試験研究は今 No.575「新設 生物科学科-業務を始めました-」(2006年9月4日)

新設 生物化学科-業務を始めました-

  平成18年4月。栽培漁業総合センターと函館水産試験場室蘭支場との機能を合わせ、新たに栽培水産試験場としてスタートしました。栽培水試では種苗生産研究部門と地域水試として沿岸漁業資源の研究や増殖技術の開発を行ってきた調査研究部門が併設されており、種苗生産から放流技術の開発までの一貫した研究を行うとともに、地域水試として胆振~日高の水産資源を有効に利用するための研究を行います。

  この中で、新たに調査研究部に生物化学科が設置されました。生物化学科では、「対象生物の生化学的評価手法の開発」を主なテーマとして取り組んでいきます。

   内容としては、これまで成長と生残率で評価してきた「種苗性」について、生化学的手法を導入することにより、外観では評価できなかった種苗の健康度などを評価する試みを行うものです。また、対象生物の栄養要求や栄養状態の評価についての研究も行う予定です。
 
  今年度からの新規事業として、「人工種苗の質的向上に関する試験」が予算化されており、当面はこの課題を中心に業務を進めていきます。ここでは、マガレイを対象生物として、仔魚期の餌料へのアミノ酸(タウリンなど)、高度不飽和脂肪酸(EPA、DHAなど)の添加量が形態異常魚の出現率や種苗の行動特性、ストレス耐性にどう関係するのかを調べていきます。このような餌料の栄養強化の方法は、魚種によって適切な量や与える時期が異なっているはずですから、マガレイだけでなく、キツネメバルやハタハタなど、他の魚種についても順次調べていく予定です。

    • 図1 正常魚(上)と色素異常魚(下)
    • 図2 実験中の水槽類
    • 図3 人工種苗の質的向上試験のイメージ
  このほか、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業として「イカ内臓を用いた養魚用高機能性飼料の開発」を工業試験場、釧路水産試験場、東京海洋大学との共同で行うこととなりました。ここでは、年間10万トンも漁獲されているスルメイカの内臓(ゴロ)を有効に利用するため、養魚用飼料原料としての活用を考えています。これらの課題の進捗状況や得られた成果については、随時、機会を見てお知らせしたいと考えています。

  また、将来的には、放流した人工種苗の追跡調査の過程で得られるサンプルから、放流後の摂餌状態や栄養蓄積状態を評価し、生き残りとの関係について調べて行きたいと考えています。さらに、天然魚についても、稚魚期の栄養状態と生き残りの関係についても注目しています。

  今はまだこれらの分析のための機器をそろえている段階で、本格的な稼働にはもう少し時間がかかります。また、道水試の生物部門としては初めて生化学的分析手法を用いて仕事をする部署となります。このため、不慣れな点が多々ありますが、皆様のご協力をいただきながら研究を進めていきたいと考えていますので、よろしくお願い致します。
(栽培水産試験場調査研究部 高谷義幸・佐藤敦一)

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