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Q&A 先月の技術相談から
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Q&A 先月の技術相談から
 平成16年4月の技術相談件数は89件でした。
 このうち最も多かったのは製材・乾燥に関わることでしたが,その内容のなかで目に付いたのはカラマツの利用に関するものでした。カラマツに関する質問をおおまかにまとめると,カラマツを住宅に使う上での問題は何かということにつきます。そこで今回は,次の質問を取り上げました。

Q:カラマツを使って家を建てたいのですが,問題は?

A: 昔,木材を住宅の構造部材として使うには,山での伐採・搬出・集材・製材・乾燥に至るまでに長い時間を掛けました。そして,大工さんがさらに2年も3年も時間を掛け,少しずつ木材のくるいを直しながら一軒の家が建てられていったのです。ところが戦後,大量消費の時代に入ると木材も未乾燥のまま流通され,雪が降ってしまうと工事が出来なくなる北海道では,住宅の建設も短期間で行われるようになりました。今でこそ建築部材は乾燥された木材を用いるのが常識ですが,つい最近まで未乾燥材で家が建てられることが多く見られました。
 未乾燥の木材は,必ずねじれたり反ったりします(写真1)。特にカラマツは,木の繊維が幹の軸に対して螺旋状に走っている「旋回木理」が原因で,ねじれやすい性質を持っています(写真2)。この性質はカラマツが成長し,成熟した部分が増えることにより解消されていきます。
 また大工さんからは,「カラマツは強度はあるが重たいため現場での取り回しが大変だ。」,「手荒に扱うと角が欠けてしまう。」,「ノミやカンナなどの刃物が節により痛み易く,加工性が悪い。」などと不満が挙げられてきました。
 このような状況から,カラマツを使った住宅の着工件数は多くなかったにもかかわらず,カラマツは使えないという風潮だけが残り,製材工場ではカラマツが売れないために在庫を持つことがなく,大工さんも在庫がないため「使いたいときに使えないので,使わない。」という悪循環に陥ってしまいました。
 近年になり,「自分の裏山の木を使って自宅を建てよう。」という気運が全国的に高まってきました。北海道においても,各地域の工務店によりカラマツが再び建築部材として注目されるようになってきました
(写真3)。
 現在では,木材を乾燥することが一般的になり,カラマツの乾燥技術も向上しました。また,乾燥時には脱脂処理も行われ,ヤニを抑えることも可能となりました。カラマツ自体も中小径材から大径材に移行しつつあり,「ねじれ・反り」が起きにくくなってきています。大工さんから指摘されていた「加工性の悪さ」は,構造部材のほとんどがプレカット工場で加工されるため,そして「材の重さ」についても建て方には重機を用いることが多いため,以前よりも問題視されることがなくなりました。このように,カラマツの建築用製材としての技術的な問題は,ほぼ解決されたのではないかと思います。
(企画指導部 デザイン科 小林 裕昇)

写真1 未乾燥材のねじれ

写真2 旋回木理の例
(木材活用事典より引用)
写真3上 カラマツを構造材に用いた住宅 外観
写真3下 カラマツを構造材に用いた住宅 内部
写真3 カラマツを構造材に用いた住宅
(外観・内部)
 
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