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林産試だより2005年10月号 特集『2005 木製サッシフォーラム』 意見交換会
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 ●特集『2005 木製サッシフォーラム』

意見交換会

パネラー:染谷,島田,牧野(敬称略)
司会:平間

司会:木製サッシフォーラムも今年で10年目を迎えるということで,新たな技術,課題が出てきています。今日は会場の皆様にも,講演いただいた3人への質問という形でご参加いただきたいと思います。

 道産針葉樹材の木製サッシ

会場:現在木製サッシの材料としては,道内産ですと広葉樹材がメイン,輸入ものだと針葉樹材がメインだと思います。今後,道産の針葉樹材での木製サッシの可能性についてお聞かせください。

牧野:道産の針葉樹材ですと,カラマツやエゾマツが代表的ですが,例えばカラマツは以前は反りや狂いの問題がありました。しかし,現在では乾燥技術や集成材の技術が発達してきているので,今後活用されていく可能性は大きいと思います。

平間:この点について補足しますと,道産の針葉樹材だからできないということは全くありません。あとは,デザイン性とコストが木製サッシにとって重要なポイントとなってきます。また,現実問題として,ユーザーの方が樹種を指定するということはほとんどないでしょう。この点は建築家や,設計士の方の好みによるところが大きいかと思います。その点は染谷さんどのようにお考えでしょうか。

染谷:我々設計の立場から見ると,広葉樹針葉樹というものの違いは,堅さや表情に現れます。針葉樹に対する感覚は,やわらかい,人肌に近い,ということです。

 広葉樹材がフローリングなどに用いられるのは,逆に堅く傷付きにくいからでしょう。私の立場としては,やわらかい針葉樹材を使って傷ができたとしても,それは逆に針葉樹の材料の持つよさとしてアドバイスしています。それと同じように窓枠も手に触れる重要な部分ですので,やわらかいイメージの針葉樹材の窓ができれば需要も多いと思います。

 実際,輸入の針葉樹材の木製サッシがこれだけ普及しているということはそういうことの表れなのかもしれません。ですからユーザーに対してはもっとアピールしていく必要があると感じています。


 理想的な窓

会場:染谷さんは,窓というものがいかに外の自然と融合するか,ということを非常に大事にしながら設計されていると思いますが,今後こんな窓を使ってみたい,という理想がありましたらお聞かせください。

染谷:一度札幌で,庭の立派な家の建て替えを請け負ったことがあります。そこでユーザーの方が求めるのは,庭の雰囲気や空気をそのまま室内で感じたい,ということでした。私自身その気持ちはよくわかったし,そうしたかった。しかし,設計士の立場から断熱や気密のことを考えると,しっかりとした窓を設置して外と内をはっきりと仕切らざるを得ないわけです。ですから私にとっては,断熱性や気密性などの性能を維持しながら,一方で窓の存在が感じられないくらい自然な窓というのが理想的な窓です。


 防犯性の高い窓

会場:防犯性という観点から見ると,どのような開閉方式が有利ですか? 

島田:泥棒が窓から侵入する場合,自分が侵入する穴を開けるために窓を割るのではなく,クレセント錠(窓の閉め金具)を開けるために割るというのが一番多い手口です。そして外側から手を入れてクレセント錠を開け,窓を開けて侵入します。ですから引き違いなどは,鍵が開けば簡単に開けることができるので狙われやすい窓といえます。 

 一方,鍵が開いても物理的に開かない窓,例えば押し開きで開きの小さな窓ですと,比較的狙われにくいと言えます。ただ,実際の犯行はその他の要因,例えば人目に付きにくいなどの要因も大きく作用するので注意が必要です。

会場:それでは,先ほどドレーキップ窓が紹介されていましたが,あの窓の内倒しの状態などは防犯性が高いということで推奨できるものでしょうか?

島田:推奨できます。ドレーキップ窓というのは,内開きの状態だと90度以上開くのに対し,内倒しの状態はたかだか数cmしか開かない窓です。
 このような,物理的に体が入るだけ開かない窓は,ガラスを破った後に,金具を破壊するなどの手間が余分に必要なため,防犯性は高いのです。

平間:これまで防犯性の高い窓についてお伺いしましたが,実際に「防犯性」というのはどのように試験をしてどのように評価するのですか?

講演者席

島田:試験方法は,実際に攻撃を加えるということです。つまり実際の犯行と同じように,焼き破りやピッキングなどを行うのです。サッシについても枠そのものに対して破壊活動をして試験します。そして一定時間以内に開けることができなければ,防犯性が高いということになります。

平間:このようにサッシに防犯性が求められるにつれて,デザイン的にはどのように変化していくとお考えですか?

染谷:我々が実際設計する上でも防犯性は重要なポイントとなってきています。どうやって泥棒は侵入してくるのかということを想像しながら設計します。ただし,同時にその設計が周囲の町並みを乱さないようにすることが重要だと感じています。


 木と長く付き合える幸せ

染谷:先ほど牧野さんの発表の中で,木は手入れが必要だ,ということをどちらかというと短所という捕らえ方で説明されていました。一般的には確かにそうかもしれませんが,私はその部分を長所として捕らえ,お客さんに説明しています。メンテナンスフリーというのは最近はやりですが,何か木に対して間違った捕らえ方なのではないかと感じることがあります。 

 木を扱っていますと長く付き合える幸せ,というのを感じます。サッシの場合でも,アルミサッシだと修理することが難しくても,木の場合は部分的に補修していくことで長く付き合っていくことができます。これは家全体にも言えることで,そうやって長持ちさせることによって,家に対する愛情もわいてくるものだと思います。木と一緒にすごせる楽しい時間が,そういった愛着とか,ものを大事にするということにつながっていくのです。

意見交換会会場の様子

平間:最後に染谷さんにご指摘いただいたように,木などの自然素材というのは,工業製品のように完全に均一な材料とすることは困難です。そしてわれわれは,その点を欠点として捉えられがちです。曲がらないように腐らないように手入れをしていく,ということは疎まれますが,実はそうしているうちに非常に味が出てきて,自分にとって身近なものになっていくという素晴らしい一面があります。

 木製サッシも,メンテナンスをしなくてはいけないという点が,実は窓や家全体に対する愛情,愛着というものにつながり,住宅の環境や普段の生活がより楽しく,安全で快適なものになっていくような気がします。
 今日はお集まりいただき誠にありがとうございました。

(文責:林産試験場 性能部 牧野 真人)
 
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