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林産試だより2005年2月号 Q&A 先月の技術相談から 変形増大係数について
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Q&A 先月の技術相談から

Q:住宅の設計をしています。梁の強度設計をするときに出てくる,変形増大係数について教えてください。また,以前の計算方法との違いについても教えて下さい。


A:変形増大係数は,平成12 年建設省告示1459 号「建築物の使用上の支障が起こらないことを確認する方法」によって新たに導入されました。この係数は構造の形式ごとに決まっており,木造の床梁の場合は2.0 となっています。


 長期荷重と短期荷重

 建築物の構造計算を行う場合,加わる荷重として短期荷重と長期荷重の2 種類を考える必要があります。短期荷重とは風,地震や積雪などによる力,長期荷重は自重(固定荷重)や人・荷物などの重量(積載荷重)が該当します。参考までに短期とは10 分,長期とは50 年が目安です。


 木材のクリープ現象と変形増大係数

 部材に荷重を加えると,荷重の大きさに応じて変形します。ところがそのまま荷重を取り除かずに長い時間がたつと,木質部材の場合には最初の状態よりも変形が増大していきます。これはクリープ現象と呼ばれています(図1)。このように,長期間にわたって荷重を受ける場合のたわみは,短期間でのたわみよりも大きく見積もる必要があります。そのための係数が変形増大係数なのです。


図1 木材のクリープ現象

 告示以前の計算方法

 この告示が公布される以前は,長期たわみを計算するにはヤング係数を1/2 倍して式に代入するという方法がとられていました。しかし,材料固有の数値であるヤング係数を変化させる方法は不合理である等の指摘があり,計算して得られる結果は同じなのですが,新たに変形増大係数を設定することになりました。


 計算例

 図1 のように等分布荷重を受ける床梁の曲げたわみは下の式の下線部分で計算できます。告示では,その値に変形増大係数をかけたものがスパンの1/250 以下であることを確認することが定められています。

  長期たわみ= 5L3/384EI ×W× 変形増大係数 ≦ L/250
  ここで,L:スパン,E:曲げヤング係数,I:断面二次モーメント,W:固定荷重と積載荷重の和

 ただし荷重のうちの積載荷重は,強度計算する場合に用いる値(衝撃や集中を考慮した荷重で,住宅の床梁の場合は1,800N/m2)ではなく,たわみ計算用の値(荷重の平均値,600N/m2)を使用することになっているので注意が必要です。これは,衝撃や集中荷重が50年間ずっと加わった状態となる確率は極めて低いという判断に基づいています。

(性能部 構造性能科 戸田正彦)
 
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