出口付きカニかごによる漁獲試験

  ケガニが脱出口から出るか否かは、カニのサイズと脱出口の大きさが関係します。これまでの調査結果から、ケガニのサイズに対して脱出口を充分大きくし、高さを50~53ミリメートルにすることによって規格外のカニが逃げ、甲長8センチメートル以上のケガニがかごの中に留まることがわかりました。

  この結果を操業現場で確認するため、脱出口のついたかごと通常使用している脱出口の無いかごにより漁獲試験を行いました。試験では脱出口(内法高さ:50ミリメートル、幅100ミリメートル)が1~2個付いたかご(図1)と通常のかごを使ってケガニを漁獲し、かご種類別に雄雌、尾数、サイズを調べました。脱出口が付いたかごと無いかごで、漁獲された雄ケガニの尾数をサイズ別に比較すると(図2)、脱出口付きかごでは、脱出口が無いかごに比べて規格外のカニの漁獲が少ないことが分かりました。また甲長8センチメートル以上の規格サイズのカニは、2種類のかごではほぼ同じ数であることも分かりました。
    • 図1
    • 図2
  現在、規格外のケガニの漁獲を防ぐため、かごの網目の大きさを目合11.5センチメートルに制限しています。脱出口の取り付けには余分な費用や労力がかかりますが、この種のかごを使用することによって、規格外のカニが船上に揚がるのを未然に防ぐことができ、さらに効果な資源管理が行えると考えます。

  オホーツク海では漁期前半、規格サイズの雄ガニでも甲羅の軟らかいケガニを海に戻し、堅ガニになるまで漁獲を控えるように努めています。このようなより高価なカニを漁獲する取組など、今後とも資源の有効利用を計ることが必要かと思います。

  最後になりましたが、試験では湧別、網走および斜里第一漁協のけがに担当者ならびに漁業者め方々に多大なご協力をいただきましたことを感謝します。

(網走水試 資源管理部 今井義弘)

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