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●工業所有権等の紹介 | |
木酢液・木タールを用いた土壌被覆材(マルチング材)の開発
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土壌被覆材とは,雑草の防除をはじめとして地温の安定,病害虫の発生抑制などを目的に,植物の周りに敷設するものを言います(写真1)。通常,安価なチップダスト(パルプチップよりも細かい粉砕物),樹皮,落葉などが,被覆材として使用されます。しかし,樹皮,落葉は軽いので飛散しやすく,腐朽を起こして黒変したり,窒素飢餓を起こして植物の生育に悪い影響を与えたりします。さらに,このような敷設は,美観的にも優れているとは言えません。 林産試験場では,トドマツ,カラマツなどの間伐材のほか,本州で除伐が進められている竹(モウソウチク)を用いて,その炭化の際に採取する木酢液,竹酢液,木タールと混合する土壌被覆材を開発しました(特許第3026206号)。混合することで芝生の病原菌に対する抑制効果が付与されるとともに,飛散しにくく,耐久性,美観に優れた土壌被覆材となることから,最近使用実績が増えているので紹介します(写真2,3)。 |
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加熱処理と分解生成物 木材や竹を炭化する際に,木酢液や木タールなどが分解液として得られます。はじめに,その分解生成物についてお話しします。 木酢液や木タールの効果 木酢液には酢酸など有機酸が多く含まれるので,その作用として,雑草防除あるいは植物活性効果などが考えられます。一方,木タールにはクレゾールやグアイアコールなどの芳香族炭化水素が含まれることから,その粘結作用,防腐作用が見込まれます。 今後の展開 分解液のデメリットとして,焦げた臭いがする,成分にバラツキが多いなどの課題もありますが,チップダストだけでは4~5年経過すると腐朽したり,非常に細かくなったりするのに対し,木タールによって保護された土壌被覆材はチップ形状を保ち,依然として雑草の防除効果も残存しています。 |
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