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林産試だより2006年1月号 特集「ペレット」 ペレット燃料に関するQ&A

●特集『ペレット』

ペレット燃料に関するQ&A

利用部 物性利用科 山田 敦

はじめに

平成17年2月16日,京都議定書が発効となり,我が国においても,平成24年(2012年)を目途に平成2年(1990年)を基準として6%の二酸化炭素(CO2)排出削減を行うこととなりました。木質ペレット燃料などのバイオマスは燃やしても大気中のCO2を増やさないカーボンニュートラルなエネルギーと言われています。


写真1 芽登木質ペレット工場(足寄町)

一方,中国の高度経済成長や投機的な要因により原油価格が高騰しており,灯油70円時代に突入しようとしています(平成17年10月現在)。そのため木質ペレット燃料の発熱量当たりの単価は灯油と比べて大差なくなっています。

現在,ペレット製造設備は「林産試だより2005年1月号」でご紹介した滝上町のほかに,足寄町(写真1),大滝村,厚沢部町などに設けられています。さらに,生産を検討している市町村やペレットストーブを使ってみたいという方々がいます。そこで,これまで林産試験場に寄せられた技術相談等をもとに,木質ペレット燃料の使用や製造に関する疑問をQ&A方式にまとめてみました。

木質ペレット燃料を使ってみたいのですが?

Q1:ペレット燃料の価格について教えてください。

A1:木質ペレット燃料の価格は工場出荷時で現在40円/kg程度です。ただし,皆さんのお手元に着くまでには流通経費が掛かるため60〜100円/kgで販売されているようです。

木質ペレット燃料の重量当たりの発熱量は灯油の約1/2です。灯油の比重を0.8として発熱量で換算すると,40円/kg(工場周辺)であれば,家計への負担は64円/Lの灯油を使用しているのと同程度になります。

さらに今後,需要拡大による生産の合理化や流通経路の整備が進むことにより,現状の灯油価格よりも安価に供給される可能性が見込まれます。

Q2:薪ストーブでも使用することができますか。

A2:市販されている木質ペレット燃料は直径6〜8mm,長さ20〜30mmと薪やオガライト(オガタン)に比べてかなり小さいので,ロストル(火格子)のすき間から落ちてしまう可能性があります。ロストルのサイズさえ合えば,既存の薪ストーブ等でも燃やすことは可能です。実際に石炭ストーブをペレット用に改造して安価に販売している事例があります。

木質ペレット燃料を使用する利点として,粒が小さいためにきめ細かい温度調整や自動運転が可能になることが挙げられますが,そのためには専用の燃焼機器が必要です。

Q3:ペレットストーブは暖かいと聞いたのですが。

A3:ペレットストーブは熱線(遠赤外線)が空間を通過して物体にあたって熱となる輻射型の暖房に分類されます。輻射型暖房は,暖かい風を送って対流させ部屋全体の空気を暖める温風型暖房に比べて,空気の動きが少ないので,体感温度が高く,室温を2〜3℃低く設定することができると言われています。

実際にペレットストーブの周りはかなり暖かく,室温が多少低めでも快適に生活することができます。室温を1℃下げることにより燃料代を10%節約することが可能と言われていますので,大きなメリットになると考えます。

なお,同じ輻射型暖房であれば,化石燃料であってもペレットのようなバイオマス燃料であっても,同じ体感温度を得るために必要とされるエネルギー量は変わりません。また,ストーブのような局所暖房は,室内の温度差を生じることにより,部屋の隅などでの結露の懸念がありますので注意が必要です。

木質ペレット燃料を製造したいのですが

Q1:どんなものがペレットの原料として使えますか。


写真2 ササペレット(クマイザサ)

A1:林産試験場では木材加工時に発生するおが粉,樹皮,枝条(葉付き)などのほかに木炭と樹皮の混合物,竹箸,ササ(写真2)などでペレットを試作しています。

原料としては林地残材としての枝や伐根,工場端材や樹皮,建築解体材などが想定できます。ただし,粉砕や成形の妨げになる土砂や金属,あるいは燃焼時に有害物質を発生する恐れのある塗料や防腐剤などを分別し除去する必要があります。

Q2:原料の粉砕方法について教えてください。

A2:ペレットを製造するためには,作ろうとするペレットの直径以下に原料を粉砕する必要があります。粉砕物の粒が細かいほど,固いペレットを作ることができます。しかし,実際には製造コストや成型機への負荷を考慮して数mm程度のおが粉状のものが原料として用いられます。


写真3 おが粉製造機

粉砕機としては,おが粉製造機(写真3)などの切削によるもの,タフグラインダーなどの磨砕によるもの,ハンマークラッシャーなどの叩き割るタイプのものがあります。切削によるものは均一な形状の粉砕物を得ることができますが,土砂等を含む場合は刃物を傷めるため磨砕タイプが多く用いられます。粒径の調整は目皿によって行います。原料が乾いている方が,粉砕しやすく目皿が詰まるなどのトラブルも少なくて済みます。

Q3:原料の乾燥方法について教えてください。

A3:ペレット製造には,原料の形状とともに原料の水分の調整が非常に重要となります。ペレット製造は押出し成形であるため,原料粉砕物とダイ孔(成形用型の穴)との摩擦力によって成形に必要な圧力(背圧)を得ています。原料水分が高いと流動性が高く,十分な背圧を得ることができません。製造機械や原料によって適正な原料水分は異なりますが,林産試験場では10〜20%程度とするように指導しています。

おが粉のような粉体は,板や柱などと比較して乾燥しやすいため,室内に薄く広げて切り返し(混合)を行うことにより,数週間で水分20%以下となります。しかし実際の生産に当たっては,できるだけ短期間・省スペースで乾燥する必要があるため,専用の乾燥装置が用いられます。


写真4 ロータリーキルン型乾燥機

粉体の乾燥装置には色々な種類・形式があります。ペレット生産工場ではロータリーキルン型乾燥機(写真4)がよく用いられています。これは長さ数mの円筒を加熱・回転させることにより内部のおが粉を徐々に移動させ,数十分で乾燥することができます。

そのほかに,穀物に用いられる送風乾燥機や既存の木材乾燥室を活用した事例があります。いずれの形式においても,事前の天然乾燥によりできるだけ水分を低下させることや規格外のペレットを熱源として活用するなどの工夫をして,乾燥にかかるコストをできるだけ低く抑えることが望ましいと考えます。

Q4:ペレット製造機について教えてください。

A4:一般に使用されている木質ペレット燃料は,回転するローラーがダイ孔に粉砕物を押し込む際に生じる圧力と熱によって成形されます。

現在主に用いられているペレット製造装置には,円筒状のダイ(成形用型)が回転するリングダイ方式(写真5)と固定された円盤状のダイの上でローラーが回転するディスクダイ方式(写真6)があります。

比較的小型の施設ではディスクダイ方式が,大型の施設ではリングダイ方式が使用されているようです。ディスクダイ方式は,円盤状のダイ上をローラーが回転する際に外周と内周の速度差によりせん断粉砕力を生じるため,牧草などの嵩高い原料の成形に向いていると言われています。


写真5 リングダイ型ペレット製造装置(厚沢部町)    写真6 ディスクダイ型ペレット製造装置

おわりに

木質ペレット燃料などのバイオマスエネルギーに対する道民の関心は高まっています。今年度,林産試験場が帯広・札幌・芦別で行ったアンケート調査によれば,82%の回答者がバイオマスのエネルギー利用について,もっと積極的に取り組みを進めるべきであると回答しています。

ペレットストーブについては,使ってみたいという回答者が80%を超えていました。しかし,その半数の方は実際に使用するには,燃料・装置が高く,供給体制にも不安がある等,問題があると考えているようです。なお,木質ペレット燃料の価格については,現在灯油と大差なくなってきています。

ペレットストーブではありませんが,下川町で町内の温泉施設に導入した生チップボイラーでは,数か月間で重油の場合と比較して百数十万円の節約になったそうです。しかし,担当者の言葉を借りれば「原油価格の高騰は偶然に過ぎない。バイオマスエネルギーの導入には(地球環境を守るという)志が必要である」とのこと。森林バイオマス利用推進に対する私たちの志が試される時代になってきたと言えるのではないでしょうか。

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