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林産試だより2005年8月号 ベッドサイド家具の商品化に向けて
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ベッドサイド家具の商品化に向けて
企画指導部 普及課 大西 人史


 はじめに

 わが国は,内閣府の「平成16年版 高齢社会白書」によると諸外国に例を見ない早さで高齢化が進んでいます。林産試験場は,このような状況を踏まえて福祉に関する研究に積極的に取り組んでいます。
 平成8~12年度『北国型福祉社会における住生活環境整備に関する研究』では,高齢者福祉施設向けのベッドサイド家具(以下,高齢者向けベッドサイド家具)を開発しました。
 この研究成果は,道の施策である15~16年度『木材産業新用途開発促進事業』で,プレスワーク・合同企業体(有限会社 プレスワーク・株式会社 合同建材)による「高齢者にやさしいベッドサイド家具の設計技術の開発」として商品化への取り組みが行われましたので紹介します。

 高齢者向けベッドサイド家具とは

 身体機能の低下した高齢者にとって,ベッド周辺(ベッドサイド)は様々な日常生活行為が行われる場所です。
 通常,高齢者福祉施設や病院などのベッドサイドには,床頭台(しょうとうだい)と呼ばれる比較的小型の家具が置かれていますが,現状の床頭台はベッド上からは使える部分が限られ収納力も小さいなど,あまり使い勝手の良いものではありません。
 高齢者向けベッドサイド家具とは,ベッドサイドでの高齢者の日常生活を支援するために,収納力の高い家具を高齢者の様々な姿勢や位置に合わせて容易に使いやすいポジションへ安定移動できるようにしたものです(図1)。
 この機能により高齢者は,ベッド上に横たわった状態から,ベッドから出て車いすに移乗した状態まで,ベッドサイドのかなり広い範囲で快適に家具を使用することができます。このことにより介護者の負担軽減も期待されます。

図1 「高齢者向けベッドサイド家具」概念図

 木材産業新用途開発促進事業による取り組み

 木材産業新用途開発促進事業は,木材産業と異業種業界が連携し,林産試験場が開発した研究成果(技術シーズ)を活用して新製品を開発・実用化することで,木材・木製品のさらなる需要拡大を目指すというものです。 
 プレスワーク・合同企業体では,高齢者向けベッドサイド家具を試作しながら,次のように事業を実施しました。

(1)プロジェクトチームの設置
 プレスワーク・合同企業体,林産試験場,福祉機器製作会社「たくみ」,NPOとかちシニアネットによるプロジェクトチームを設置し,チーム内で市場調査・モニター調査に関する意見交換や,試作品への改良点などについて検討しながら事業を進めました。

(2)市場調査
 高齢者向けベッドサイド家具の試作品を,以下の展示会へ出展して市場調査を行いました。
・十勝福祉フェスティバル(16年9月18日:帯広市)
・第31回国際福祉機器展H.C.R.2004(16年10月11~15日:東京都)(写真1
・十勝支庁「森と住まいのシンポジウム」(17年3月18~20日:帯広市)
 出展による反響は大きく,製品の目標価格や販売ルートが把握できたほか,顧客ニーズに関する情報を得ることができました。

(3)モニター調査
 試作品へのモニター調査を以下のように行いました。
・NPOとかちシニアネットの活動会場への来場者100名に対するモニター調査
・高齢者福祉施設(けいせい苑老人健康施設:帯広市)でのモニター調査(写真2
・福祉関連従事者,一般市民など1,000名に対するアンケート調査
 これらの調査結果から,試作品への具体的な改良点が多数得られ,商品化に反映させることができました。

(4)マーケット戦略の検討
 展示会への出展で良好なフィードバックが得られたことから,ショールームを設けて恒常的な展示を行うことを検討することになりました。
 また,全国規模のマーケットに対応するために,インターネットを活用した製品PRを行うこととしました。
 

(5)マスコミへのPR
・フリーペーパー 季刊「ゆにば」(発行:株式会社ネクサス)に2回,十勝毎日新聞に3回シリーズの意見広告を掲載
・十勝毎日新聞(16年3月30日,10月26日),北海道新聞(16年3月23日夕刊,10月25日)に記事として掲載


写真1 国際福祉機器展への展示状況

写真2 高齢者福祉施設でのモニター調査

 UDベッドサイド家具の商品化とその後の展開写真3 UDベッドサイド家具 左:Aタイプ,右:Bタイプ

 これらの事業成果により,高齢者向けベッドサイド家具は,道産ナラ材を用いた「UDベッドサイド家具」(A,Bの2タイプ)(写真3)として商品化され,17年度から販売が開始されています。
 Aタイプは,大型で高機能なモデルで,幅83×奥行39×高さ135cm,重量35kg,価格は約15万円。Bタイプは,若干小型化して価格を抑えたモデルで,幅72×奥行39×高さ135cm,重量30kg,価格は約13万円となっています。

 まだ具体的な販売実績はありませんが,プレスワーク・合同企業体では,今後も商品のさらなる高付加価値化とコストダウンを図っていくことと,商品の販売先を福祉分野以外の一般へ広げる展開を検討していく予定です。

*ユニバーサルデザイン(UD)とは,製品,建物,環境を,あらゆる人が利用できるようにはじめから考えてデザインするという概念です。
 
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