リシリコンブ

リシリコンブ Laminaria ochotensis Miyabe

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リシリコンブは、道南のマコンブ、羅臼のオニコンブとともにだし昆布として有名で、やや塩味があり、澄んだ癖のない上品なだしが出るので、定評があります。稚内水試では、この道北の重要な漁業資源であるリシリコンブの生態解明、増殖対策や養殖試験に取り組んでいます。

分類

褐藻綱 Phaeophyceae
コンブ目 Laminariales
コンブ科 Laminariaceae
リシリコンブ Laminaria ochotensis Miyabe

分布

利尻島、礼文島、稚内市を主産地に、白神岬から日本海、オホーツク海沿岸を経て知床岬まで分布。
国後島、サハリン、沿海州、朝鮮半島にも分布する。

形態

根状部は繊維状、5-7層縦列して出ていて、数回叉状に分岐し、互いに絡み合い、円錐状の付着器を作る。茎状部は長さ5-9センチメートル、太さ5-10ミリメートルで、上部で幅広く扁平になり、葉状部の基部に連なる。

葉状部は細長い笹の葉状で、長さは1.5~2.5メートル、ときに3メートルを超える。幅は13~20センチメートル、縁辺部はわずかに波打つ。葉の中央の中帯部は、葉幅の1/3~1/2。葉の基部は広いくさび状、よく成長するとしばしば円形となる。中帯部のくぼんでいる面をおもて面、膨らんでいる面をうら面と呼び、コンブは通常うら面を海底に向けている。

子嚢斑(胞子嚢)は、初め葉のうら面基部の中帯部の両側にすじ状にでき、その後全面に広がる。おもて面ではやや遅れてできる。
本種の粘液腔道は葉状部、茎状部ともに形成される。

生態

他のコンブ目の海藻同様、コンブ型の生活史をもつ。すなわち、無性の肉眼的な胞子体世代と、有性の顕微鏡的な配偶体世代がある。本種の寿命は2年であるが、1年目で寿命を終わるものも多く、年によりその移行率(再生率)が変動し、特に利尻島、礼文島では問題となっている。

冬期間を配偶体としてすごし、卵と精子が受精して発芽した胞子体が肉眼的になるのは、1~3月頃。その後、4月~8月にかけて、急速に葉長が増大する「第一次伸長成長期」となる。コンブは、葉の基部近くが成長する「介在成長」をするが、同時に葉の先端付近が徐々に枯れる「末枯れ」をしている。成長と末枯れのバランスで、葉長が決まる。稚内前浜では8月頃葉長が最大となり、約2メートル(利尻では約160センチメートル)となる。

9月頃には成長量が減少し、末枯れで短くなる。この時期には葉体にマンニットなどの光合成同化産物を貯めこみ、肥大度(葉湿重量/葉長×葉幅、葉の実入りの尺度となる)が大きくなり、子嚢斑が形成されはじめる。1年目コンブでは肥大度が110mg/cm2以上で子嚢斑が形成されるといわれる。10~11月には、子嚢斑から遊走子(胞子)が放出される。10月には葉長が最小となり、約150センチメートル(利尻では約60センチメートル)となる。

10~11月には、藻体から新たな根と葉が出る「再生期」となる。11月以降は、再び急速に葉長が増大する「第二次伸長成長期」となる。一般に再生期以前のコンブを1年目コンブ、以後を2年目コンブと呼んでいる。4~5月にかけて急速に成長し、葉長は稚内前浜では4月に3メートル近く、利尻では5月に2メートル近くなり、最大となる。この時期には、葉幅も急速に増大し、幅が広い立派なコンブとなっていく。

その後、採取時期の7~8月にかけて、葉体は末枯れにより徐々に短くなるとともに、実入りが進行する。稚内前浜では肥大度が140mg/cm2以上となった時を採取期としている。2年目コンブでは、1年目より早い7月中旬以降子嚢斑が形成される。

なお、本種は、マコンブ、ホソメコンブと形態、生態とも類似しており、分類学的再検討がなされている。

介在成長(部間成長)

ある程度成長した細胞の部分と部分の間が成長帯となる成長様式。植物では一般に先端成長の方が多い。コンブ類では伸長成長時、特に葉の基部付近が成長する。

漁業

リシリコンブ漁場の最大水深は15メートルくらい、主要漁場は0.5~7メートル。優良な漁場での生育密度は1平方メートル当たり10~30本。利尻島での主な漁具はまっか、ねじり、鎌である。製品は主に20キログラムに束ねた長切昆布で、生産地により、「利尻産」(利尻、礼文島産)、「稚内産」(抜海~紋別)、「天塩産」(苫前~天塩)と呼ばれる。
    • てんじんまっか、しばまっか、ねじり、鎌
羽幌町以北の留萌、宗谷、網走の3支庁を合わせた生産量は、1950年前後に6,000トンを超えたが、それ以降急激に減少した。1989~1998年の平均生産量は、天然コンブが1,224トン、養殖コンブが432トンであった。生産量の年変動が大きく、2~4倍程度変動する。

加工・利用

高級料理や吸い物のだしとして使われるほか、京都名物の千枚漬け、湯豆腐などに利用される。そのほか、高級おぼろ昆布、とろろ昆布にも加工される。

稚内水試での調査・研究

リシリコンブの成長や成熟、減耗の実態調査、増産のためのコンクリートブロックや自然石投入効果調査、養殖技術開発試験、施肥効果調査、成分分析、外敵調査(ヒドロ虫類、甲殻類、ウニ類など)、雑藻駆除試験などを実施してきた。今後は生産量変動に影響を与える要因を明らかにするとともに、安定化の方策を検討する必要がある。

お問い合わせ先

調査研究部 管理増殖グループ

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