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林産試だより2006年3月号 「地域に根ざした研究・普及サイクルのシステムづくり」について−研究成果の普及とニーズの把握−

 

「地域に根ざした研究・普及サイクルのシステムづくり」について
−研究成果の普及とニーズの把握−

企画指導部 普及課

 はじめに

 林産試験場,林業試験場では,平成15年度から「地域に根ざした研究・普及サイクルのシステムづくり」事業を展開しています。本事業は,両試験場が支庁林務課や森づくりセンターと連携を図りながら,地域の特性を生かした森林,みどりづくりの技術向上と木材利用の拡大を図るために進めているものです。また,関係企業・団体や一般道民との意見交換を行うことにより,研究成果の効率的な普及や実用化を図るとともに,新たな研究ニーズを探ることを目的としています。
 平成17年度で道内6圏域を一巡したことから,事業の概要と今後の展開について,主に林産試験場の取り組みをご紹介します。

 事業のイメージ

 広大な北海道は,地域によって産業構造がかなり異なっています。また木材関連産業においても,天然林の資源状況,人工林の樹種の違い,外材への依存度,消費地からの遠近など,資源背景や需要構造が地域によって大きく異なっています。このことから試験場の研究成果の普及にあたっては,地域の実情を十分把握しなければ思うように実用化や技術の定着ができません。このため,本事業では研究成果の地域での普及と課題(ニーズ)把握を,次のように進めています(図1)。
 まず,支庁や森づくりセンターから得た地域情報をもとに,試験場の研究成果からその地域に合致する課題を選定し,地域展開を効率的に行うための整理を行います。それを,フォーラム等の技術交流会や現地検討会の開催,企業巡回などをとおして普及を図ります。研究成果がそのまま活用できればよいのですが,実用上の課題や更なる検討項目が明らかになったものについては,新たに研究課題の設定などをして検討を進めます。このようなやりとりを試験場と業界団体や企業の間で行うことで,具体的な成果の活用と定着を目指しています。


図1 「地域に根ざした研究・普及サイクルのシステムづくり」事業イメージ

 取り組みの概要

 第3次北海道長期総合計画の六つの地域生活経済圏ごとに地域性を分けて考え,単年度2圏域を対象として,3年間で全道6圏域すべてにおいて実施してきました。本事業での具体的な取り組み概要を,表1に示します。
 本事業をきっかけとして,受託研究や共同研究に結びついた事例もあります。また,企業巡回では,企業のニーズに応じた研究成果やノウハウを活用した提案を進めており,例えば製材工場での製品整理の合理化を図るための「桟入れ装置」や,強度の高い建築用材を得るために原木段階で強度区分を行う「簡易強度測定装置」の導入に向けて支援を行っているところです。これらの成果の実用化により,製造コストの低減,強度性能を明示した製材品の流通が可能になるなど,業界の体質強化につながるものと期待しています。


写真1 オホーツクの林業・林産業公開プラザ  写真2 網走でのカラマツ住宅現地見学会


写真3 林産試験場の展示       写真4 カラマツ高性能防雪柵

 今後の展開

 刑事ドラマでは,「刑事は現場を百回踏め!」,あるいは「事件は会議室で起きているんじゃない,現場で起きているんだ!」などという台詞(せりふ)を聞きます。卑近な例を挙げましたが,私たちの研究計画の立案や成果の普及にも当てはまるものだと考えています。木材関連産業の現状や,地域や個々の企業が抱えている課題を本当に理解するためには,体感することが大切です。そのためには,足繁(しげ)く現場(現地)に通う必要があるでしょう。
 本事業をとおして,私たちも多くの方々にお会いしご意見を聞く機会を持つことができました。時には製造現場をじっくり拝見し,工場管理をする方との踏み込んだ意見交換を通じて,私たちの成果を使っていただいたり,更に実用化に向けた共同研究などに発展させてきています。これらの新たなテーマは,研究室にこもっていては知ることができないものもあり,新たな発見と出会いが私たちの大きな財産になっています。

 本事業は,平成18年度から二巡目を迎え,企業巡回を重点的に進める予定です。林産試験場では,支庁林務課,森づくりセンターと連携を図りながら,各地で開催される業界団体の総会や勉強会などの機会を捉えてはお邪魔し,研究成果について説明し意見交換をさせていただきたいと考えています。また,企業巡回は研究課題を明らかにしていくための宝箱との意識で,具体的な情報交換や課題の整理を一緒にさせていただき,皆様の課題解決のお手伝いをしていきたいと考えていますので,よろしくご協力をお願いいたします。

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