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Q&A 先月の技術相談から
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Q&A 先月の技術相談から
Q:家具・クラフト製品の製造・卸売業をしています。納入先から「木製小物入れの引き出しが開かなくなった」と言われました。何が原因なのでしょうか?

A:今回のケースは,中国で乾燥した木材を現地で組み立て,できあがった製品を日本(旭川)に船便で送り,さらに日本各地へ出荷するというものです。ユーザーからのクレームの内容は,
①小物入れ本体が変形した(ゆがみが生じた)
②引き出しが開かなくなった
の2点です。
 返品された製品をよく見ると,引き出しはとりあえず開くようにはなっていましたが,前板が反っているためにフレームがゆがんでいて,引き出しを開けるのに必要な左右のすき間が十分確保できていませんでした。
 この小物入れを購入したユーザーは本州にお住まいの方とのことで,梅雨時期の高い湿度の影響で木材が伸び,結果として引き出しが開かなくなったようです。
 木材は,周囲の温度・湿度によって決まる平衡含水率値(図1)に応じて,伸びたり縮んだりします。例えば,家具などによく使われるタモ材では図2のように製造されたときの板幅が300mmでも,梅雨時の屋外のように高い湿度の所に置かれた場合には,出荷後に303.7mmになる可能性があります。
 この製品の場合,設計段階でこのように木材が寸法変化をするということは想定していたようですが,そり・ねじれ等が予想外に大きく発生したようです。この原因として,製品を組み立てる前の木材の乾燥方法が適切ではなかったことが考えられます。具体的には製造コストを抑えるために,
①人工乾燥時の仕上がり含水率値に達する前に乾燥を終了してしまった
②乾燥することによって生じた応力(木材の中にたまった力)を取り除くための調湿時間を短縮した
等の原因が考えられます。
 製品になってしまってからでは変形させないで含水率や応力を除くことはできませんので,部材の段階で十分に乾燥し,応力を除くことが必要です。

参考文献
1)寺沢真,鷲見博史:木材工業, 25(7), 297-303 (1970).

図1 日本各地の屋外における平衡含水率値


図2 ヤチダモ板目材の寸法変化例
(製材乾燥科 伊藤洋一)
 
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