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林産試だより2005年4月号 Q&A 先月の技術相談から
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Q&A 先月の技術相談から
Q:橋梁の設計をしています。防護柵の化粧材としてカラマツ材を使いたいのですが,カラマツの耐用年数や防腐処理方法などについて教えてください。また,設計上の留意点についてもお願いします。

A:カラマツ材を橋梁の防護柵に使う場合の耐用年数や設計上の留意点等については,屋外で使われる他の木製品と同様に考えることができます。


 カラマツは無処理材でも耐朽性は中程度あります(野外で5~6.5年)が,それ以上の耐用年数を求めるのであれば,防腐剤の加圧注入処理を行ったほうがよいでしょう。防腐剤で処理した木材の耐用年数は,メンテナンスの頻度や使用環境にもよりますが,10年程度といわれています。
 木製品の機能性や美観を損なわず長期的に使用するためには,設計手法や使用樹種の選定,防腐処理,メンテナンスなどを組み合わせた対策を講じる必要があります。以下にそれぞれのポイントについて説明します。


1. 設計手法

 木材が「腐朽」する要因となる水分をできるだけ排除するためには,次のような点に留意して設計する必要があります。
・雨水が溜まらないように水勾配を設ける。
・木材の木口面は水が浸透しやすいので上に向けて露出させない。

部材の水勾配の図解プランターの底を地面から離す
・鋼材等の異種材料と組み合わせることで,部材交換や再塗装等のメンテナンスが容易となるとともに,木材を地際から離すことができます。

2. 使用樹種の選定

 木材の耐朽性は樹種によって異なるため,製品に求められている耐用年数とともに木材の入手のしやすさ,強度,加工の難易度等を考慮した上で樹種を選定する必要があります。その意味からするとカラマツ材は防護柵の化粧材に適した樹種といえます。
 なお樹種ごとの耐朽性の区分については,(社)日本木材保存協会「木材保存学入門」を参考にするとよいでしょう。


3. 防腐処理

 木材の耐用年数を延ばす方法として,木材用塗料の塗布,防腐剤の注入等があります。様々な方法や防腐剤がありますので,求められる耐用年数,使用環境,メンテナンスの頻度,予算規模等を考慮したうえで選定します。
 防腐処理等の方法としては「撥水効果の高い木材用塗料を塗布する」,「防腐剤を木材表面に塗布する」,「防腐剤を木材内部まで浸透させるために,どぶ付けや加圧注入処理を行う」などがあります。また,カラマツのように防腐剤の注入しにくい樹種については,インサイジング加工(木材の表面に適当なキズをつけることで,防腐剤の浸透をよくする加工方法)を施してから防腐処理を行うことが必要です。さらに,塗装や防腐処理後に現場で継ぎ手や仕口加工をした場合には,防腐剤の浸透していない部分が露出するため,改めて防腐剤か木材用塗料を塗布する必要があります。
 日本農林規格(JAS)および(財)日本住宅・木材技術センターのAQ認証では,保存(防腐)処理木材の使用環境に応じて,使わなければならない防腐剤や木材に浸透させる防腐剤の量などの基準を設定していますので,下記のホームページなどを参考にするとよいでしょう。

○林産試験場のホームページ「改正されたJASの概要」
 http://www.hro.or.jp/list/forest/research/fpri/rsdayo/16698001001.pdf
○(財)日本住宅・木材技術センターのホームページ「優良木質建材等の認証(AQマーク)」
 https://www.howtec.or.jp/publics/index/139/


4. メンテナンス

 これまでお話ししたように「設計手法」,「使用樹種の選定」,「防腐処理」等の対策を講じたとしても,製品設置後のメンテナンスをおろそかにすると,期待していた耐用年数や機能が失われてしまうため,定期的に点検や診断を実施し必要に応じて補修,改修等を行う必要があります。
 屋外で使用される木製品のメンテナンスについては,過去に林産試験場でも紹介していますので参考にしてください。

○林産試験場のホームページ「木製屋外製品の維持管理について」 
 http://www.hro.or.jp/list/forest/research/fpri/dayori/0404/2.htm

 今回は,木材を屋外で使う場合の基本的な留意点等について述べました。製品設計の際には,それぞれの項目について,設計者と設置者がよく話し合って適正な対策を講じるようにしてください。


 参 考

 最近,木材を防護柵などの道路用資材として使う機会が増えているようです。この背景としては,平成10年11月に「防護柵の設置基準(国土交通省)」が改訂され,木材でも一定の強度性能を満たしていれば,一般道への防護柵設置が可能になったこと,さらに平成16年3月に道路と周辺の景観や町並みとを調和させるための考え方を整理した「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」が策定されたことなどもあるようです。このように木材が道路用資材として認められたことで,周囲の景観と調和する材料として,これまで以上に屋外で使われる機会が増えると考えられます。

(企画指導部企画課 石川佳生)
 
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