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特集『2004木製サッシフォーラム』意見交換会
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●特集『2004木製サッシフォーラム』
意見交換会
パネラー:鎌田,南原,石井(敬称略)
司会:平間

セミナー参加者
 木製サッシの利点等を伺いましたが,3点質問があります。1点目に木製サッシは開閉の際に,樹脂サッシに比べて大きな力が必要だと聞いたことがあるのですがその点についてはどうでしょうか。2点目は,冬場の乾燥で木材の欠点である反りが生じた場合,開閉の問題,また気密性能はどうなのか。3点目は,他に使用する際のデメリットはないのか。以上についてお願いします。

石井
 窓の操作性に関しましては,平間の方が詳しいと思いますが,開き戸に関しては金物をいかに障子に引き寄せるかという力だけなので,PVCサッシも木製サッシもほとんど変わりません。引き戸の場合は,初期の操作力というのが必要になりますが,PVCサッシが軽いかというと必ずしもそうではなく,高断熱のPVCサッシなどは重くなります。現在,平間が操作性を軽くするために研究していますので,成果が出ましたらご紹介致します。

 反りに関してですが,昔の建具のように部材断面が小さく,材料が少ない場合は問題が生じます。しかし,最近の木製サッシは枠の寸法が大きくなっていますし,国産品の窓は一枚板ではなくて集成材を使用していますので,反り等の欠点としてのクレームは少ないです。
 木製品は,メンテナンスが大切となりますが,塗装面をいかにリペアするか,それと木製サッシに限らないことですが,気密材などの消耗品を交換することが必要です。さらに,木材自体は結露しにくい材料なので,窓が結露する場合はガラス表面に発生することが多いのですが,その水がガラスを取り 付けているコーキングなどに付いてしまうと,そこにカビが発生することがあるので清掃する必要があります。
 木製サッシだからというデメリットはそれほど無いと思います。強いて挙げればコストが高いことです。

平間
 開閉力について補足説明させて頂きます。窓は,開き窓系と引き窓系と大きく2つに分かれていますが,窓の性能から言いますと,引き窓系の窓は,比較的気密・水密性能が出しづらいです。開き窓系の窓は,手前側に引くことによって気密材がつぶれるので,気密性能や水密性能を確保しやすいです。引き窓系の場合は,気密材がレール部材などの可動部分に擦れながら移動するという特徴があります。このとき開閉の際の力が大きくなってしまうのは,気密性能や水密性能を高めようという要求から,気密材を強く押しつけているためです。

 開閉力に関しては,JISの規格で,50N(ニュートン)のバネ計りを使用し開閉できる力であれば良いという規定しかありません。なぜ,開閉力が問題になっているのかを調べたところ,災害等が発生した場合に窓から逃げることや,煙が充満して窓を開けなければいけないときに,開閉力が大きいと力が無い子供やお年寄りにはこれがバリアになってしまうからでした。道立北方建築総合研究所と林産試験場で調査したところ,JISの規定する50Nよりも半分以下の約20Nでないと,快適に開閉できる力ではないことが分かりました。

 価格については,我々も木製サッシをカタログ等で拝見することがあって,いつも値段が高いのに驚かされます。その大半を占めているのが金物という話を聞きましたが,国内では見かけられない完成度が高い立派な金物であることを考えると,確かにうなずける点はあります。
 実際にサンルームの開発に取り組まれた南原さんにお聞きしたいのですが,消費者にとってサンルームには高価なものというイメージはあると思いますが,価格はともかく住宅にとってエクステリア・ガーデニングと関連付けられて必要なものの一部という考え方は浸透してきていますか。

南原
 サンルームの価格は,150万円から200万円くらいの商品となるのに対して,ガーデニングになりますと,高くても50万円くらいとなります。この商品の消費者の中心は主婦層となりますが,ここに夫の購買意欲も誘うことができれば価格的な問題はクリアできるかもしれないと考えております。

平間
 コスト以外の部分で,熱的な性能やデザイン,計画面のところで一般的なユーザーに受け入れてもらえるようなメリットを教えて下さい。

鎌田
 サンルームの設計者・研究者の立場から,安く作るためのアイディアをいくつか提供させて頂きます。大きなガラス窓をどうやって安く作るかということでは,柱をそのまま利用してサッシを入れなくて済むやり方があります。屋根のガラスも現在試行錯誤していますが,ポリカーボネートを使用するなど工夫次第では,安いものが作れると思います。
 南原さんのサンルームは,高級すぎて工務店が手を出しにくいかもしれません。一般ユーザーは,南原さんを工務店として商品見本から自宅に合うようにできるので買うというよりは作ってもらうという形です。しかし,工務店で作ってもらうのではなく一般ユーザーでも組立てられるものが商品だと思います。久保木工さんのIボックスは,16坪の建物で坪単価20万円という価格設定と自分でも組み立て可能という面で良い商品の一例だと思います。

平間
 コストという大きな問題はありますが,それに勝るような効果や発展性などはないでしょうか。

石井
 簡単に施工する方法として,例えば柱は大工に製作してもらい,後は木製サッシメーカーがガラスをはめ込んだパネルを木ねじで留めることが考えられます。南原さんの製品もユニットとして考えられたものです。それとは別に少し小さいパネルを色々と組合わせて四角でなくても,L型など様々な形が可能になります。
 木製のサンルームの利点としては,エクステリアとしての連続性を期待することができると思います。エクステリアとして,デッキやパーゴラなどがありますが,これに連動させて夏は植栽のツル類を育てる,あるいはブドウなどを植えることで日射遮蔽をすることも良いかも知れません。

鎌田
 最近は,防腐塗料を定期的に5年くらいのサイクルで塗布していくことによって,木材は30や50年持つという常識が普及しています。ところが,スイスに行ったとき一切塗装していませんでした。RCの建物では,外断熱で外側に木材の羽目板を張っているのですが,その目地には10mmくらい隙間を開けて中のグラスウールが見える施工をしていました。それがスイスでは,デザインとして受け入れられている。
 スイスでは,元来塗らなかったが,日本もそういう時代もあった。しかし日本では塗らないと,水が浸入し斑模様となり,その後ねずみ色を経て黒くなっていきます。薄い板では防腐塗料を塗らなければ無理ですが3cm以上の木材であれば塗っても塗らなくても寿命は変わらないというのがスイスの考えです。さらに日本とは違いスイスの場合は,空気がきれいなためか黒くならずにねずみ色のままで推移します。この,ねずみ色がスイス人は好きだからと言っていたことに,ショックを覚えました。

 水が溜まるサッシ系は難しいと思いますが,塗料を塗らなければいけない条件について皆さんに研究してもらい,この成果を造り方として応用して塗らない木質材料を開発したいです。また,場合によっては大きな木材の使い方をすれば,大きなサッシも塗らなくても良いのかも知れないということも視野に入れて検討してもらいたいです。

セミナー参加者
 鎌田先生の言われた通り,薄い材料については塗らないと無理だと思います。日本でも針葉樹については,伊勢神宮など長い年月を経ていますが,ただしこれはヒノキです。スイスの材料も針葉樹だと思います。
 ヨーロッパの人々は広葉樹に限っては非常にメンテナンスをしっかり行います。コペンハーゲンに行ったときの話ですが,そこにあったベンチは,年月の経過を感じさせないくらいメンテナンスが行き届いておりました。また石造りの住宅のドアは,大半ナラの無垢板が使用されており,これもきれいに塗装されておりました。このように,針葉樹は無塗装にして朽ちるままにしておき広葉樹は塗装するという傾向があるのかもしれません。

 アメリカの方では住宅の外装材として羽目板にはペンキをたくさん塗るところもあります。しかし,アメリカでも北太平洋の方では,ウエスタンレッドシーダー(米杉)や南の方へ行くとセコイヤ(レッドウッド)などは割って無塗装のまま壁や屋根に張り,経年変化による美しい色合いが好まれる地域もあるようです。

セミナー参加者
 一般の建主の中では,木質材料にはメンテナンスが必要だということが常識になっていますが,林産試験場で開発したWPC処理したものをサッシに使用し,壁には無垢の材料を使用することによって,中間メンテナンスが必要なくなるのではないでしょうか。

鎌田
 WPC材と言えども,木材よりは優れていますが,外装材としては紫外線に強いとは言えません。そこで,木製サッシに関しては,大きな木材を選んで使用する。久保木工のように集成材を製造するよりも張り合わせる方法で木の欠点である反りがでないように簡単に製造する方法があります。
 サッシをできるだけ大きくして,これを柱に被(かぶ)せる方法でガラス面を大きくしようということを提案してきました。半外付け・内付けサッシよりは,完全外付けサッシの方がガラスは大きくなります。私が書いた試作設計もサッシは柱に被せているので,障子も柱に被っています。木製サッシによる断熱効果を柱がさらに補強している。ガラスの面積は,柱の内寸なので大きくなります。スイスの住宅の窓も同じように大きい窓でした。だから,片引きの障子枠は,柱に被っています。木材は大きくしつつそこの場所をうまく利用すると,ガラスの大きな気持ちの良いサッシができ,バランスも良くなる。木材を大きくすることで,北側などは塗装する必要があっても,その他は塗らなくて済みますのでメンテナンスが不要になります。

 木材に関して,ここ10数年の防腐剤を塗布して木材の寿命を延ばすという意識は勘違いかもしれません。この意識が普及の足かせにもなっています。私たちの実験住宅も10数年経って腐ってきたので防腐剤を塗ろうとするところがたくさんあった。5年に1回のメンテナンスはなかなかできないのが実情です。
 防腐剤でごまかすのではなく,木材と納まりで水切りをしっかりする。日本の場合は,横に水切りの立ち上がりはないが,ドイツの場合は必ず大きい立ち上がりが横に付いています。このような水切り部品が汎用品として売られています。そういった部分で考えれば,木製サッシであっても塗装はしなくても良いと思います。

 ただ,ドイツでは色あせてきたら着色をするという防腐剤としてではなく木材表面の保護として着色塗料を使用しています。日本の工務店では,サドリンが防腐剤のなかでも色持ちが良く,メンテナンスが少ないと言われています。オスモは,サドリンよりもさらに色持ちが良いと宣伝しています。ともに色持ちのよさをアピールしています。これは,日本人がいかに塗り直さないかということを知っての販売戦略だと思います。
 とにかく,木材に塗料を塗らなくても良いということは画期的なことで,これを正面から取り入れて今までの考えを変えていくと違う展開があると思います。

石井
 WPCについてお話しします。非現実的になりますが仮に耐候性を持たせた窓を製作するとなれば,とても高価なものとなります。WPCは耐候性に関しては一般の木材とあまり変わりませんので塗装しなければなりません。このように,サッシのWPC化はコスト・製造面から難しいと考えられます。

平間
 予定の時間となりましたので,これにて木製サッシフォーラムを閉会させて頂きます。本日は天気が悪い中,最後までご聴講頂きありがとうございました。

(文責:林産試験場 性能部 平間 昭光)

 
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