試験研究は今 No.452「-シシャモ資源の量的把握と安定化のための技術開発-シシャモの降海仔魚量調査」(2001年7月12日)

-シシャモ資源の量的把握と安定化のための技術開発- シシャモの降海仔魚量調査

  シシャモ資源の維持増大と漁家の経営安定には、漁業者自らが資源管理を行う必要があります。このため、適正な遡上親魚量の確保の方策やなるべく早い資源予測はもちろん、精度の高い資源予測のための数値指標が漁業者から求められています。

  そこで、水産孵化場ではえりも以西海域におけるシシャモの資源管理技術の開発を行うため、親魚の河川遡上量推定方法と降河仔魚量の把握について検討することにしました。今回は胆振支庁管内鵡川で行ったシシャモ仔魚降海調査について報告します。

調査項目と方法

  調査は平成4年から平成12年の4月上旬から5月下旬までにほぼ週2回の頻度で昼間に行いました。調査場所は、鵡川の河口から400~500メートル上流地点の河川流心部で、ノルパックネットをおよそ5分間で3回曳き、採集したシシャモ仔魚の計数を行いました。ネットには濾水計をとり付けて濾水量を測定するとともに、採集開始と終了時の河川流速も同時に測定しました。年間降海量の推定を次のように行いました。すなわち、単位水量当たり仔魚数(1000立方メートル÷採集数×濾過水量)を計算して、調査期間中の移動平均値(4月1日~5月15日)を日別に算出します。この値を日流量(流量年表、編集:国土建設省河川局)に乗じて累積した数値を年間の降海量としました。

調査結果と考察

  鵡川のシシャモ年間降海量は、平成4年1151万尾、平成5年3994万尾、平成6年7億2702万尾、平成7年1億605万尾、平成8年2億8572万尾、平成9年1096万尾、平成10年4042万尾、平成11年2億5612万尾となりました。

  この降海量と翌年の地元漁協(鵡川漁業協同組合)に水揚げされたシシャモ漁獲量(複数年級群)との間(図1)には相関は認められませんでした(R=0.362)。
    • 図1
  釧路水産試験場では、えりも以東海域のシシャモ調査の一環として、釧路川におけるシシャモふ出仔魚降海調査を行っています。この結果を資源予測の基礎資料としており、各年の最大尾数は平成4年が4月中旬で666尾、平成5年が4月中旬で1287尾、平成6年が5月上旬で1964.3尾、平成7年は5月上旬に623尾、平成8年は4月中旬に2352尾、平成9年は5月上旬に196.3尾、平成10年は4月下旬が3722.7尾および平成11年は4月中旬に197.3尾でした。この年間最大値と翌年の2年魚の漁獲量には平成10年を除き有意な相関(R=0.922)がありました(釧路水産試験場事業成績書)。

  そこで、鵡川についても降河最大数を図2に示しました。鵡川で採集されたシシャモ仔魚の最大数と時期は、平成4年が4月中旬で33尾、平成5年が5月中旬で30尾、平成6年が4月下旬で206尾、平成7年は4月下旬に39尾、平成8年は4月下旬に393尾、平成9年は5月下旬に90尾、平成10年は4月下旬が18尾および平成11年は4月下旬に40尾が観測されました。過去8年間の比較を行うと、平成6年と平成8年の降海量の多かったことがわかります。
    • 図2
    • 図3
  釧路川と同様な方法で、鵡川で観測された年別の仔魚最大値と翌年の漁獲資源量(えりも以西海域)との関係を図3に示しました。ここで両者には明瞭な順相関(R=0.829)が見られました。ここで用いた漁獲資源量は複数年級群を含んでいるため、精度の高い解析には年級群別資源量の値が必要です。しかし、釧路川と同様に、シシャモ資源の予測手段として活用できる可能性が示されたと考えられます。

  一方、鵡川の調査期間中には、シシャモのほかに近縁のキュウリオの産卵が河川内で行われています。この孵化したキュウリウオの仔魚が本調査の流下仔魚として混獲することが考えられます。魚類分類の専門家である猿渡(私信)氏によれば、シシャモを含むキュウリウオ科の仔魚の分類は大変むずかしいとのことです。このため釧路川の調査でもシシャモとキュウリウオの区分は行われていません(同事業成績書)。今後、えりも以西海域におけるシシャモ資源量の予測手段のひとつとして、これまで示した調査手法に妥当性があるものかさらに検討して行きたいと考えています。
(水産孵化場 資源管理部河川管理科長 工藤 智)

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