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●特集『林産試験場と行政との連携による業界振興』 | |||
木製多目的ボックスの開発
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はじめに北海道におけるメグミルクの契約件数は約6万世帯で,販売のほとんどは宅配形式で行われています。しかし,このシステムでは夏期の牛乳受け内の保冷を考慮しなくてはなりません。現状は,配達員が毎日保冷剤の取り換えを行っていますが,保冷剤の持ち運びも含めて大変な手間となっており,これらの問題を解決するために木製多目的ボックスを開発しました。 技術シーズと製品化について多目的ボックスの開発は,平成16~17年度の木材産業新用途開発促進事業の中で,(株)吉田組と日本ミルクコミュニティ(株)北海道事業部(メグミルク)による共同企業体「工房プロジェクトMEG」により進められました。 多目的ボックスに応用される技術シーズのポイントを以下に示します。 ・結合金物により部材をパーツ化できる。 設計コンセプト多目的ボックスの基本構成は,郵便受け・牛乳受け・宅配受けの3つとしました。 郵便受け・牛乳受けは既製品が多数存在しているので,使い勝手について改善する部分がないか検討しました。これら製品に共通する使い方は,片方の手でフタを開け支えながら,一方の手で中の物を取り出すというもので,必ず両手を使わなくてはなりません(写真1~3)。常に両手を使わなくてはならない動作は,非常に面倒に感じられます。 以上のことから,「片手で簡単に出し入れがしやすい構造」を設計コンセプトとし,取り出し口は前倒し式で大きく開口が開くような形状として試作(写真4~7)を行いました。 |
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![]() ![]() ![]() 写真1~3 既製品の操作 |
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![]() 写真4 試作した多目的ボックス 左:小型,右:大型 |
![]() 写真5 牛乳受けの操作 |
![]() 写真6 郵便受けの操作 |
![]() 写真7 宅配受けの操作 |
モニター調査の結果札幌市において,実際に多目的ボックスを玄関先に設置させてもらい,後日使い勝手や使用感について聞取り調査を行いました。 以下に,主な意見を示します。 ・玄関のワンポイントとして映える。 調査の結果を見ると,概ね好印象で受け入れられたようですが,大き過ぎるという意見もあり,全体的にコンパクトにしていく必要があると考えられました。また,若い世代にも受入れられやすいように,外部の塗装色に原色系のカラーを採用するなど,検討の余地があることが分かりました。 今後の展開16年度は,デザインと機能性に重点を置き試作を行いました。17年度は,保冷性について様々な条件で木製ボックスを製作し,検討を行っています。また,シーズである部材の結合金物(図1~2)を用い,ガーデニング用物入,あるいは植栽ポッド・テーブル・ベンチなど,多目的ボックスのパーツごとの製品を提案し,製品全体のバリエーションの展開を図る予定です。 |
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![]() 図1 接合金物による組立 |
![]() 図2 各パーツごとに分解・組立 |
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