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音楽を奏でる木製遊具

企画指導部 デザイン科 川等 恒治,利用部 材質科 根井 三貴


 みなさんは「木を使った楽器」というと,何を思い浮かべますか?木材は適度な吸音性を持ち,やわらかな音色を生むなど音響的性質に優れることから,いろいろな楽器に使われています。ギターやバイオリンなどの弦楽器,太鼓やカスタネットなどの打楽器,クラリネットなどの管楽器,そしてピアノなどの鍵盤楽器と,様々な種類の楽器が挙げられます。その中の一つに木琴があります。林産試験場では木琴作りを応用して,音楽を奏でる木製遊具を作りましたので紹介します。


 音の性質

 音の大きさ,音の高さ,音色は音の3要素と呼ばれます。そのうち音の高さは,物体が1秒間に振動する回数=周波数(Hz)で表すことができます。音階と周波数の関係は明らかにされており(表1),材料の周波数を測定することによって音の高さが分かります。

表1 音階と周波数の理論値

表1 音階と周波数の理論値


 木琴の作り方

 木琴の音の高低は,材料の長さの違いによるもので,材料の長さを短くするほど音は高くなります。音の高さ(周波数)と材料の長さは次の関係で示されます。

  周波数=係数/(材料の長さ)2

 これを利用して木琴を作製します。

1. 材料の幅と厚さを決める
2. 周波数を測定し係数を求める
3. 作製したい音の周波数に応じて長さを決める
4. 材料を切る

 今回は周波数の測定に写真1の測定装置を使用しました。

 また,実際には,音の高さは材料の寸法だけではなく,密度,変形しにくさを表すヤング係数,木取りの方向など様々な要因によって変化します。そのため,同じ音階の材料でも長さが異なったり,あるいは同じ長さの材料でも音階が違ったりします。写真2はトドマツで作った木琴ですが,「ファ」の材料が「ミ」の材料よりも長いのがわかります。厳密に音を合わせるには,材料一つ一つの周波数を測定し,少しずつ長さを調整する作業が必要になります。

写真1 周波数を測定している様子

写真1 周波数を測定している様子

写真2 トドマツで作った木琴

写真2 トドマツで作った木琴


 音楽を奏でる木製遊具の作製

 写真3が今回作った音楽を奏でる木製遊具です。材料にはヤチダモを使い,幅120cm,高さ110cmほどの大きさです。右上にある板の上に木球を載せると,木球が階段状に並べられた板の上を転がり落ちていきます。木球が板に落ちるたびに音を出し,曲を演奏します。曲は「かえるの合唱」としました。木球を2つ以上使い,転がすタイミングをうまくずらすことで輪唱も楽しめます。

 作製方法は,まず,木球が転がっているうちにどんどん速くなることがなく,そして途中で止まったりすることがないように,いろいろと試しながら段差の高さや木球が転がる距離などを決定します。それが決まると,次に木琴の作製方法と同じようにして板を切り,音階ごとに必要な枚数だけそろえます。あとはそれを順番に並べていくわけですが,このとき,きれいな音を出すために,板を固定させないことが必要になります。そこでこの遊具では,それぞれの板を2本の丸棒に載せるようにしました。逆に休止符の箇所では,音があまり響かないように板を固定し,さらにゴムを張り付けました(写真4)。

 現在これらの木製遊具は,林産試験場敷地内に併設された「木と暮らしの情報館」に展示されています。自由に遊ぶことができますので,この遊具が奏でる音色を是非一度実際に聴いてみてください。

写真3 音楽を奏でる木製遊具

写真3 音楽を奏でる木製遊具
写真をクリックすると演奏の様子を
動画で再生します(AVI形式)。

写真4 ゴムを張り付けた板(矢印)

写真4 ゴムを張り付けた板(矢印)

 
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