試験研究は今 No.421「道南で毎年漁獲している、大きなマダラはどこから沸いてくるのでしょうか?」(2000年4月25日)

道南で毎年漁獲している、大きなマダラはどこから沸いてくるのでしょう?

  恵山町など道南では毎年、年間数百トンのマダラを漁獲しております。冬季とりわけ、年の瀬には5~8キロ、大きいマダラは1メートル、重さは10キロをこえる超大物も見られます。ところで、普通漁獲されるマダラは、2歳以上で、これより若いマダラ、特に、その年生まれた(当歳)マダラの生活については不明な点が多く残されています。

  函館水産試験場では、恵山町の「海を育てる会」のご協力を得ながら国費事業ーマダラ放流基礎調査で、「小さいマダラ」に関する情報提供を道南の各浜にお願いしてきました。(図1)
    • 図1
  浜での聞き取りでは、「春先ならばタラの子はいくらでも見られる」とのことでした。ところが、実際に届けて頂いたマダラは、いずれも30センチメートル以上のもので、当歳魚を得ることはできませんでした。その後、平成9~10年度に、量的には少ないのですが、恵山沖で全長20センチメートル代の1歳魚が分布していることが明らかになりました。しかし、依然として、これより「小さいマダラ」に関する情報は全く得られませんでした。

  言い換えると、恵山周辺で毎年漁獲している、大きなマダラはどこからともなく沸いてくると言う感じで、マダラ漁業が成り立っている状況です。

  マダラの産卵場のひとつは、青森県むつ湾で、最近の同県および北大の研究成果として、冬季12月から2月頃に生まれたマダラは、同湾内で6センチメートル位まで生長し、水温が12度に達する6月には、いっせいに湾外に分散し、水温が低く餌料条件の良い所に短期間で分散する様子が明らかにされつつあります。

  幸い、平成11年1月鹿部漁業協同組合の協力によって、全長18センチメートルのマダラ当歳魚が捕獲され、同時に、噴火湾で北大が昔実施した魚類相調査の未発表資料のなかにもマダラ当歳魚の記録が含まれていたことが確認できました。そこで、平成12年1月から漁業者に、スケソウダラ漁業の刺し網の混獲魚の中からマダラ当歳魚の有無を確認して頂いたところ、2月までに5尾の当歳魚を採集することができ、噴火湾には確かにマダラの当歳魚が生息していることが実証されました。

  前述の超大物などは、その後数回の漁期を経て、恵山で遂に漁獲されたマダラということになりますが、これらの魚体には、しばしば下図に示した様な釣り針や刺し網などにかかって、その漁具から逃れたときの傷跡などが見られる魚がおります。
    • お尋ね者! タコ針?(下図)に関する情報をお寄せ下さい。

  ここでは、上の写真(A)に示したタコ針らしきものについて見覚えのある方からの情報を手がかりとして、この針を使用している漁場を特定し、この針が残されていたマダラ(体重8キログラム)のルーツを知り、道南で漁獲されているマダラがどこから来るのか?添加される過程を明らかにしたいと思います。

  これらの知見を得ることによって、これまでに開発された種苗生産技術によって生産される人工種苗の放流適地なども自ずと明らかになってくるものと考えております。

(函館水試 資源増殖部 主任研究員 門間 春博)

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