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ペレット燃料ふたたび |
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利用部 物性利用科 山田 敦 |
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はじめに平成16年1月,網走管内滝上町の滝上町木質バイオマス生産組合(眞貝眞佐喜理事長)がトドマツおが粉を原料としたペレット燃料の商業生産に着手しました(写真1)。 ![]() 写真1 滝上町のペレット燃料 ペレット燃料とはおが粉などの木材の粉砕物を熱と圧力で径6~8mm,長さ1~2㎝の円筒状に成形したものです。木質成形燃料としては日本独自の技術であるオガライト(通称オガタン(オガタンは本来,オガライトを炭化したもの))が有名ですが,ペレット燃料は粒が小さいため自動供給や細かい温度調整ができます。 なぜペレット燃料なのか 1997年の京都会議(COP3)以来,地球温暖化防止のために温室効果ガス(二酸化炭素,メタンなど)の発生抑制が世界的な命題となっています。木材などのバイオマスは光合成により空気中の二酸化炭素を固定し再生産が可能なので,石油等の化石燃料の代替とすることにより二酸化炭素発生抑制に効果を持つと期待されています。我が国においても「バイオマスニッポン」の名のもとに種々の取り組みがなされています。 一方,北海道では冬季の暖房用として年間400万klもの灯油を消費しており,家庭用の灯油消費量は全国平均の2.7倍と言われています。この一部でもペレットや薪などの木質バイオマスで代替できれば,地球温暖化抑制に大きく貢献することができます。 岩手県葛巻町では現在でも広葉樹バークを原料としてペレット燃料を製造し,町内のボイラー施設等に供給しています。折からのバイオマスブームにのり,その取り組みが全国的に注目されています。 しかし,欧米などで家庭用に使われているペレットストーブは,灰の後始末を楽にし効率的に燃焼させるために,灰分の少ないおが粉を原料としたペレット燃料(ホワイトペレット)を使用するように限定されています(写真2)。 |
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![]() ![]() 写真2 ペレットストーブとトドマツペレット燃料 |
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林産試験場では過去にカラマツおが粉を原料としてペレット燃料を試作した経緯があり,当時のペレッティングマシンもそのまま残されていました。そこで眞貝理事長らが林産試験場の指導を受け,町内で産出されるトドマツおが粉を原料としたペレット燃料の試作に取り組んだところ,輸入ホワイトペレットと遜色のない性質を持つペレット燃料を製造できることが明らかになりました。 ペレット燃料の造り方ペレット燃料の造り方を図1に示します。まず林地残材,工場廃材の木質系バイオマスを破砕機によっておが粉状にします。原木など大きくて含水率の高い原料を粉砕する場合は,一度チップ状に粉砕(一次粉砕)し乾燥したのち,再度おが粉状にまで粉砕(二次粉砕)します。 ![]() ペレット燃料を製造する上で一番重要な工程は乾燥です。ペレッティングマシンの能力(圧力・温度)にもよりますが,原料水分が高いと固まらず,原料水分が低いほど比重が高いペレットができます(図2)。 |
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今後の課題 滝上町のペレット工場は順調に稼働していますが,北海道においてペレット燃料が確固たる地位を得るためには,次のような課題があります。 |
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