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林産試だより2005年9月号 木のグランドフェア -木になるフェスティバルの一日-
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木のグランドフェア -木になるフェスティバルの一日-
企画指導部 普及課 石河 周平


 はじめに

 第14回木のグランドフェアがスタートしました。これは,広く道民の皆様に木工体験や作品作りを通じて木の魅力や木の良さを感じていただいたり,林産試験場のことをもっと知っていただきたいという主旨で,(社)北海道林産技術普及協会とともに毎年開催しているものです。
 最近,「木育」という言葉をお聞きになるかと思います。これには,木を子供の頃から身近に使っていくことを通じて,人と,森や木との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育てたいという想いがこめられています。今年は,この産声を上げたばかりの「木育」を意識した内容にもなっています。

 今年のグランドフェアは,7月23日(土)をスタートに10月7日(金)まで行います。ここでは,主に初日のオープニングイベント「木になるフェスティバル」での様子に加えて,この期間中に開催されるそのほかのイベントについてもご紹介します。

 開会式

 7月23日は,快晴に恵まれました。お客様は8時ごろから来場され,9時半からの開会式を待ちました。開会式では,会場に一番早く来てくれた友人同士の小学生二人組,上川支庁を代表して上川南部森づくりセンター所長,(社)北海道林産技術普及協会会長,それと林産試験場長がテープカットに臨みました(写真1)。
 さあ,いよいよフェスティバルの始まりです。


写真1 開会式の様子

 木工工作体験

 今年も,さまざまな木工体験をしていただきました。バードテーブル,上川支庁の協力によるウッドコースターやどんぐりペンダント作りなどは恒例となっていますが,今年はさらに,ガーデニングを演出する椅子の形をしたフラワースタンド作りも加えました。この木工工作体験は,木のグランドフェアの目玉となっています(写真2)。
 木の感触や香りを楽しんでもらったり,作る上での工夫や親子の触れあいなど,工作を通じて得られることは少なくないでしょう。


写真2 ウッドコースター,バードテーブル工作体験

 おもしろ科学体験コーナー

 昨年から,林産試験場の研究内容をわかりやすいパネルとしたり,趣向をこらした演出で楽しくお伝えするコーナーを設けています。
 今年も各研究部が様々な展示を行いました。その一部を紹介します。

 ●きのこ部:「きのこビンゴクイズ」
 これは,まずゲーム開始前に挑戦者が用意されたきのこの写真パネルをじっくり見ておくことから始まります。ゲーム開始時にはこのパネルは伏せられます。
 そして挑戦者は自分に配られたビンゴ用紙(きのこの写真が升目にランダムに印刷されているが名前は書かれていない)の中の,読み上げられたきのこをチェックしていくというものです。パネルをよく見てきのこの名前と特徴を覚えておかないと,チェックできないという厳しい内容でした。挑戦者はパネルを真剣に見てゲームに臨んでいたようです(写真3)。
 景品には,培地付きあるいは袋詰めのマイタケやシイタケを選んでもらいました。培地付ききのこは1回収穫しても,条件さえ整えばその後も2回程度収穫できます。その際の栽培方法についても詳しく説明をして,きのこの栽培の一端も知っていただきました。


写真3 きのこビンゴクイズ


 ●利用部:「木の化学実験コーナー」
 最近バイオマス燃料について注目が集まっていますが,鋸屑を固めたペレットを燃焼させるペレットストーブ,熱源を選ばないスターリングエンジンの模型の展示のほか,バイオマス利用の可能性をパネルにした展示をしました。
 また,炭には目に見えない無数の小さな穴があり,この小さな穴による水の浄化なども目の前の実験で体験していただきました(写真4)。

 ●性能部:「木を感じるコーナー」
 このコーナーでは,視覚によらないで木の香りを嗅いだときにどう感じるか,また,種類の違う木の香りを体験できる「木のソムリエボックス」,木材とアルミニウムなど他の材料や,同じ木材でも表面処理が違うと手ざわりがどう違うのかなどを感じられる「触感ボックス」を展示し体験していただきました。そのほか,同じ形のダンベルをいろいろな種類の木で作りました。持ち上げてその重さの違いに驚かれた方も多かったようです(写真5)。
 また,職員が手作りした木琴や,音程を整えた板を階段状に配置し,上から木球が転がり落ちることで自動演奏する“自動木琴(かえるの合唱)”なども来場者の目をひいていました。


写真4 炭による水の浄化実験

写真5 木を感じるコーナー

 ●技術部
 細かい鋸屑に火が着くことで生じる粉塵爆発を推進力にしたて、アルミホイルで作った袋状のロケットを打ち上げるコーナーを設けました。木工場で発生する火災の多くが,集塵装置付近といわれています。現在の木工場では,赤外線センサーを用いて常時監視していることなども,観客の皆さんにお伝えしました(写真6)。
 また昨年に引き続き,場内の合板工場での実演を見ていただきました。丸太を大根のかつらむきのように薄く剥くところを見て,歓声があがっていました。一般の人にとって合板工場を見る機会は滅多にありませんので,多くの見学希望がありました。
 このようにして丸太から得た単板を絵はがきサイズにカットして,デジタルカメラで撮った写真を印刷するコーナーも設けました。終日,人の絶えない人気を博していました(写真7)。

写真6 粉塵爆発によるロケットの打ち上げ

写真7 ロータリーレースによる原木のかつら剥き
    および単板にデジカメの写真を印刷

 ●企画指導部:木と触れあう「ゲームコーナー」
 最近は安価な電動工具が出まわり,日曜大工をするとしても手鋸を使うこと自体あまりありません。まして,鋸で丸太を挽く機会は非常に少ないと思います。丸太切り体験を通して,木材利用の基本である製材における先人達の苦労の一端を知っていただきたい,というメッセージを込めたゲームを企画しました。
 あらかじめ決めた重さを目指して丸太を切り落としてもらいます。計量して,重さが一定の範囲に収まればくじを引き,その場で景品を差し上げるというゲームでした。このゲームの景品は,林産試験場がある旭川市西神楽地区の農業生産者団体で収穫されたメロンや,トマトなどです。
 また,職員が手作りした砲丸球位の大きさの木球を10m程離れたピンに向けて転がす「木球転がしニアピンゲーム」も行いました。こちらのコーナーでは力加減が分からず,オーバーしたり,届かない人も多かったのですが,大いにチャレンジしてもらいました(写真8)。

写真8 丸太切り,木球転がしなどのゲームで一汗

 木育研究グループの取り組み


写真9 木のおもしろツアーでのクラフト
(Aコース:フクロウ、Bコース:ダイヤピース)

 冒頭,木育について少し触れましたが,林産試験場としても木育関連の研究テーマが必要と考えています。そこで研究グループでは,木育を意識した取り組みを「木のおもしろツアー」として企画しました。このツアーは,ポイントを巡回して小さな木片を集めてクラフトを完成させるというスタンプラリー的なものです。
 スタート時点では参加者に小冊子を手渡し,できあがるクラフトの違いによる2コースからどちらかを選択してもらいました。ただしどちらのコースとも,ツアーを終了させないとどんなクラフトができるのか分からないようにしました(写真9)。

 小冊子には,ツアー参加者に知って頂きたい「森林と人との関わり」,「木材を利用することは,環境にとっても優しいこと」のほか,職員が創作した「森の詩」などのメッセージを記しています。
 ツアー参加者は,チェックポイントとなっている各研究部の出し物を回り,そこで説明員の話を聞いたりあるいは体験することとなります。ゴールではクラフトを組み立て達成感を味わったと思いますが,私たちの想いがどのように理解されたのか,ツアーを通じてどのような感じ方をされたのかを聞き取るアンケートを行いました。このアンケート結果やノウ・ハウは,今後の林産試験場における木育の取り組みに活かして行きたいと考えています。


 絵本の読み聞かせ

 林産試験場の敷地に,木路歩来というログハウスがあります。今年,内部を改装して木に囲まれた空間で絵本を楽しんでもらうコーナーとして「木育文庫」をつくりました。そこには,きのこを模したテーブルと椅子があり,多くの子どもたちに親しんでもらっています。そのコーナーで,市内のボランティア団体である旭川絵本の会と,ネットワーカー・Gのご協力により,「絵本の読み聞かせ」をして頂きました。加えて,エプロンを舞台に見立てたエプロンシアター,紙芝居,手遊びなども演じていただき,絵本を表情豊かに読んでもらった子どもたちは,真剣そのものの表情で聞いたり,話者の問いかけに応じていました。これを機会として,絵本を通しても心が豊かに育つ子供になって欲しいと思います(写真10)。


写真10 絵本の読み聞かせとエプロンシアター

 JAZZ

 昨年SWING GIRLSという映画がはやりました。だからというわけでもないのですが,地元旭川にある東海大学の学生である米田勝信さんのピアノと,友達で札幌の学生の横山貴志さんのテナーサックスによるジャズセッションをお昼の時間帯にお届けしました。米田さんは,中学時代,ニューヨークで長年活躍をしているジャズピアニストの秋吉敏子さんの演奏にラジオで触れてからジャズを勉強され,今までに旭川市内で数々の演奏活動をされています。
 当日は「A列車で行こう」,「オーバー・ザ・レインボー」,「ディズニーの星に願いを」,「秋吉敏子さんの名曲」等を演奏していただきました。来場された多くの方に感動とリラックスした時間をお届けできたと思います(写真11)。


写真11 米田さんと横山さんによるJAZZセッション

 木を暮らしに活かす講演会

 毎年,この講演会にはいろいろな方をお招きし,木の魅力についての講演をしていただいています。今年は,KEM工房を主宰する札幌の木工デザイナーで,木育を進める会「木育ファミリー」代表も務める煙山泰子さんをお迎えして,煙山さんの作品作りの根底にある「子供達とかつて子供だった人への贈りもの」と題する,木のおもちゃに関しての講演会を行いました。
 会場入り口付近では,煙山さんの作品,「種シリーズ」,「大人のためのガラガラ」などの展示を行い,来場者に不思議な形や,音の出るガラガラを実際に手にとって見ていただきました。講演会の内容については,本号の後段に掲載しております。
 なお,「木と暮らしの情報館」では,煙山さんの作品を「煙山泰子のKEM展」として8月末まで特別展示しました。期間中多くの方々にご覧頂くことができました。


 木工工作作品展

 「第13回北海道木工作品コンクール」,「第5回アート彫刻版作品コンクール」展を,9月10日(土)~10月7日(金)まで「木と暮らしの情報館」で開催しています。今年も力作がそろいました。是非ご覧下さい。


 終わりに

 今年の木になるフェスティバルにはおよそ800名の方においでいただきました。来年に向けより良いフェスティバルにしていくために,普及課としてアンケート調査を行いました。無作為抽出で70名の方に伺った結果,今回のフェアを総体的に好意的にとらえ,来年も来たいというご意見を多数いただきました。一方,工作の受付数をもっと多くすることや,飲食の充実をして欲しいとの要望も寄せられました。これらの結果については,今後の参考にさせて頂きます。
 当日,会場に来ていた子供に何気なくカメラを向けたところ,こんな写真が撮れていました(写真12)。この子供たちの笑顔に,準備をしてきた皆の苦労が報われたような気がします。
 そして会場を訪れた子供達が,木と触れあった1日のことをいつの日かまた思い出してくれることを期待しながら,本稿を閉じることにします。

 
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