鰭脚類(アザラシ科)

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アザラシ科

ゴマフアザラシ

学名:Phoca largha (Pallas, 1811)
英名:Spotted Seal 
    • 1992年チュレニー島にて/和田撮影
      1992年チュレニー島にて/和田撮影

      浅瀬に集まったゴマフアザラシ

  • 北海道周辺で最も多く見られるアザラシである。ベーリング海、チュクチ海、オホーツク海から北海道近海、間宮海峡、ピョートル大帝湾、渤海から黄海北部に分布し、それぞれ比較的隔離された個体群と考えられる。また、オホーツク海に生息する個体群の主要繁殖場は3カ所知られている(サハリン東岸、タタール海峡周辺、シェリコーヴァ湾)。日本近海には冬期間、流氷とともに南下し3~4月に繁殖するが、どの海域から来遊してきたかについての調査は少ない。1~2月にはオホーツク海側に多く、3月には根室海峡に多く見られるとされる。繁殖期を過ぎる4月下旬には北上を始め、亜成獣が一番遅くまで北海道沿岸に残るが、周年定着する個体は少ない。
  • 1960 年~1980 年代のサハリン東岸から知床半島にかけてのオホーツク海および根室半島周辺におけるゴマフアザラシの生息密度は 0.01- 0.81 頭/km^2 であった(宇野・山中 1988)。また、本州沿岸に漂着した少数例の報告もある。全般的に、個体数と分布の動向に関する調査研究は少ない。近年は狩猟圧もかかっておらず、道東沿岸の分布調査によれば個体数の推移は現状維持である。
  • 根室半島沿岸における定置網では年間数百頭のアザラシが混獲され、ゼニガタアザラシとゴマフアザラシがその大半を占める(71.4%, 25.3%; '82-'83 年)。定置網への羅網による直接的死亡および餌資源の減少など。第2に沿岸の開発行為による上陸場の減少。第3に狩猟であるが、ロシアでは 60 年代にはベーリング海、オホーツク海で年間平均 3,500 頭を猟獲、70 年にはいると沖合で 5,000 頭、沿岸で 2,000 頭を猟獲した。80 年代には、年間平均で 2,000- 3,000 頭を猟獲している(Shyntov 1985)。日本では 70 年代までオホーツク海のテルペニヤ湾内、北見大和堆周辺海域、サロマ湖、ノトロ岬、知床岬沿岸で狩猟が行われた。しかし、200 カイリ以降、狩猟活動はこれらの海域から閉め出され衰退した。近年の狩猟統計はないが、数十頭の規模で狩猟されていると思われる。
  • アメリカ合衆国およびロシア(旧ソ連)沿岸において保護され、個体数は増加傾向にある。現在、ゴマフアザラシの総個体数は約 168,000 頭、オホーツク海の個体数が約130,000 頭と推定される。千島列島の北部及び南部千島に数多く分布し、特に歯舞・色丹諸島の分布密度が高い。

アゴヒゲアザラシ

学名:Erignathus barbatus (Erxleben, 1777)
英名:Bearded Seal 
  • 北太平洋、北大西洋及び北極圏の比較的浅い海域に分布し、グリーンランド、アイスランド、白海、北海道、アラスカ半島が南限です。日本沿岸ではほとんど見られず、まれに迷行した個体が発見される程度です。日本沿岸の個体についての研究例はほとんどなく、漁網に混獲された個体についての断片的な食性、形態等についての情報しかありません。
  • 日本の猟船がオホーツク海域でアザラシ猟を行っていましたが、年間数頭程度しか捕獲していません。日本沿岸での漁網への混獲は他のアザラシに比べ極端に少なく、年間数頭から数十頭です。
  • 総個体数は数 10 万頭と推定されており、そのうち半数はアラスカ海域に生息すると考えられています。ロシアはオホーツク海において1950- 60 年代に年間 9,000- 13,000 頭捕獲され、1969 年の捕獲規制以降、1,000- 2,000 頭に減少しました。

クラカケアザラシ

学名:Phoca fasciata (Zimmerman, 1783)
英名:Ribbon Seal 

  • 主な生息地はベーリング海の北西部、チュクチ海およびオホーツク海です。北海道北東部には例年相当数が流氷とともに南下してきますが、外洋性であるために人目に付くことは少ない。遊泳能力の低い幼獣等は海況、特に流氷の動きに大きく影響され、流氷が大きく張り出した年には、北海道沿岸や本州沿岸を南下して各地でアザラシの幼獣が発見されることがあります。本種の特徴的な毛皮を目的に古くから狩猟対象となっていましたが、詳しい個体数や分布等についてはよく分かっていません。
  • 1970 年代頃までは2月から5月にかけ、オホーツク海域および根室海峡においてアザラシ猟が盛んに行われていました。この時期にはオホーツク海域で年間 400 頭、根室海峡で 700 頭を捕獲していました。現在は毛皮の商品価値が下がったため狩猟活動は衰退し、近年は年間数頭が捕獲される程度です。本種は沖合に生息するためか多種に比べて羅網は少ない。
  • ロシアではオホーツク海域において 1960 年代まで盛んにアザラシ猟が行われ、本種の個体数は減少しました。その後、猟獲制限措置がとられ、年間 700トン (体重 100キログラム として約 7000 頭)までと決められ、個体数は回復に向かった。1970 年代にベーリング海とオホーツク海で行われた調査では総個体数は約 240,000 頭であり、そのうち 90,000 から 100,000 頭がベーリング海に生息する。また、1987 年のソ連時代にベーリング海で行われた調査では 117,000 頭であり、個体群のレベルは現状維持とみられています。

ワモンアザラシ

学名:Phoca hispida(Schreber, 1775)
英名:Ringed Seal
    • ワモンアザラシ
  • おもに北太平洋、北大西洋および北極海に生息し、一部の個体が北海道近海まで南下し流氷上で繁殖します。日本周辺では1960 年代に年間数百頭が主にオホーツク海で捕獲されていたが、現在は年間数頭が捕獲される程度です。同海域でロシアでは1950 年代の6年間に 41,500 頭捕獲した記録があるが、1969 年に捕獲規制が行われた後、1988 年にはその数は 7321 頭に減少しました。
  • 北海道沿岸における漁網への混獲についてはゼニガタアザラシやゴマフアザラシに比べ少なく、年間数十頭程度です。外洋性であるために個体数や分布などについて詳細な知見はないため、モニターする上でこれらの基礎的調査が必要です。国外での総個体数は 300- 700 万頭、オホーツク海には 80- 100 万頭と推定されています。

ゼニガタアザラシ

学名:Phoca vitulina stejnegeri(Linnaeus, 1758)
英名:Harbor Seal
    • 大黒島のゼニガタアザラシ
      大黒島のゼニガタアザラシ

      (渡部有希子氏提供:北海道野生生物保護公社)

  • 日本の生息地は、本種の北太平洋の分布の南西端に位置する。北海道東部沿岸での生息確認総数は、繁殖期に400頭前後、換毛期に5百数十頭である。現存する6ヵ所の生息地のうち、安定した生息地は襟裳岬と大黒島のみである。他の4ヵ所の生息地における上陸頭数は不安定な状態が続き、消滅する可能性がある。生息地間の移動についてははっきりしない。
  • 沿岸漁業活動、スポーツフィッシングなどの上陸岩礁への接近、上陸。狩猟、漁業被害防止のための駆除および漁網による混獲。
  • モユルリ島、ユルリ島、浜中、尻羽岬にある地域個体群は低水準で推移しており注意を要する。本亜種は千島列島、アリューシャン列島、プリビロフ諸島に分布し、その生息推定総数は 30 万頭、千島に1,500 頭と推定されている。アメリカ、カナダ、ロシアでは保護されている。

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