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林産試だより2006年3月号 道庁記者会見室の机・いすの製作について

 

道庁記者会見室の机・いすの製作について

技術部 加工科 八鍬 明弘

 はじめに

 道庁の記者会見室には,知事らが記者会見で使用する机・いすがあり,メディアを通して多くの人々の目に触れます。このため,道産木材のすばらしさも含めた広く継続的なPRを目的として,林産試験場の研究成果や道内企業の技術を取り入れた木製の机・いすを製作したので紹介します。なお,製作した机・いすは平成17年12月22日の知事の定例記者会見から使用・公開されています。

 机の特徴

 やわらかくやさしいイメージに仕上げるために,色合いや木目がやさしい道産材のダケカンバを材料とし,天板は大きな曲線で仕上げました。以下にこれまでの机にはなかった特徴を紹介します。

 1. 天板


写真1 天板の機能

 無垢(むく)の木材を使用した場合,大きな面積の板ほどそりやすくなる傾向があります。寸法の安定を図るために20mm厚程度の無垢の板を厚さ方向に2枚張り合わせたものを天板としました。天板には,周囲を囲むように前板と横板を立てる機能を持たせています。

 また,記者会見の際に説明用のパネルなどを用いる場合があるため,パネルを立てかけられる板を天板に組み込んでいます。こちらは必要に応じて引き起こして使うことができます(写真1)。

 2. 光る北海道ロゴとマーク

 新たな試みとして,木材に光を透過させて北海道ロゴとマークを浮かび上がらせる仕組みを考案し,机の正面に取り付けました。北海道ロゴは白色の光を透過させ,マークは青色の光を透過させています。

 単板など,薄い木材は光を通しますが,今回は連続した木目などで高級感を出すために,光を透過する0.5mm以下の厚さまで木材を彫りこみ,裏側に面状の発光体を張り付ける方法を選択しました。このためには,木材を0.5mm以下の厚さを残して深く彫りこむという特殊で高度な技術と,発熱しない面状の発光体が不可欠でした。

 北海道にはこれらの技術を持つ企業があり,地図などの3次元模型を製作し高度な切削技術を持つ(株)ウェザーコック(札幌市),面状発光体を製造している(株)エルフィン(函館市)と電気回路に詳しい道立工業技術センター(函館市)と連携することで実現できました。これらは木材に大きな付加価値をつけられるため,北海道発の技術として今後の展開が期待できます(写真2)。


写真2 光るロゴとマーク

 3. 前面幕板

 机の前面幕板は,合板の表板(厚さ0.3mm)に樹脂を含侵させて透明度をあげることで,その下に挟み込んだ模様が透けて見えるよう工夫しました。写真3では木目を通して紅葉が見えていますが,このほかにも季節感のある写真や絵などを挟み込んで透かすことが可能です。また,前面幕板は取替え可能な構造となっています。

 4. 脚

 林産試験場では,金属パイプに単板を接着しながら巻きつける木材金属複合パイプの研究をしてきました。木材らしい見た目や感触を生かしながら,細くても十分な強度を確保できるという特徴があります。今回は,断面が長方形のアルミ製角パイプに単板を巻きつけて,机の脚に使用しました(写真4)。


写真3 取り替え可能な幕板       写真4 アルミパイプと木材の複合による脚

 いすの特徴


写真5 わん曲集成材を使用したいす

 いすも机と同様にやわらかくやさしいイメージに仕上げるためにダケカンバを使用し,フレームを曲線で構成することにしました。

 曲線のフレームを実現するためにわん曲集成材を使用しました。このような小断面のわん曲集成材はあまり利用されていませんが,いすの製作においては部材の点数を少なくできるとともに,独特の意匠性が得られました(写真5)。

 小断面のわん曲集成材は今後利用範囲の拡大が期待できることから,現在,簡便な製造技術についての開発を進めています。

 おわりに

 今回,ダケカンバ材を使った道庁記者会見室で知事らが使用する机・いすを製作し,紹介しました。製作にあたっては木の良さをひきだし,林産試験場の技術をPRできるものであることを意識しました。この机・いすを通して,新しい技術と木の良さが融合することによって,新しい木製品の可能性を多くの道民の方々に理解していただけることを期待しています。

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