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林産試だより2005年6月号 平成17年度 林産試験場の試験研究の紹介 I. 木質材料の需要拡大を図る技術開発
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平成17年度 林産試験場の試験研究の紹介

 今年度は,新規課題29,継続課題21の計50課題の研究に取り組んでいます。これらの内訳は,重点領域特別研究6課題,農林水産省など国からの補助研究3課題,民間企業との共同研究15課題,民間企業からの受託研究4課題および一般試験研究21課題,経済部計上の研究1課題となっています。

試験研究課題
(重点:重点領域特別研究,一般:一般試験研究,外部:国からの補助研究,経済部計上:中企庁補助による集積活性化事業による研究)


I. 木質材料の需要拡大を図る技術開発 (新規8課題,継続7課題)

1)木質耐火被覆材による集成材耐火構造化技術の開発(一般:H17~18)

 平成10年に改正された建築基準法により,木質構造部材も所定の耐火性能を満たせば,鉄筋コンクリートなどのような非木質部材と同様に耐火構造物として建築することが可能となりました。ここでは,集成材に耐火性能を付与するために,難燃処理木材を使った耐火被覆材の開発や接合部の耐火性能の向上,耐火被覆材の効果的な施工方法などを検討します。

2)寒冷地仕様木造軸組外壁の防耐火性能推定手法の開発(一般:H17~19)

 北海道の多くの住宅では,壁内に断熱材が充てんされています。ここでは,道内の建材メーカーによる防・耐火構造外壁の開発,認定取得を支援するために,壁内に断熱材が充てんされた住宅外壁の防耐火性能を実際に耐火試験することなく,その適性を推定する手法を開発します。

3)既存木造住宅の生物劣化診断手法の開発(重点:H17~19)写真1 腐朽菌が蔓延した住宅床下の様子

 平成7年に発生した阪神・淡路大震災を機に建築基準法が改正され,木造住宅における耐震安全性が重視されるようになりました。しかし,住宅構造部材に腐朽や白アリによる被害などの生物劣化が生じると,新築時に確保した耐震安全性が著しく損なわれてしまいます(写真1)。現状での生物劣化の検査・診断は目視などの主観的評価でなされていることから,客観的で信頼性の高い評価手法の開発が求められています。そこで,木造住宅の長寿命化・構造安定性を確保するために,目視以外の客観的で信頼性の高い生物劣化診断技術を開発するとともに,生物劣化を受けた住宅に残存する構造性能の推定手法,生物劣化の状況に応じた処置方法を開発します。

4)道産構造部材の長期強度性能に関する研究(一般:H16~18)

 木造建築物の長期信頼性を高めるためには,道産構造部材の適切な使用と実大クリープ特性に関するデータの蓄積が不可欠です。さらに,新しい木質構造部材を適切に利用する際にも,より精度の高い長期変形の予測が求められます。そこで,道産構造部材(製材,集成材,Ⅰ形梁)を対象に,様々な外周環境や荷重条件において長期クリープ試験を行い,それぞれの実大クリープ特性を把握し,精度の高い長期変形を予測します。
※)クリープ:長期にわたって力を加えることによって変形が増大する現象

5)カラマツ間伐材を用いた雪害対策・緑化用構造物の開発 (外部:H16~18)写真2 試験施工した木製防雪柵

 強度性能に優れた鋼材と景観性に優れた木材を組み合わせたハイブリッド構造を採用した吹雪による雪害を軽減するための木製防雪柵,緑化による雪崩の軽減効果を目的とした緑化用雪崩緩和柵を開発します。これらの強度性能を明らかにするとともに,耐朽性,デザイン性を考慮した仕様の提案,構造計算のためのデータを蓄積します(写真2)。

6)光触媒機能評価システムの構築および活用製品の開発(重点:H17~19)

 酸化チタンの光触媒作用は,大気中の有害物質の除去,抗菌,防汚,水質浄化など,様々な業種・事業分野での環境ビジネス技術として注目されています。しかし,その特長や性能などに関しては,まだ知られていない面も多くあります。そこで,道内の中小企業による光触媒活用製品の開発に貢献するために,光触媒の総合的な評価システムを開発します。

7)熱処理による木質複合化材料製造技術の開発(一般:H15~17)

 チップや中小径間伐材の用途開発の一環として,木質材料と合成高分子材料の熱処理による複合材料を開発します。特に,NOx(窒素酸化物),SOx(イオウ酸化物)などの悪臭,有害ガス等の軽減に効果的な環境浄化材料としての特性を調べます。

8)安全で持続性に優れた木材の表層高耐久化技術の開発(一般:H17)

 防腐剤や表面保護剤などの薬剤により木材の高耐久化を図るのではなく,安全でクリーンな化学処理(エステル化)を木材表層部に限定して施すことで,木材自体を高耐久に改質する技術を検討します。
※)エステル化:木材の劣化の基点となる成分にアセチル基などを化学的に付与することで,高耐久化を図る手法のひとつ。

9)森林バイオマスを用いたアンモニア吸着材の製造技術および再利用に関する研究(重点:H17~19)

 アンモニアは悪臭の主要成分であり,工場等で排出する場合には悪臭防止法による規制対象となる物質です。堆肥製造工場や畜舎では大量のアンモニアが発生しており,作業環境の改善や近隣住民等への配慮のために悪臭抑制策の確立が急務となっています。そこで,中小径間伐材やチップなどの森林バイオマスを原料として,環境にやさしい熱化学変換技術を用いた高性能アンモニア吸着材料を開発します。さらに,実用生産機での製造技術を確立するとともに,畜産施設等での利用方法ならびに利用後の土壌改良材としての適性を検討します。

10)導電性物質を利用した発熱合板の開発と木質系暖房用製品への応用(外部:H15~17)写真3 発熱合板を採用した暖房器具(左)とサーモグラフによる表面温度の測定(右)

 平成13~14年度の共同研究の成果により,合板製造時の接着剤にカーボンやグラファイトなどの導電性物質を混合し,それに電極をつけて接着すると,非常に安価で良好な発熱特性を有する発熱合板の製造が可能であることを見いだしました。本研究では,発熱合板の発熱特性等を把握し,パネルヒーターなどの小型暖房用製品のほか,床暖房などの住宅暖房システムを開発します(写真3)。

11)道内未利用資源を利用する建材開発と評価システムの提案(重点:H17~19)

 道内の未利用資源として豊富な資源量を有するもみ殻,木工場廃材,ホタテ貝殻,火山灰,ピートモス,珪藻土,廃石膏ボード,住宅用グラスウール廃材を用いて,低コストで簡便な加工・成形技術を開発し,内装材や断熱材,構造面材,VOC吸着梱包材・養生材などの新たな建材を開発します。また,建材としての用途に応じた強度や耐久性能などの各種性能水準とVOC等の吸着性能などに関する評価手法を提案します。

12)北海道における住宅等の室内空気質の調査と改善方法の検討(重点:H16~17)

 平成15年7月より施行された改正建築基準法によって,内装にかかる使用建材に制限および換気装置の設置が義務付けられたため,室内空気質が大きく変わる可能性があります。さらに,規制物質も追加される方向にあることから,それらの物質の室内濃度や放散源を探り,追加による影響を事前に把握しておくことも必要です。そこで,全道で建設される新築住宅等を対象として,室内空気質,使用建材,換気方法,換気量などの調査を行うとともに,今後問題となり得る物質について検証を行い,その濃度低減のための改善方法を検討します。

13)旭川家具・建具のブランド化事業-低VOC家具認証に関する検討-(経済部計上:H16~17)

 家具や建具にはホルムアルデヒドやVOCについての法規制がないため,それらが原因で室内空気質の悪化が引き起こされることが考えられます。ここでは,家具・建具からのVOC等の放散量について,旭川地域独自の自主基準を検討し,測定体制を確立するとともに,家具・建具の保管・運搬中にVOC等を吸着する材料の使用方法や形状などを検討します。そして,旭川家具・建具のブランド化を推進するものとして,低VOC家具・建具認証制度の確立を目指します。

14)二酸化炭素固定能の高いカラマツ類の品種開発(重点:H15~17)写真4 グイマツ雑種F1次代検定林(美唄市)

 地球温暖化防止策として,二酸化炭素固定能の高い造林樹種の開発が求められています。ここでは,北海道の主要針葉樹のうち二酸化炭素の固定効果が最も期待できるグイマツ雑種F1写真4)について,早材部の密度が高い家系を選抜することで固定能の高い品種を開発します。

15)アカエゾマツ精英樹における材質での選抜基準の検討(一般:H17~18)

 主に北海道で選抜したアカエゾマツの精英樹クローン等を用いた材質試験を行い,育種アカエゾマツのねじれ,強度,密度などの材質特性を調べます。そして,各形質の遺伝性が高いものかどうかを調べ,ねじれなどの材質での選抜基準値を検討します。

 
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