試験研究は今 No.394「ヒトデについて」(1999年8月6日)

ヒトデについて

  ヒトデ類にはヒトデ、イトマキヒトデなどがいますが、今年のプラザ関連調査研究事業でヒトデ(種として)について、試験を行ないましたので、ヒトデについて書かせてもらいます。

  最初に、ヒトデは5本の腕がありますが、皆さんはどの腕が一番目の腕か、ご存じですか? 

  腕の数え方は2~3通りありますが、ここでは、MCBRIDE方式について述べたいと思います。

  ヒトデの口を下にして、穿孔板の有る間輻を観察者の右側に置いて、その右側の下方の腕を1、1の腕から時計の逆回りの方向に数えて、右側上方の腕を2、左側上方の腕を3、左側下方の腕を4、下の腕を5とかぞえます。また、1腕と2腕の間、穿孔板間輻1、以下腕と同様な回り方で2、3、4、5の数字で各間輻を数えます。
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(文章では分かりにくいと思いますが概略図を示してありますので、参考にして下さい。)

  なお、測定のときには腕の長さをR、間輻をrと記すとありまして、R腕長とr間輻の関係では、イトマキヒトデではR=1.5rで、ヒトデではRは約3~4rです。しかし、R:rの比は種によって常に一定してるものではなく、成長の度合、また標本固定時の条件によってかなり変化します。

  次に、よく話題になる再生についてですが、ヒトデは腕のどの部分を切っても再生は行われます。再生の速さは腕の基部で切った方が再生が速いですが、元の形に戻るまでにかなり時間がかかります。あるものでは完全に再生されるまで1年以上もかかります。

  再生には一般的に盤(盤は体の部分で腕と盤から1個体のヒトデになっています。概略図参照)の一部が付いていることが必要で、再生に必要な量は、種によってかなり異なって、盤の量は少なくとも20~75パーセントが腕に付いているときは完全に再生されると言われています。それでも種類によっては1腕から再生した報告もあります。

  普通では見られないと思いますが、腕を上下に切った時には、その腹側の半分からは再生されますが、背側の方からは再生はされません。

  そのほかに、今回の試験では、自切が、観察されました。それは、ヒトデを切断して、再生と生残の確認のため飼育を行っている時に、ヒトデ自らが更に切断して細分化してしまうものでした。この時は、ヒトデの主部分も、他の小さな部分も生きていました

  また、無性生殖を行う種類(主に多腕種、6腕以上の種類で、穿孔板を複数以上持っている)では、自切により、増殖することが知られています。増える時には、およそ腕や穿孔板は半分に分かれていき、盤の分裂する位置は切れやすい構造となっています。このように分裂して増えるのは幼個体に見られるものです。

  塩分に対しては、低塩分に弱いと言われていますが、これは相当長期間にわたって低塩分状態に置かれたものと思われます。今回の試験で淡水中への投入では、約1時間の生存が確認されました。また、ヒトデを切断し、体内に淡水が入りやすくした状態でも、正常な個体と同様に約1時間は生存していました。

  次にヒトデ類は美しい色彩のものが多いですが、ヒトデの色素は表皮細胞中に顆粒状に含まれており、色素細胞はありません。ヒトデの体色の赤、橙、黄などの色はカロチノイド系の色素によるもので、これがタンパク質と結合した時に青、緑、紫などに変化すると言われています。 ヒトデの色素は甲殻類の色素との類似性が指摘されています。

  移動については、ある種は毎分2~5センチメートル、あるものでは毎分30~60センチメートル、また早いものでは毎分2メートルと記録されています。特殊な移動方法としては、東京湾で見られたもので、体の中に気体を充たして水上に浮上し、潮流に乗って集団的に移動する例も報告されています。

  今回の試験でも、飼育していたヒトデが体を膨らませて浮上することが観察されました。

  ヒトデに付いて書かせてもらいましたが、身近に数多く見る機会のある生き物にも関わらず、わからないことが非常に多い生き物です。

(釧路水産試験場主任専技 渡辺雄二)

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