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林産試だより2005年11月号 特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』 木質油吸着マットの生産システムの効率化と製品の開発
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 ●特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』

木質油吸着マットの生産システムの効率化と製品の開発

利用部 主任研究員 梅原 勝雄


 はじめに

 林産試験場では,間伐材などの木チップを原料として蒸煮解繊装置を用いて得られる繊維状の木材を,325℃という低温で熱処理して油吸着材を製造する方法と,その連続式製造装置を開発しました。本成果をもとに,平成5年には「木質油吸着材の製造方法と連続式の製造装置」の特許を申請しました。本特許で得られる木質油吸着材は,それまで主流の石油系油吸着材と異なり,1g当たりの油吸着量が多く,吸着速度が速いことが特徴です。この特徴を活かした油吸着材を商品化するため,平成7~9年には実用規模の熱処理装置を林産試験場に設置し,北海道森林組合連合会と共同研究を行いました。

 事業での取り組みと成果

 平成9~10年の木材産業高度化促進事業において,木質油吸着材の商品化に向けて,熱処理装置を東川町にある東川バイオマス工場へ移設するとともに(写真1),製造の迅速化を図る目的で,素材重量の自動計量機を導入しました。この計量機は食品加工業で使用している計量機を改造したもので,これまで手作業で行っていたマットに入れる油吸着材素材の計量作業を自動化し,生産効率をアップすることができました。

 また,需要が見込まれる家庭用の油吸着マット,エレベーターオイル用マットやラーメン店の厨房で使うグリーストラップと呼ばれる装置の試作や調査を行いました。この結果,海上や河川の流出油を十分に吸着する性能を有した木質油吸着材「もりの木太郎」(写真2)を商品化することができました。本製品は吸着材をポリプロピレンの不織布の袋に詰めたことにより,平成10年に海上保安庁の型式承認を受け,平成11年に優良道産品に推奨されるとともに,エコマークに認定されました。

写真1 熱処理装置1号機

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写真2 木質油吸着材「もりの木太郎」

 この間,道内外の油処理に関連する官庁や企業にサンプルやカタログを送付するとともに,防災関連の展示会に参加し実演を行いました。さらに河川における油流出事故訓練における実演,インターネットによるPRも行いました。このようなマーケット活動を行うことによって,道内外における油吸着材への関心は高まり,北海道森林組合連合会は平成11年に,熱処理装置をさらに1基増設しています。

 現在,事業で導入された計量機は小型の吸着マット(写真3)や吸着オイルフェンス(写真4)など多種類の製品の製造に利用されています。また,「もりの木太郎」は実際に石狩川などの河川で起きた油流出事故などで使用されています。

写真3 小型の吸着マット

写真4 吸着オイルフェンス

 
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