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平成16年度 林産試験場の試験研究の紹介
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III.木材産業等の体質強化を図る技術開発 (新規6課題,継続8課題)
 
針葉樹人工林材を用いた建築用材企業化促進(一般:H15〜16)
 最近,住宅の柱に集成材が多く使われています。集成材は薄い板を張り合わせて作りますが,厚い板を使うことで生産の手間が省け,安く作ることができます。林産試験場ではこれまで5枚張り合わせていた住宅の柱用の集成材を3枚張り合わせて作る技術を開発しています。また,ラワンなどの南洋材のかわりに北海道に大量にあるカラマツ,トドマツなどの針葉樹で作る合板も開発しています。しかし,これらは実用化が進んでいません。そこで,これらの製品のパンフレットを作り,工務店にアンケートをお願いして,実用化に必要なハードルを分析し,実用化と普及につなげます。
針葉樹人工林材を用いた建築用材のパンフレット表面針葉樹人工林材を用いた建築用材のパンフレット裏面
●トドマツ平角材の高温乾燥試験(一般:H15〜16)
 木材は乾燥して水分を減らすことで建築材などとして利用できるようになります。試験場ではこれまであまり利用されなかった間伐材を有効利用するために,高温乾燥技術について研究を進めてきました。最近は間伐材からも105×150mm〜105×240mmと断面が大きい平角材を木取ることができるようになりましたが,乾燥すると表面に割れが入って商品価値が下がってしまいます。この研究では乾燥するときの温湿度を工夫して割れが少なくなるように検討します。また,乾燥装置の内部で温度ムラや風速ムラが少なくなるような木材の配置方法を調べて,歩留まり(製品の合格率)が高くなる方法を見出します。
乾燥試験に供されたトドマツ平角材
カラマツの建築用材利用促進のための生産・管理技術の改善 (一般:H16〜17)
 北海道では1930年代の終わり頃からカラマツの人工造林が行われてきました。現在,カラマツは住宅の梁に使えるような大きな木に育ってきていますが,建築用としてはあまり利用されていません。カラマツを住宅などの建築物の柱や梁などに利用するために,@冬場の凍った硬い木材を夏場と同じぐらい速く挽くようにすることで一年を通じて生産を安定させる方法,A乾燥することで木材は強く堅くなって住宅の柱などに使えるようになりますが,これをできるだけ速く,安く行う方法,B1本1本の強さがわかると安心して使ってもらうことができますので,強さを簡単に測る方法を開発します。そして,これらの方法によりどれだけカラマツが利用しやすくなるかを確かめます。
非ホルムアルデヒド系接着剤を使用した合板の製造技術とその性能(一般:H15〜16)
 シックハウス症候群に対してはさまざまな法律や規格が定められていますが,その内容は今後さらに厳しいものになると見込まれています。特に対応が急がれているのがホルムアルデヒドの低減です。ホルムアルデヒドを含まない接着剤はこれまで集成材には使われてきましたが,合板を製造する上での問題点は明確ではありません。この研究ではホルムアルデヒドを含まない接着剤を使った場合の合板の製造条件を確かめ,実用的な性能(接着性,ホルムアルデヒド放散量,VOC放散量,防かび性能)を調べます。
合板を使用した室内
乾燥室内の温湿度均一化に関する研究(一般:H16〜17)
 木材を人工乾燥する場合,通常桟積みと呼ばれる上下にすき間をあけながら木材を積み上げたものを乾燥装置に入れ,温度,湿度を調整しながら乾燥します。この研究では乾燥装置そのものの見直しを目標に,桟積みの中の温度,湿度をきめ細かく調節する方法について検討します。この方法が実現するとこれまでの問題点である,乾燥ムラが飛躍的に少なくなり,今までより短い期間で生産することができると期待されます。対象とする木材は集成材の原料となるラミナとします。
製材業の在庫およびリードタイム(納期)の現状分析と改善策の検討(一般:H15〜16)
 製材工場のこれからの生き残りを考えるためには生産コストや運転資金の低減を図り,収益をあげやすい体質に改善することが必要です。そのため,この研究では,@現状の生産実態を把握し,過剰在庫がどれだけ収益を悪化させているかなどを調査します。A多くの製材工場の指針となるように,科学的生産管理手法を導入した場合の在庫低減,リードタイム短縮の効果を試算します。
菌床栽培におけるシイタケの機能性付与技術の開発(一般:H14〜16)
 おが粉にいろいろな栄養素を混ぜて固めたブロック(菌床)を使うシイタケの菌床栽培が広く行われています。しかし,シイタケは品種により栽培特性が大きく異なるとともに,栽培技術が確立されていない部分も多い上,輸入品との競合による価格の下落によって,生産者は不安定な経営を余儀なくされています。そのため,付加価値の高いシイタケの開発が求められています。この研究では培地に有用物質を添加することで,新たな機能性を付与した付加価値の高いシイタケの生産を行うための技術開発を行っています。
針葉樹おが粉の利用に適した道産品種の育成(一般:H14〜16)
 北海道で製材される木材は主にエゾマツ,トドマツなどの針葉樹です。このため,製材時に出るおが粉も針葉樹の方が圧倒的に多いので,針葉樹おが粉を利用すれば菌床に使う材料がいつでも大量に得られ,安定してきのこの生産をすることができます。しかし,きのこの栽培にはナラ等の広葉樹を使う必要があり,針葉樹おが粉は使われてきませんでした。この研究では,食用に広く栽培されているきのこの中から,針葉樹おが粉が利用できる品種を開発し,品種登録することを目指します。
針葉樹おが粉で育成したマイタケ
道産きのこの差別化を目指した品質評価に関する研究(一般:H16〜17)
 地産地消型の食品が消費者に受け入れられるようになってきていますが,鮮度や味覚等に関する品質を示すことが消費拡大の重要な鍵となっています。この品質は,品質指標値と呼ぶ数値で表すことで客観的に比べることができます。さらに基準を設けることで,道内で消費する場合の道産きのこの優位性を示すことができると期待できます。この研究では,マイタケをモデルケースとして市販品の流通実態調査等を行うとともに,鮮度や味覚特性等の品質評価指標値を検討します。
機能性を強化したきのこの成分育種(外部:H16〜18)
 ブナシメジが持つ成分は高血圧等の生活習慣病に効果があるとされています。専門的には血圧降下作用に関わるアンジオテンシン変換酵素阻害活性を持つことが知られています。このような性質を機能性と呼んでいます。これまではシイタケについてのみ機能性を高める研究がなされてきました。この研究ではブナシメジの機能性を高めることを目的に新しい品種を育成するとともに,品種に適した栽培方法を開発します。

○民間等共同研究
 民間等共同研究は,林産試験場と民間企業が共同で製品開発・技術開発を行う制度です。研究の成果は,共同研究を行った企業が優先的に使用することができます。
 また共同研究の結果生じた特許は,林産試験場(北海道)と企業の共同出願となります。

1)木質系舗装材と太陽エネルギーの高度利用による消融雪支援システムの開発
2)木炭・無機材料複合物の気相浄化機能および物性に関する研究
3)有機性廃棄物の熱分解物利用に関する研究
4)小径間伐材と建築解体材を原料としたSPBおよび構造用MDFの開発
5)畜産廃棄物を用いた食用菌の栽培に関する研究
6)食品機能性の高いタモギタケの開発

○受託試験研究
 受託試験研究は,林産試験場が民間企業から研究の依頼を受けて実施し,その成果を民間企業に技術移転する制度です。共同研究との違いは,民間企業に研究の分担がないこと,取得した特許は北海道に帰属することなどがあります。

1)カラマツおが粉を用いたシイタケ菌床栽培技術の開発
 
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