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道産材を用いた異樹種集成材
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道産材を用いた異樹種集成材
技術部加工科 丹所 俊博

林産試験場で開発した異樹種集成材

(左から)ダフリカ×カラマツ,ダフリカ×トドマツ,ベイマツ×カラマツ,ベイマツ×トドマツ

はじめに
 過去10年くらいの間に,一般の木造住宅に用いられる構造用集成材の量は飛躍的に増加しました。
 集成材とは厚さ5cm以下の板(ラミナと呼んでいます。一般的には20~30mmの場合が多いです)を何層も重ねて接着剤で張り合わせた材料のことです。中でも,住宅の柱や,梁など大きな力を支えるために使われる集成材のことを特に構造用集成材と呼んでいます。従って,構造用集成材には寸法変化が少ないことだけでなく,実用上十分な強さが求められるので,日本農林規格(JAS)1)で細かく性能等が決められています。
 構造用集成材の使用量が増えたのは,それの持つ寸法安定性と強度性能が高く評価されているためです。集成材の需要の増加に伴い,集成材製造に用いられる道産材も増えています。
 最近は以前に比べ,特に高い強度を持つ構造用集成材の需要が増えてきました。今まで道産材で供給してきた構造用集成材の持つ強度は,実用上十分なものではありますが,それ以上の強度が求められることがあるのです。現状では,それだけの強度を持つ構造用集成材を道産材のみでは安定的に供給できません。
 このような中,集成材業界からの要望もあり,道産材の需要増加と高い強度を持つ構造用集成材の安定供給を目指して,道産材を用いた異樹種集成材の検討を行ってきましたので,その取り組みをご紹介します。


図1 集成材の断面構成

(対称異等級構成で,10plyの場合)
断面の『L140』などはそれぞれのラミナのヤング係数。左側3つはJASで規定されている断面構成。右端はJASの認定を得た,スギとベイマツの異樹種集成材の断面構成。

なぜ異樹種?
 道産材だけでは特に高い強度の集成材が安定供給できないために異樹種にすると言いましたが,異樹種にするとどれくらいの強さを持つ集成材が製造可能になるのでしょうか?そもそも,集成材を製造するのに樹種が関係あるのでしょうか?
 構造用集成材にはJASが定められており,仕様や性能が決められています。また,適正製造基準2)によって詳細な製造条件等が定められています。現在の製造基準の中では,構造用集成材は原則として同一樹種で製造することになっています。
 図1にその1例を示しましたが,内側から外側に向かって強度(ヤング係数)の高いラミナを張り合わせていき,ラミナの組み合わせ方によって集成材の強度等級(E95-F270など)は変わります。
 道産のカラマツ・トドマツで一般的に製造できる集成材の強度等級は,それぞれE105-F300・E95-F270と言われています3)。これ以上の強度等級のものでは,集成材を製造する際に必要となる,外側の強度の高いラミナを道産材から得ることが難しくなります。従って,それより強度等級の高い集成材はベイマツやダフリカカラマツ(以下ダフリカ)などの外国産材を用いて製造されています。
 そこで,道産材を用いてより高い強度等級を持つ集成材を製造するために,高い強度が必要となる外側のラミナを外国産材に置き換える異樹種集成材が考えられます。
 他の都府県ではスギの利用拡大が課題となっています。スギはカラマツやトドマツに比べ強度が低く,強度が求められる構造部材としては不利です。そこで,高い強度が期待できるベイマツと複合させたスギ-ベイマツ異樹種集成材が開発されました4)。まだ広く一般に出回るほどの生産はなされていないようですが,画期的なことだと考えられます。

実用化させるためには
 異樹種集成材を実用化させるためには,どうしたらよいのでしょう?それにはまず,構造用集成材としての性能を満足していることを明らかにしなければなりません。その上で,実際にJAS製品として認可を受ける必要があります。
 林産試験場では,外側にダフリカ・ベイマツ,内側に道産のカラマツ・トドマツを配置した強度等級E120-F330(図2)の異樹種集成材の検討を行ってきました。

図2 断面構成と樹種の組み合わせ

異樹種集成材の性能
 構造用集成材のJASにおいて要求される性能は,大きく分けて強度性能と接着性能です。
 まず,強度性能を明らかにするために曲げ強度試験を行いました。試験の様子を写真1に,結果を図3に示します。
 試験の結果,曲げ強さ・ヤング係数ともJAS適合基準である,33N/mm2,12kN/mm2を満たしました。曲げ強さで1つの試験体のみ基準を満たさないものがありましたが,この原因はたて継ぎの接着不良によるものであり,異樹種構成による強度低下とは考えられませんでした。
 次に接着性能です。今回,異樹種集成材を製造するにあたり使用した接着剤はレゾルシノール樹脂接着剤(RF)と水性高分子イソシアネート系接着剤(API)の2種類です。接着性能試験として,はく離試験とブロックせん断試験を行いました。はく離試験では,浸せき・煮沸・減圧加圧の各促進劣化処理を行い,接着層のはく離を調べました。また,ブロックせん断試験では,接着層のせん断強さを調べました。両試験の結果,いずれも良好な結果を得ることができました。

写真1 曲げ強度試験の様子


図3 曲げ強度試験結果
D:ダフリカ,B:ベイマツ,K:カラマツ,T:トドマツ

まとめ
 道産材を用いた異樹種集成材の実用化に向けて,強度性能・接着性能に関する試験を行った結果,異樹種集成材がJAS適合基準を十分に満たす性能を有しており,異樹種集成材の実用化は技術的に可能であることが明らかになりました。
 今後は,道内の集成材業界をはじめとした関係各所と協力して,道産材を用いた異樹種集成材のJAS認定を目標とした実用化に向けて取り組んでいきたいと考えています。

参考資料
1) 構造用集成材の日本農林規格,(財)日本合板検査会(2003).
2) 食品等適正製造基準作成事業報告書 構造用集成材,(財)日本合板検査会(2000).
3) 高井平三:木材工業,58(1),23-26(2003).
4) 異樹種集成材開発事業,山佐木材株式会社,中国木材株式会社(2000).
 
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