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林産試だより2006年月号 Q&A 先月の技術相談から 製材と集成材の強度比較

Q&A 先月の技術相談から

製材と集成材の強度比較

Q:集成材は製材と比べて1.3~1.5倍の強さがあるといわれていますが,実際にはどうなのでしょうか。

A:集成材は通常,ひき板またはラミナと呼ばれる2~3cm(最大5cm)厚の比較的薄い板を接着剤ではり合わせたものです。ひき板は含水率10%程度まで乾燥し,大きな欠点などを除去したものを,必要な寸法に幅はぎ,たて継ぎして用います。乾燥が十分なこと,欠点が除去,分散されることなどから,集成材は製材と比べて強度などに優れた製品が得られます。

 さて,集成材の強さが製材の1.3~1.5倍といわれる理由について,北海道の主要樹種であるエゾマツ,トドマツを例に考えてみます。現行の構造用集成材の日本農林規格(以下,現行規格といいます)が平成8年に制定されるまでは,昭和61年に制定された構造用大断面集成材の日本農林規格(以下,旧規格といいます)が用いられており,樹種グループごと,等級ごとに曲げ強さが定められていました(表1)。

表1

 当時,建設省で定められていた製材の基準曲げ強さは,エゾマツ,トドマツで225kgf/cm2でした。これと旧規格の針葉樹B-2(エゾマツ,トドマツ等)1級,2級集成材の曲げ強さを比較すると1.53倍,1.27倍となります。これが一般に,集成材は製材の1.3~1.5倍の強さがあるという根拠になっていると考えられます。

 ただし,現行規格では,ひき板の組み合わせによって,種々の集成材を製造できる内容になっており,強さもいろいろです。例としてエゾマツ,トドマツを含む樹種群Eについて,基本的な集成材の強度等級を表2に示します。なお,ひき板の構成,集成材の名称などの詳細は省略します。詳しくは平成8年農林水産省告示第111号・構造用集成材の日本農林規格を参照してください。ここで,E85-F255で表される集成材は,曲げヤング係数が85×103kgf/cm2,曲げ強さが255kgf/cm2であることを示します。したがって,「集成材は製材の1.3~1.5倍の強さがある」ということはできませんが,欠点除去などによって,製材そのものより強度性能が良くなっていることは間違いありません。

 ただし,構造材として製材を使ったらよいのか,集成材を使うのがよいのかは,その材料が用いられる条件に応じて,強さ,断面寸法,価格など,総合的に判断する必要があると思います。

 なお,ここでは単位にkgf/cm2を用いましたが,現在はN/mm2のSI単位系を用いることが原則になっていることをお断りしておきます。1kgf=9.80665Nを用いて換算することができます。

(企画指導部 普及課 工藤 修)

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