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木製屋外製品の維持管理について
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木製屋外製品の維持管理について
 
ログハウス 林産試験場シンボルタワー(集成材)
屋外で使用されている木製品は数多くありますが,その維持管理は大切な問題です。一般に木材は屋外で日光や風・雨・雪に曝されると劣化・腐朽するので,長期間維持するには塗装あるいは防腐処理など何らかの処理が必要です。しかし,処理をしたからといって永久に使用可能ではなく,使用中のメンテナンスが必要となります。
例えば,木製に限りませんが,公園の遊具に関しては,国土交通省から「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」(H14.3)が出され,詳細に維持管理方法が示されています。
林産試験場でも多くの木製屋外遊具を調査し,その結果から維持管理に関する指針を示しています。
また,林産試験場内には昭和61年11月に建てられたログハウスと木製屋外遊具があり,これらの13年経過後の状態を調査しました。これらの調査結果から,屋外で使用される木製品の維持管理方法や注意点について紹介します。 

1.丸太の耐久性はどれくらいか
 表1は,直径が10~20cmのトドマツ,カラマツの丸太を杭として地面に立てたときの耐用年数を調べたものです。耐用年数は肉眼で観察して「全面に軽度の虫害,腐朽があり,なおかつ部分的に激しい虫害,腐朽がある」と判断された時点です。しかし,この数値は使用環境により変動するので,この期間の安全性を保証するものではありません。
 この表のように,無処理の丸太は2~4年で腐朽しますが,現在一般的に使われている加圧注入用防腐剤(AAC,ACQ等)で処理したものは5年以上,クレオソート油を塗布したものは10年以上の耐朽性が期待できます。しかし,防腐剤は防腐効果はあるものの,ログハウスや木製遊具のように表面の美観を必要とするものには適当ではありません。このような場合は木材保護着色塗料が適当です。  

 
表1 丸太の耐用年数1)
薬剤 処理方法  樹種  耐用年数
無処理 カラマツ、トドマツ 2~4
無処理 スギ,ラジアータマツ 2~4
クレオソート油 塗布 カラマツ 10
クレオソート油 塗布 トドマツ 13年以上
CCA 加圧注入 カラマツ,トドマツ 13年以上
AAC 加圧注入 スギ 5年以上
DDAC 加圧注入 ラジアータマツ 9
ACQ 加圧注入 スギ 10年以上
1)林産試だより,1998年10月号
注)CCAは,工場排水基準改正に伴い,日本国内では使用自粛。
AAC:アルキルアンモニウム化合物系防腐剤,有効成分はDDAC
DDAC:ジデシルジメチルアンモニウムクロライド
ACQ:銅アルキルアンモニウム化合物系防腐剤

2.木材保護着色塗料
 木材保護着色塗料は美観の向上,維持,保護機能に加え,防カビ性能,防腐性能,防虫性能,撥水性能,耐候性能を付与した塗料で,主としてエクステリア製品に使用する塗料です。塗膜を造る造膜型と造らない含浸型とがあり,後者は塗り替えが容易ですが,耐久性は造膜型より若干低下します。
 防腐剤と比べると防腐効力は低いですが,表面の美観の向上,維持には優れています。この機能を維持するために,環境,構造物により異なりますが,造膜型は3年程度,含浸型は2~3年で塗り替えるのが一般的です。
 参考までに現在市販されている木材保護着色塗料の一部を表に記載します。
 木材保護着色塗料一覧(PDF)

3.林産試験場のログハウス,遊具の調査例
1)ログハウス


・建設:昭和61年11月
・材料:カラマツ丸太(直径14cm)
・面積:120m2(丸太で囲まれた部分)
・塗装:昭和62年3月に木材 保護着色塗料を塗布 
13年経過後の調査結果
 写真に示したように,屋根のかかっていない,直接風雨に曝された正面の丸太組の木口部分に甚だしい腐朽が認められました。しかし,庇で覆われた丸太はほとんどが健全で腐朽は認められませんでした。
2)屋外木製遊具


・建設:昭和61年11月
・材料:トドマツ丸太(直径14cm)
・大きさ:幅約6m,奥行き5.7m
・塗装:昭和62年3月に木材 保護着色塗料を塗布 
13年経過後の調査結果
 写真に示したように,丸太の木口部分(特に縦使いの),組み合わせの切り欠き部分(次ページの写真参照),地際部分に甚だしい腐朽が認められました。また,横架材の上面は塗料がはげ落ち,割れが発生していました。この他に,ハシゴの踏み板を固定していた鋼製のボルトが錆びて細くなっていました(写真参照)。 ※なお,現在この遊具は撤去されています。
  
屋外遊具の組み合わせ部分の腐朽
(組み立て後塗装したため塗料が塗布されてない)
錆びて細くなったボルト(上のボルト)
直径10mmが7mmになった

4.メンテナンスの注意事項
 今回の結果,およびこれまでの調査結果から,屋外で使用する木製施設のメンテナンスには以下のことが必要です。
1)直接風雨に曝される丸太の木口部分は非常に腐朽しやすいので,木材保護着色塗料を塗装する場合には数回塗り重ねる。また,この部分だけは1~2年に1度は再塗装することが望ましい。あるいは,金属,プラスチック等で覆うなど,雨水等が浸透しないような工夫をする。
2) 丸太の組み合わせ部分,切り欠き部分は水分が入りやすく,組み立て後は塗装できないので,組み立てる前に木口部分と同様に数回塗り重ねる。
3) 横架材の上面は塗料の劣化が激しく,割れやすいので塗料を塗り重ねる。
4) 地際部分等は特に腐朽しやすいので,防腐処理,あるいは防腐剤を塗装するなど,耐久性に優れた処理が望ましい。
5) 写真に示したように,金属のボルトといえども錆びて破損する恐れがあるので,点検時には破損の恐れがないか十分注意する。錆(腐食)の点からはステンレス製の使用が望ましい。メンテナンスや点検のためボルトを緩めるときにも錆による不都合が生じることがあり,この点からもステンレス製が望ましい。
6) 屋外で使用されている木材の腐朽度合いを調査する場合,外観から判断できないときは,ドライバーを差し込んだり,ハンマーで叩いてみる。ドライバーが容易に進入したり,鈍い音がするときには,腐朽が進んでいる恐れがある。

5.安全点検について
 国土交通省の「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」の中でも,事故防止には安全点検が大切であると記され,安全点検の種類としてa)初期点検,b)日常点検,c)定期点検,d)精密点検の4つを示しています。
詳細は国土交通省のホームページ(https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/04/040311_.html)に掲載されていますので参考にして下さい。
 
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