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林産試だより2005年11月号 特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』 木製防火シャッターの開発
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 ●特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』

木製防火シャッターの開発

性能部 防火性能科 由田 茂一


 はじめに

・シャッターが受ける防火上の制限

 最近では,車庫を組み込んだ住宅がよく見うけられます。このような住宅では,シャッターのデザインも住宅のイメージに大きく関わっています。しかし,全く自由にシャッターを選べるとは限りません。

 建築物は,立地や規模などにより,窓やドアなど外壁の開口部で延焼のおそれのある部分(図1)に防火上の制限を受けます。組込車庫などのシャッターもこれに含まれます。このような制限を受けるところには,鉄製など定められた材質や構造のもののほか,防火性能が確認され国土交通大臣の認定を取得したものを使うことになります。

図1 延焼のおそれのある部分


・木製シャッターが可能に

 平成2年に建築基準法が改正され,シャッターについては木製も認められるようになりました。これ以前は,鉄製や鉄筋コンクリート製など燃えない素材のものに限られており,木製のものは防火規制を受ける建築物から排除されていました。ただし,木製シャッターが認められるようになったといっても,先述のように,その防火性能が確認され認定を取得したものに限られます。


 事業の成果

 平成10~11年度に実施した木材産業技術高度化促進事業の中で日本ドアコーポレーション(株)と当場が共同開発した木製シャッターが,平成12年3月,木製としては国内で初めて建設大臣(当時は建設省)の認定を取得しました(乙種防火戸第1814号)。これにより,木製の風合いが好きなユーザーや木製玄関ドア等と調和したデザインを希望するユーザーにとっては選択肢が広がりました。同社のこの商品(写真1)は,関東・関西圏を中心に,これまでにおよそ100件設置されています。

写真1 最近の施工例


 開発時の課題

 ここで開発したシャッターは,オーバースライダー式です。これは,(1)一枚の板状のドアを天井に沿ってはね上げるスイングアップ式は,間口が大きくなると大きな開閉力が必要になる。また,長期間の使用で開閉力が増したり開閉に不都合が生じるものが見られる。(2)一般的な巻取り式は木材パネルの断面が小さく,また目地が多くなるため,反り,狂い,耐候性の面から好ましくない,などの理由によります。

 また,当時は,屋外側及び室内側の両面について,800℃に達する加熱に対し20分間炎を遮る性能が要求されました。このため,木製では,
(1)板厚の不足による燃え抜け,
(2)加熱による板材の変形・収縮による燃え抜け,
(3)シャッターと壁との取合い部からの燃え抜け,
などが予想されました。これらに対し,板材の難燃処理や目地形状の改良,発泡材の使用などにより防火性能を満足させました。


 防火シャッターに対する現行の規制

 平成12年6月に建築基準法が改正され,甲種・乙種防火戸の呼び名が,特定防火設備,防火設備とあらためられました。また,防火地域などで使用されるものの評価方法が屋外側からの耐火試験(およそ800℃に達する加熱に20分)だけとなり,これまでよりも簡易な方法で防火性能を満足できると考えられることから,デザインの自由度を広げられる可能性ができました。現在,日本ドアコーポレーション(株)とデザインを重視した木製防火シャッターの開発に取り組んでいます。

 
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