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林産試だより2006年2月号 特集「景観に配慮した木製道路施設」 カラマツ材による高性能木製防雪柵の開発

●特集『景観に配慮した木製道路施設』

カラマツ材による高性能木製防雪柵の開発

道立林業試験場 道東支場 鳥田 宏行

 はじめに

 北海道には広大なカラマツ林が存在しており,森林の公益的機能や健全性を高めるための施業により産出する間伐材を含めたカラマツ材の有効な利用方法が求められています。一方,北海道は寒冷多雪な地域であるため,雪害(吹雪や雪崩などの交通障害)に対応した環境整備が求められています。そこで本研究では,間伐材の需要喚起を視野に入れ,吹雪による雪害を軽減するための木製防雪柵を,林産試験場や民間企業などと共に開発しましたので紹介します。

 防雪柵の種類について

 防雪柵にはいくつかの種類があります。主なものは1.吹き溜(た)め柵,2.吹き払い柵,3.吹き止め柵の三つです。吹き溜め柵は,吹雪粒子を風上側と風下側に堆雪(たいせつ)させる効果があり,防雪柵の中では最も基本的なタイプに属します。吹き払い柵は,風の流れを利用して吹雪粒子を下方に吹き流し,視程緩和効果を発揮します。吹き止め柵は,風上側に吹雪を捕捉して堆雪させるため,風下側にはほとんど雪がたまりません。ここで紹介する防雪柵は,吹き止め柵です。

 木製防雪柵の外観


写真1 柵の外観

 防雪柵は,荷重のかかる柱には鋼材を使用し,非常に目に付きやすい防雪板の部分には木材(半割丸太,直径12cm)を使用しています。これは,丈夫な鋼材と景観性に優れた木材のそれぞれの長所を活用した結果です。形状は,間隙(かんげき)のない直立部と間隙を設けた誘導板および忍び返し部からなります(写真1)。直立部は吹雪粒子を止め,誘導板部および忍び返し部は高く舞い上がった吹雪粒子を柵の後方に吹き流す働きがあります。

 防雪効果について

 防雪効果は,モデルを用いた風洞実験と野外での観測(試験施工柵,柵高4m)により検証しました。風洞実験および野外観測では,柵周辺の吹雪フラックス(単位時間に単位面積を通過する物理量,吹雪濃度)および粒径分布,風の流れ,雪のたまりぐあい(吹きだまり形状)などを調べましたが,ここでは防雪効果を評価するときの基本的な要素である吹きだまり形状と風速分布(数値解析および風速計による)について説明します。

 (1)吹きだまり形状について

 風洞実験では,縮尺1/25,1/50の二つのスケールのモデルを用いました。両モデルとも同じような吹きだまり形状を示しました。その特徴は,風上側に吹きだまりが形成されて,風下側には吹きだまりの形成がみられないことです(写真2)。野外に設置した実物での観測でも,風上にのみ吹きだまりの形成がみられ(図1),吹雪粒子を風上側で捕捉していることがわかります。


写真2 吹きだまりの様子(風洞実験)

 (2)風速分布の測定結果について

 図2は,図1の状態を想定した数値解析による風速分布の様子を示しています。矢印は風速の方向と強さを示していますが,これをみると風下側だけではなく,-20m(横軸のマイナスは風上を示し,柵は0に位置する)付近から柵に近づくにつれて徐々に風が弱まることがわかります。風速計による観測結果(高さ1m)でも同様に風下側だけではなく風上側でも風が弱くなっており,風上側での減風効果が確認できます(図3)。

 おわりに

 木製防雪柵の開発は,まだ始まったばかりです。今後,多様なニーズに応えるため,更に工夫を凝らして,よりよい防雪柵の開発を目指しています。

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