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特集『2004木製サッシフォーラム』ウィンターガーデンとは
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●特集『2004木製サッシフォーラム』
ウィンターガーデンとは
林産試験場 企画指導部 主任研究員 石井 誠

 はじめに

 ウィンターガーデンとは何でしょうか。辞書を見ると,冬園と訳されていて,雪が降っているような冬場でも使える庭のことです。北海道では,冬に庭に出る人はあまりいません。なぜかというと,出歩くのに障害があるからです。その障害を1つでも2つでも除いてあげれば,出歩いてくれるかな。3つも4つも取って,居室と同じ状況にしたらそこでくつろいでもらえるかな,ということを期待して,このテーマを取り上げてみました。

 ウィンターガーデンを分類すると

 ウィンターガーデンを分類すると,3つに分かれます。まず外の環境に近い緩衝帯です。外は雪が積もります。雨が降ります。風がふきます。強い日射があります。その内のどれかを取ってあげれば,過ごしやすくなります。その対策の例として考えられるのはデッキ,パーゴラ,軒下や縁側です。これらは天候の中の障害の一部を除いてくれます。
 次に居間の延長ですが,その一例としてはサンルームがあります。それは,居間から独立した空間と,屋根や壁をガラス張りにして,居間とサンルームを一体にした空間の2つがあります。
 それから,植物を育てるための空間としての温室がありますが,今回お話しする内容ですと,ちょっと異質なので省きました。

 冬期間のサンルームの活用

 高齢者は,冬の間家の中に閉じこもって,あまり出歩かないので,体を動かさない,太陽の光を浴びない,風を感じない生活をしがちです。それを解消しようとすると,身支度をして長靴を履いて,雪の中を歩き回ればよいということになるのですが,そうはいかないですよね。特に足腰が弱くなってしまうと,滑って骨折して寝たきりになってしまうことがありますから,そういうことをさせてはいけないと考えます。それで,サンルームのような空間が活用できます。

 ウィンターガーデンで風を受ける

 最近の高気密住宅では,家の中で換気や暖房で生じる気流を感じると不快感があるのですが,外の風には爽快な感じを皆さん抱きます。窓から入ってくる風と家の中の空気の対流の風というのはちょっとイメージが違うように思います。自然な風を受けるということが大切かなと思います。また,外の景色の変化を楽しむ。ゆったりと座って外の景色を楽しむ。あるいは,外で子供が遊んでいるのを眺める。外を歩いている人と会話をする。その友達を中に招いて,お茶を飲む。こういった生活の変化をウィンターガーデンでは受けることができると思います。

 木材のメリット

 それでは,なぜ木製のウィンターガーデンが良いかということですが,一つは木材が熱を伝えにくく,結露しにくいということです。主なサンルームの材質はアルミですが,北海道でサンルームがなぜ普及しないかというと,その原因の一つは非常に結露しやすいからです。
 それから,木材は加工が容易だということです。色々な形のものが簡単にできるということです。
 また,強度が強いため,家と同じ構造躯体と考えてよいわけですから,アルミやプラスチックと比較すれば,冬期の積雪などに耐えることが容易にできます。
 木製サッシが何で良いのかというときの一つの大きなメリットとして,質感やデザイン性を挙げる方が結構います。そのため家の方の窓を木製サッシにして,ウィンターガーデンも木製にすれば連続したものになり,さらに統一感がでて,住宅のデザインを引き立てることになります。


 パーゴラ

 これから実例ですが,写真1は上の方にパーゴラを設けて,軒の深い屋根の下で過ごす空間を創ってあげるということですが,これは風や陽の光は入れますが,雨が降ってきたら雨を防ぐことができます。それから,パーゴラにツタなどの植栽をすることによって,夏の強烈な太陽の光や熱を遮ることができますので,うまく作れば気持ちのよい空間になります。


写真1 パーゴラのある空間

写真2 居間と外との緩衝帯

 ガラスの壁

 写真2も同じ木のデッキを使っていますが,壁がガラス張りになっていて,室内と連続した空間のイメージです。私が基本的なコンセプトと考えている,家の中と外の連続性を持たせた緩衝帯という考え方なんですが,これが具現化しているような実例だと思います。


 縁側

 これからは,屋根をかけた例ですが,写真3は札幌の「北海道開拓の村」にある建物です。昔はこういった縁側があったわけです。当然,縁側の外側は雨風を防がないといけないので雨戸が付いています。雨戸には板張りやガラス張りがあります。最初は一番簡単な板張りから,閉めていても外が見たいという欲求が出てきたんだと思います。それでガラス張りにすることで,光を取り入れると同時に外が見えるようになります。


写真3 縁側のある古い住宅

 2階の縁側

 写真4は,昔旭川にあった旅館です。2階を見ていただきたいのですが,L型の連窓になっていて,2階に縁側のような廊下が付いたもので,その内側が客室になっています(写真5)。昔の知恵かなと思っています。廊下が断熱の緩衝帯になっているのだと思います。夏になったら開放する。ここが通路になる訳ですから,客がとなりの客の迷惑にならないようにトイレに行くことができるし,トイレの臭気なども部屋に入ってこないということになります。必要に迫られていろんなものを付け加えていったらこんなものができたんだと思うのですが,結構これは究極の世界ではないかなという気がします。


写真4 旭川にあった古い旅館

写真5 旅館の内部

 サンルームの遮熱

 サンルームをいかに遮熱するかですが,屋根がガラス張りであれば,上に日よけを付ければよいということです(写真6)。それともう一つ,屋根はガラス張りにしないけれど壁面は全面ガラス張りにするという考え方もあります(写真7)。これの良い所は,屋根を母屋から連続させればよいので,屋根の納まりを気にする必要がないということです。壁の上までガラス張りにしているので,上の方まで明るく見えます。


写真6 ガラスの屋根の日よけ

写真7 壁のガラス張り

 実験住宅での測定

 林産試験場でも写真8のようなサンルームを作り,温湿度環境を測ってみました。その結果,夏期に開口部を締め切ると温度が非常に上がって,高い所だと80℃位になってしまいました。それで,窓やドアを開けて換気してやるだけで,ずいぶん温度が下がりました。それに遮熱用のブラインドをするとさらに良くなって,外気温と変わらない位まで下がりました。
 冬期には,日が出れば温度は上がってきました。日が出なくても昼間は20℃位まで上がりました。しかし,夜間は0℃近い温度になるので,夜間も使うのであれば何らかの暖房を考えないといけないと思います。


写真8 実験住宅

 実証住宅

 試験結果を考慮して実証したのが,旭川市内に建設された写真9の建物です。木製サッシを入れました。サッシと同じ塗装でサンルームができています。屋根には排熱用の天窓が付いています。居間との間には折り戸が付いています(写真10)。これが私たちの提案の一つです。これだけやるとかなりの面積を開放できます。
 温度を見ると,室内は夏も冬も20~30℃位で安定しています。ウィンターガーデン内は,冬の夜でも0℃位までしか下がりません。夏の昼に20℃から暑いときに40℃位まで上がることがありますが,その時は開口部が密閉状態で窓を開ければ外気温度位まで下がります。


写真9 サンルームの実証住宅

写真10 居間から見たサンルーム

写真11 木のメンテナンス

 おわりに

 こういった講演会で私は写真11をお見せします。話をするときに木の良い面を並べるんですが,でもやっぱりメンテナンスは必要です。以前,ドイツで私が住んでいた家の向かいのおじさんが,ちょっと天気が良い休みの日には外に出ていって,塗料を木に結構まめに塗っていました。まめなメンテナンスが木を長持ちさせる一つのコツかなと思っています。
 ウィンターガーデンのメリットをいろいろ並べてみましたが,デメリットもあるわけですし,メンテナンスをしなかったら腐ってボロボロになってしまうこともあるわけです。その時は大規模に部材を取り替えなければならないことになりますので,このへんを考慮しながら使っていかなければならないと思います。

 
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