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林産試だより2005年7月号 木製デッキに関する調査
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木製デッキに関する調査
企画指導部 経営科 高山 光子


 はじめに

 木製デッキ(ウッドデッキとも言う)は,以前は郊外型の新築住宅に見られる程度でしたが,この10年ほどの間に,新築住宅だけでなく,既存の住宅への後付け設置や,ガーデニングの一環としてホームセンターで販売されるDIYキットなど,様々な形で普及が進んできました。最近では,週末に家族で木製デッキの上で焼肉を行う風景も珍しくなくなり,特にこの時期は,毎週末のようにどこからともなく家族団らんの声と良いにおいが漂ってきます。

 このように普及の進んだ木製デッキですが,北海道のような積雪地域での利用にあたっては,デッキ上の除排雪の労力や落雪による破損の心配など,地域特有の課題を検討しなければなりません。また,さらに需要を拡大していくためには,現在設置していない人々への普及が必要となります。そこで,未設置者への普及も視野に入れ,積雪地域に求められる木製デッキの要件を把握するため,木製デッキの設置状況や問題点,改良要望などを明らかにすることを目的としたアンケート調査を行いました。ここでは,調査結果の主な内容について紹介します。


 調査の方法

 アンケート調査は,林産試験場で開催している木のグランドフェアのオープニングイベント「木になるフェスティバル」(2004年7月24日)の来場者を対象に行いました。本来であれば,居住地域や木製デッキの有無などの条件を考慮した,偏りのない対象者を抽出するべきですが,木製デッキの設置の有無に関する情報が無いこと,時間をかけずに調査数を確保できること,「木製品に関心がある層」に偏る恐れはあるものの木製デッキの購入者となる可能性が高い層であり,有益な情報が得られやすいことなどから,イベント来場者を調査対象としました。
 当日は,来場者に無差別に声をかけ,その場でアンケート用紙に記入してもらいました。アンケート用紙はA3版片面一枚とし,回答しやすいよう選択式の設問を多くしました。また,回答していただいた方には木片で製作したマグネットをさし上げました。アンケートの回収数は180でした。

 回答者の内訳

 回答者の内訳を見てみると,30代女性,40代男女が多く,30~50歳代で66%を占めました(図1)。居住地域は旭川市内が8割となっています。積雪地域に居住する木製デッキの購入対象者に近い年齢層への調査が行えたと考えられます。なお,20歳未満の回答者25名に関しては信頼性が低いため,この後の集計からは除外してあります。

 木製デッキはどの程度設置されているか

 木製デッキを実際に設置している人は20名(13%)と低い割合でした(図2)。未設置者135名に対し設置してみたいかどうか質問したところ,86%の方が設置したいとの回答でした(図3)。このことから,木製デッキに対する関心が高くても,何らかの事情で木製デッキを設置できないでいる人が多いことがわかります。設置を阻んでいる事情に対応できるようなデッキが提供できれば需要は大きいのではないかと思われます。

図1 回答者の年齢構成 図2 木製デッキ設置の有無 図3 木製デッキを設置してみたいかどうか

 なぜ木製デッキを設置していないのか

 では,どのような理由で木製デッキを設置していないのでしょうか。図4をみると「設置スペースが無い」が最も多く,半数以上が「設置場所」を理由に設置していないことがわかりました。設置スペース以外では,「価格が高い」(24%),「メンテナンスが大変」(19%),「屋根からの落雪」(15%)が続きます。
 これらのことから,木製デッキの普及をすすめるためには,限られたスペースでも使用可能なこと,低価格,メンテナンスの手軽さなどの点が重要になると言えます。

図4 木製デッキを設置していない理由(複数選択)

 木製デッキはどのように使われているか

 木製デッキを実際に設置している人はどのように使用しているのでしょうか。図5からわかるように,「焼肉」(65%)や「子供の遊び場」(50%)として使用されることが多く,「ガーデニング」や「ティータイム」,「洗濯物干し」などにも比較的多く使用されているようです。また,8割の人が週1回以上使用するとしていることから(図6),木製デッキが生活空間の一部として十分に利用されている様子が伺えます。このことが,自宅の木製デッキの満足度が「満足」「やや満足」合わせて9割であったことにも関係していると思われます(図7)。

 さらに,冬の間はどうしているのか質問したところ,「特に何もしていない」人が多く,何らかの対策を行っている場合は,「床板や手すりを外して収納する」,「手すりにビニールシートをかける」などがあげられました(図8)。また,木製デッキのメンテナンスに関しては,ほとんどの人が自分達で行っていることがわかりました(図9)。自宅の木製デッキの問題点としては「メンテナンスが面倒」(40%),「除雪が大変」(25%)などが多く(図10),より使い勝手の良い木製デッキにするためには,メンテナンスや除雪の手間を軽減することが求められていると言えます。

図5 木製デッキの使い方(複数選択) 図6 木製デッキの使用頻度
図7 自宅の木製デッキの満足度 図8 冬期間に行っていること
図9 メンテナンスはどうしているか 図10 自宅の木製デッキについて困っていること(複数選択)

 「収納できる木製デッキ」の提案

 これまで紹介したアンケートの結果から,限られたスペースでも使用可能なこと,低価格,メンテナンスの手間の軽減,積雪(落雪)への対応などが木製デッキを普及する上で重要であることがわかりました。スペースや積雪の問題に対する一つの案として,「必要のある時だけ設置し,冬期など必要の無い時に収納できる木製デッキ」というコンセプトが考えられます。アンケートではこのコンセプトについても聞いてみました。その結果,「収納できるデッキ」の設置希望は73%と高く,特にデッキの未設置者で多いことがわかりました(図11)。このことから,「収納できる木製デッキ」は今まで木製デッキを設置していなかった人々へ木製デッキを普及するための一つの考え方となると思われます。

図11 収納式のデッキがあれば設置したいか

 おわりに

 木製デッキは,室内から屋外に新たな生活空間を広げるエクステリア製品です。木製デッキには,屋外のくつろぎスペースとして自然素材やあたたかみなど木材の良さが生かされています。
 現在,林産試験場では,アンケート調査の結果を参考に,耐久性の高い木質複合材料を用いた「可動式木製デッキ」の開発に取り組んでいます。積雪地域で使いやすい木製デッキを提供することで,より多くの人が木製デッキのある生活を楽しめるようになると考えています。

 
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