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Q&A 先月の技術相談から
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Q&A 先月の技術相談から
Q:畳卸売業をしています。納入先から「ムナビロ○○」とかいう虫が出たと言われました。当店の畳が原因なのでしょうか?予防,駆除の方法は?

A:「ムナビロヒメマキムシ」のことと思われます。学名Dienerella costulata (Reitter),甲虫目ヒメマキムシ科に属し,成虫で体長1.0〜1.5mm前後の小さな昆虫で,家屋の不快害虫として紹介しているインターネットのホームページもあり,食品産業ではコウジの害虫ともされています。本種のように体長数mm以下の小さい昆虫は,一見しただけでは種類を見分けにくく,鑑定には実物を検分する必要がありますが,ここではムナビロヒメマキムシについてお答えします。

 成虫,幼虫ともにカビを食べるこの虫は,イグサやワラなどの畳材料をエサにして繁殖することはありませんが,畳に生えたカビでの発生例があります。つまり,畳が虫を発生させるのではなく,カビが原因なのです。従って,この虫の発生を防ぐには,屋内をカビが生えない環境にすればよいのです。風通しを良くし,日光を採り入れ,カビが生えやすい食物の屑やゴミ・汚れなどを放置しないなど,考えてみれば,人間が快適に過ごせる居住環境を保てばよいことになります。もちろん,製造,流通,施工の各過程で製品をカビから守ることは、伝統文化を担う業界の皆さんに対しては,釈迦に説法と思います。

 この虫は,本州以南では家屋内や工場,倉庫などでよく見られる,ごく普通の種類です。人を咬んだり刺したりはしませんが,気になるようでしたら,見つけた虫は今時の電気掃除機で吸い込めば大抵死んでしまいますし,市販のスプレー式殺虫剤も効きます。大量に発生するなら,押入や家具の陰にカビが大量に生えているなどの発生源があるはずなので,それを探し出して排除し,前述のような環境改善策を施します。発生源が見つからないときや,発見しても改善が困難な場合は,駆除消毒の専門業者に作業委託することになります。

 害虫かな?と思ったら,まずは,なるべく損傷しないように捕獲し,住まいの害虫に詳しい保健所などの専門機関に照会するとよいでしょう。種類が分かれば,その虫が「害虫」かどうかも分かります。また,駆除,予防法も,虫の種類により異なりますので,正体を明らかにしてから相応しい対策を取るのが得策です。

<余話:濡れ衣を着せられる虫たち>

 自宅床下で虫を見つけ,心配して相談に来られた方の採集品の中に,別種ですがヒメマキムシ科の昆虫も含まれていました
(写真:クビレヒメマキムシ,学名Cartodere constricta (Hummel))。ヒメマキムシ科の昆虫はカビしか食べないので,土台や床下材を害することはありません。しかし,カビを好む虫がいるということは,付近にカビが生えていることを示します。カビが生えるということは,湿度が高く,適度な温度で,日光消毒もされない,木材を腐らせる腐朽菌にとっても快適な環境です。ヒメマキムシは木材を加害しないどころか,木材が腐る可能性のある環境であることを教えてくれるとも言えませんか?
 室内で見つかる見慣れない虫は,家を傾けるシロアリや,タンスをボロボロにするヒラタキクイムシのイメージからか,「木材の害虫」という濡れ衣を着せられるケースが少なくありません。「貴社製の食器棚から虫が出た」と言われれば,家具メーカーは真っ青になりますが,鑑定してみると,お米や豆類につく虫だったりすることもあります。もちろん,食器棚の木材から発生したのでもなければ,家具を穴だらけにするはずもないのですが・・・
クビレヒメマキムシ成虫
 
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