本文へ移動
林産試だより2006年2月号 特集「景観に配慮した木製道路施設」 北海道型木製ガードレールの開発

●特集『景観に配慮した木製道路施設』

北海道型木製ガードレールの開発

技術部 加工科 今井 良

 はじめに

 平成10年に「防護柵の設置基準」(建設省(現:国土交通省))が改訂され,基準に定める性能を満たせば車両用防護柵(ガードレール)に木材が使用できることになりました。

 一方で,行政が地域住民やNPOと連携して地域づくりに取り組む「美しい国づくり政策大綱」の策定や「シーニックバイウェイ北海道」の推進などに伴い,良好な景観と地域の個性を守ることが重視されるようになりました。これらを背景として,従来の画一的で無機質な鋼製ガードレールが,周辺景観になじみやすく柔らかで温かい印象を与える木製ガードレールに替わることへの期待が高まってきました。

 全国各地で木製ガードレールの開発が進められており,間伐材を活用した木製ガードレールが使われ始めています。

 そこで林産試験場では,北海道産カラマツ材の需要拡大と北海道らしい美しい景観づくりを目指して,北海道型木製ガードレールの開発を民間企業と共同で行っています。

 木製ガードレールに求められる性能

 ガードレールの性能は,設置される道路の設計速度や,鉄道などとの交差の有無に応じて,厳しい順にSS種からC種まで細かく規定されており,条件が厳しくなるほど耐えるべき衝撃度も大きくなります(表1)。例えば山間部が大きなウェイトを占める長野県では制限速度が50km/h以下の道路が多く,それほど強いものを必要としなかったため,C種の木製ガードレールの開発に取り組んできました。対照的に北海道は平野部や緩やかな丘陵地が多く,郊外の道路の大半が設計速度60km/hであるため,B種以上の性能を持つ木製ガードレールの開発が不可欠であると考えられます。

表1 種別の設定と適用

 既製の鋼製ガードレール以外の新たに開発されたものについては,実車衝突試験(以下衝突試験)を行い,「1.車両の逸脱防止性能」,「2.乗員の安全性能」,「3.車両の誘導性能」,「4.構成部材の飛散防止性能」について確認することが義務付けられています。

 また,構成する材料については十分な強度を持ち,耐久性に優れたものであることが要求されます。したがって木材の場合は,強度が確認された製材や集成材である必要があり,必要に応じて木材への防腐剤の注入や保護塗料の塗布などを行うべきであると考えられます。

 さらに景観への配慮から,木材の質感を活かすと同時に,車窓から路外への眺望を確保することも重要であると考えられています(図1)。


図1 木製ガードレール設置イメージ

 北海道型木製ガードレールの設計

 試作した北海道型木製ガードレール(写真1,2)では木製ビーム(横梁)に北海道産カラマツ材を用いることにしました。強度や耐久性を考慮して,価格的に乾燥製材と大差ない集成材を採用しています。


写真1 試作した木製ガードレール(前面)  写真2 試作した木製ガードレール(背面)

 集成材は乾燥が十分に行われた複数枚のひき板を張り合わせた材料であるため,乾燥による大きなねじれやひび割れが生じにくく,ひび割れに起因する腐朽を抑制する効果が期待できます。なお,集成材には木材保護着色塗料を塗布するとともに,雨や雪が流れ落ちやすいようビームを45度傾けて,腐朽の要因となる水分の滞留を防いでいます。

 また,車窓から路外への眺望を確保するためにビームの集成材の断面寸法を小さくして,それを山形鋼材で補強しています。これにより一般に流通している小断面集成材の利用が可能なうえ,山形鋼材がガードケーブルのように支柱同士をつなぐことで強度性能の向上が期待できる構造となっており,木材のみよりも高い強度を保持させています。

 おわりに

 現在,強度性能を維持しながらコストダウンを実現すべく,ガードレールの改良に取り組んでいます。

 今後は関係者の協力を得ながら林道などへ試験施工して施工性や耐久性などの確認を行い,順次改良を加えていく予定です。そして徐々に設置距離を延長させて間伐材の需要を拡大させながら実績を重ねていきたいと考えています。

 さらに一般道への設置を目指して衝突試験による性能確認を行い,シーニックバイウェイの設定ルートや観光地など,景観を重視すべき箇所への設置を積極的に働きかけていきたいと考えています。

前のページへ|次のページへ