本文へ移動
林産試だより2005年11月号 特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』 木製サンルームの商品化に向けた取り組み
トップ>刊行物&データベース>林産試だより>

 ●特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』

木製サンルームの商品化に向けた取り組み

性能部 性能開発科 平間 昭光


 はじめに

 近年,高齢化が進み,高齢者の健康を維持するための様々な方策が検討されています。特に,北海道のような積雪寒冷地では,高齢者などが屋外に出る機会が非常に少ないため,外気や陽光に触れるための環境整備が望まれています。

 その対策の一つに,半戸外空間としてのサンルーム(ウィンターガーデン)の活用が考えられます。しかし,我が国では積雪寒冷地に対応したサンルームの開発があまり行われていないことや,本州以南で普及しているタイプのサンルームは,寒さや結露といった室内温湿度環境の不安定さや雪荷重による屋根面の破損などが問題となって普及に至っていません。

 そのため,林産試験場では,高齢者の健康維持に加え,積雪寒冷地での冬期間の生活環境の改善,生活の活性化を図ることを目的に,木製サンルームの開発を手掛けてきました。

 平成14~15年度に実施した木材産業新用途開発促進事業において,これらの研究成果を活用し(有)南原工営と(株)立山アルミが共同で断熱性の高い木製サンルームを商品化しましたのでご紹介します。


 北海道のサンルームの状況

 北海道内の気温,日射量,降雪量といった気象条件は一様でなく,サンルームに必要な屋根の雪処理方法や屋根構造,積雪荷重を支える構造,サンルームに期待するユーザーの要求などは,地域によって大きく異なっています

 林産試験場では,北海道の主要都市(札幌,旭川,函館,帯広)でサンルームの使用実態調査を行いました1)。その結果,増改築部分に設置されるサンルームが非常に多く,居室や温室としての使用の要望が強いことが分かりました。その反面,断熱性・防露性に配慮した材料の選定や,広さ,配置といった建築計画がされていないため,十分活用されていない例も少なくありませんでした。

 ドイツでは使用目的によってサンルームは,4種類に分類されています(「1.屋外環境の緩衝帯」,「2.冬園」,「3.居室の延長」,「4.温室」)2)。これは,サンルームの機能を十分に発揮できるようにするため,使用目的や気象条件を考慮した構造や設備など建築計画の必要性をユーザーに示すものとなっています。一方,日本のサンルームはドイツのように明確な分類はされていないので,必要なはずの構造や設備が設けられない場合には,ユーザーの要求を十分に満たすことができなくなります。


 北海道らしい木製サンルームの要件

 使用目的では大きく4種類に分類できるサンルームでも,形,大きさ,デザインなどユーザーが求める要素は様々で,エクステリア製品としては高価な商品であるため大量販売は望めません。このように,少量・多品種が求められる製品の開発には,木材のような加工性,施工性,意匠性に優れた材料が有効です。併せて,断熱性能や防露性能に優れているため,積雪寒冷地のサンルームに最も適した材料と言えます。

 サンルームの主要材料として,光や熱を取り入れるための透明なガラスやポリカーボネートが必要不可欠となりますが,屋根面に使用した場合は積雪荷重や落雪などで破壊する危険性があります。また,防水性確保,結露防止,清掃やメンテナンスなど施工性や維持管理が難しくなります。更に,住宅は南面に主要な生活空間を優先するため,居間の増築部分としてサンルームを付設する場合,夏の日差しをコントロールする工夫をしなければ,サンルームの室内温度は旭川で80℃近くにまで達してしまうことがあります3)

 冬は太陽の高度が下がって室内深く直射が差し込むため,あえて屋根面をガラスなどにする必要はありません。


 北海道向けサンルームの商品化

 写真1は,商品開発されたサンルームの一例ですが,北海道でも比較的積雪の多い岩見沢市の住宅に設置されたもので,腰壁が高くなっています。また,居間としての使用を意識して高断熱のLow-E複層ガラス(アルゴンガス仕様)が使用され,比較的高価な商品となっています。

 土台と柱,柱と梁は金物で接合する木造軸組が基本構造となっており,柱と柱の間に窓やドア,腰壁などを自由に配置することができます。また,風や雪などの荷重に耐えるように一般住宅と同等の構造材を使用しており,床や天井,腰壁部位は住宅に匹敵する断熱性(住宅と同等の断熱材が使用できるため)を確保することができます。これは,居間として使えるタイプのものですが,温室や屋外環境の緩衝帯,冬園タイプのサンルームにも応用可能で,形状や外観など自由設計できるものとなっています。

 使用目的や環境条件に適した構造や設備の配置を自由に変更することで,価格やデザインに自由度をもたせたことがこの商品の大きな特徴となっており,多種多様なサンルームの提供が可能となっています。

 商品についてのお問い合せ・ご相談は下記で行っております。

(有)南原工営 TEL:(0126)23-047
E-mail:nandara@seagreen.ocn.ne.jp

写真1 断熱木製サンルーム(提供:(有)南原工営)


 参考資料

1)平間昭光:林産試だより,12月号,1-4(1998).
2)「ウィンターガーデンの紹介」参照.
http://www.fpri.hro.or.jp/yomimono/jutakususume/10/1.htm
3)平間昭光:林産試だより,9月号,13-16(1999).

 
前のページへ 次のページへ

トップ>刊行物&データベース>林産試だより>