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林産試だより2006年3月号 林産試験場の道民向け普及活動

 

林産試験場の道民向け普及活動

企画指導部 普及課

 林産試験場は,林産工業に関する試験研究を行い,その成果を普及することで林産工業の興隆を図ることを目的として設置された機関ですが,企業や行政向けの技術的な普及だけでなく,一般道民のみなさんに対しても木材の良さをアピールするために,各種の普及活動を行っています。
 本稿では,毎年夏に開催している「木のグランドフェア」を中心に,この一年間に試験場が主催・参加した主なイベントについて紹介します。

 木のグランドフェア

 林産試験場が主催する最も大きなイベントです。毎年夏休みが始まる7月下旬の土曜日に,オープニングイベント「木になるフェスティバル」で幕を開けます。日ごろ見る機会がない試験場の中に入って工場見学をしていただいたり,各研究部の業務を活かした科学体験コーナーや木を使って遊べるゲームコーナーなど,いろいろなブースを設けて来場者に楽しんでいただけるよう運営しています。また,「木を暮らしに活かす講演会」と題して,木にかかわる仕事をしている方を講師としてお招きし,木を生活に取り入れることの意義や豊かさなどについてご講演をしていただいています。
 今年度のフェスティバルと講演会については,林産試だより2005年9月号で詳しく紹介していますので,そちらをご覧になっていただきたいと思います。

 木のグランドフェアは,他にも「北海道こども木工作品コンクール」,「アート彫刻板作品コンクール」,「特別展示」などで構成しています。

 木工作品コンクールは全道の小中学校から応募される木工工作(個人・団体)と,アート彫刻板という彫ると赤く着色した接着層が模様となって現れる合板を使ったレリーフ作品のコンクールです。毎年全道各地からたくさんの作品が応募され,13回目を迎えた今年は36校から361点の応募がありました。木工工作団体の部では置戸町立勝山小学校4年生の作品(写真1)が最優秀賞(知事賞)を受賞し,木工工作個人の部では美瑛町立北瑛小学校2年の辻川莉紗さん(写真2),レリーフ部門では登別市立鷲別中学校3年の小林愛実さんの作品(写真3)が最優秀賞(知事賞)を受賞しました。


写真1 木工工作団体の部「知事賞」  写真2 木工工作個人の部「知事賞」  写真3 レリーフ作品部門「知事賞」

 これら入賞作品のほかにも子供たちの豊かな表現力が表れている力強い作品が集まりました。毎年コンクール出品に取り組んでいる学校もあり,レベルも年々向上しているように思います。審査委員会では,樹皮付きの材料や小枝を使い,自由な発想で素材を生かした作品が良かったという講評をいただきました。個々の部品だけでは何の意味もない物を,自分の手で組み合わせていくことで一つの作品を作り上げるという作業から,豊かな想像力も育まれるのではないかと思います。

 アート彫刻板作品コンクールは,北海道こども木工作品コンクールと同時開催で行っていますが,こちらは上川支庁管内公民館の生涯学習講座受講生の,御年配の方々を対象にしたアート彫刻板の作品コンクールです。子供たちの力強い作品とは対照的に,細かいところまで丁寧に彫り上げた技巧的な作品が多く見られました。第5回目の今回は東鷹栖公民館の今村美代子さんの作品(写真4)が最優秀賞を受賞しました。アート彫刻板作品コンクールに関しては,公民館の依頼を受けて職員による出張指導も行いましたが,アート彫刻板を使うのはもちろん,彫刻刀を使うのも初めてという方が多く,皆さん試行錯誤しながら熱心に作品づくりに取り組んでいました。こういった活動から,木を使うことの楽しさも感じていただけるのではないかと思います。

 いずれのコンクールも,応募された全作品を約1か月間「木と暮らしの情報館」に展示しました(写真5)。NHKのニュースでとりあげられたことも手伝って,期間中の来場者数は1,000人を超えました。職員一同,来年度もたくさんのすばらしい作品が応募されることを心待ちにしているところです。


写真4 アート彫刻板作品コンクール最優秀賞  写真5 北海道こども木工作品コンクール展


写真6 煙山泰子のKEM展

 特別展示は,「煙山泰子のKEM展」として,木を暮らしに活かす講演会の講師でもあった煙山泰子氏の作品展を行いました(写真6)。煙山氏の作品は,木の素材感が活かされていて,実際に使用することで持ち味が深まっていきます。そのため今回の展示はすべての作品を実際に手にとって木の感触を楽しんでもらえるように設置しました。また,実際に煙山氏が長年使用したものと,新品のものとの風合いの違いを比べるような作品の見せ方もありました。会期中にはたくさんの人に来場していただき,生活の中に木を取り入れることの良さを感じていただくことができたのではないかと思います。

 キッズ・サイエンス・パーク

 北海道内には28の道立試験研究機関がありますが,その業務内容については,一般にはあまり知られていないというのが現状です。そこで道立の試験研究機関が連携してその役割を道民に紹介するとともに,子供たちが創造・体験することで科学に慣れ親しむ機会を提供する,「道立試験研究機関おもしろ祭り」を開催してきました。今年度は札幌市内にある道立以外の研究機関も出展し,「キッズ・サイエンス・パーク」と名称を変えて,札幌ファクトリーで開催しました。

 開催日は8月4日,夏休みも中盤ということでたくさんの子供たちが集まりました。林産試験場からは体験コーナー(写真7)として,ダイヤピースというひし形の木片を組み合わせて雪の結晶の形に作ってみようという工作を用意しましたが,予想以上の人気であっという間に予定分の材料がなくなってしまいました。

 一方,展示ブース(写真8)では,今回のイベントのために製作した「音楽を奏でる木製玩具」を2種類設置したところ,たくさんの子供たちに大人気でした。「どうして同じ木なのに音が変わるのか,どうして木の種類が違うと音が変わるのか」と不思議がる声も上がり,木を使った科学体験としてとても意義があったのではないかと思います。一日中切れ間なく来場者のみなさんに来ていただき,最終的に林産試験場ブースには800名を超える人が集まりました。こういったイベントで子供たちが木に触れることで,北海道が後押ししている「木育(もくいく)」という活動にもつながっていくものと思います。


写真7 キッズ・サイエンス・パーク(体験コーナー)  写真8 キッズ・サイエンス・パーク(展示ブース)

 オホーツク木のフェスティバル

 今年度で20回を数え,毎年恒例となっているイベントです。オホーツク圏の木材業・林業関係者に市町村・道・森林管理局が加わって実施する一大イベントで,今年度は全体で6万人を超える来場者がありました。オホーツク圏の木材・木製品を一堂に集め,同時に木を育てる意義をPRすることで来場者に木との関わりを深めてもらうことを目的としており,地域イベントとして定着しています。林産試験場も後援団体として参加し,出展ブースを設けました。

 今回出展したのは,木材の小片をヤスリで削ってもらい,それにマグネットシールを張り付けるとでき上がる簡単な木製マグネット工作体験です(写真9)。材料にはあえて塗装はせずに素材の質感をそのまま感じてもらえるようにしました。また,今回は5樹種の材料を用意しましたが,材の特徴から樹種を当ててもらうクイズ形式で説明するような対応をし,子供たちが木という材料への興味を持つよう促しました。3日間分として用意した700個の工作材料は,予想通りの大人気で,用意したすべてを使ってもらうことができました。

 工作体験以外にも,ブースには木製玩具を数点置いていつでも遊べるようにしたほか,試験場の研究成果の展示をしました(写真10)。展示に関しても来場者の反応がよく,建築材料関係に関するパネルや試作品にも興味を持っていただけました。北海道知事が開会式のあいさつでも話した「木育」という表現をいち早く展示ブースに取り入れており,来場者に木育の取り組みを知ってもらうことができたのではないかと思います。ブースへの来場者数は3日間で約1,300人を数え,林産試験場を広くアピールすることができたと思います。


写真9 オホーツク木のフェスティバル(体験コーナー)  写真10 オホーツク木のフェスティバル(展示ブース)

 森林(もり)の市

 林産試験場のある旭川市内の木材関係機関では,市民のみなさんに森林や木材の良さを感じていただくため,森林の市というイベントを毎年開催しています。林産試験場もこのイベントに共催機関として参加しており,子供向けの簡単な工作体験を行っています。今年度は,トドマツの板5枚を合わせて釘を打ち付けるだけという簡単な作業で出来上がる素敵なペン立てを100セット用意しました。雨模様の天気にもかかわらず途切れなく子供たちが訪れ,予定よりもだいぶ早く材料が底をついてしまいました(写真11,12)。隣のブースで行っていた端材を使った工作コンテストやウッドコースター作りも,常にたくさんの子供たちでにぎわっており,木を使った工作の人気の高さを感じました。


写真11,12 森林の市(工作体験)

 北海道植樹祭

 北海道では昭和25年から,緑豊かな住みよい環境づくりと緑化思想の普及啓発などを目的として毎年植樹祭を開催してきました。昨年度からは,平成19年度に苫小牧市で開催される予定の第58回全国植樹祭に向けて,全道の森づくりに対する気運を盛り上げるため,規模を拡大して開催しています。

 今年度は渡島支庁の大野町で,2,000人を超える参加者がブナやミズナラ,サクラなどの苗木を植樹しました。会場はあいにくの雨模様でしたが,たくさんのボランティアや小中学生を含む参加者で活気に満ちていました(写真13)。催事会場の八郎沼公園では林産試験場の研究内容の紹介や顕微鏡で木材組織観察,針葉樹材から採った精油の香り体験などを用意しました(写真14)。特に顕微鏡観察に人気が集まっていましたが,普段なかなか見ることができない木の中の水の通り道などを見て,大人も子供も驚きの声を上げていました。


写真13 北海道植樹祭(植樹会場)   写真14 北海道植樹祭(催事会場)

 あーときっずwinter

 あーときっずは北海道立旭川美術館が毎年夏と冬の2回行っているもので,林産試験場は冬の方に主催として加わっています。地域の子供たちを集め,保護者と一緒に午前は芸術鑑賞,午後に工作体験を行うというかたちで開催しています。

 前回は板とテグスを組み合わせてオリジナルギターを作ろうという企画でした。部材を釘打ちで組み合わせていき,各自でデザインした表面板を張り付けます。そしてテグスで弦を張ったら,世界に一つだけのオリジナルギターが出来上がるというもので,子供たちは自分だけのかっこいいギターにとても満足そうでした(写真15,16)。


写真15,16 あーときっずwinter

 これらは林産試験場が毎年実施したり参加しているイベントですが,その他にも,適宜道内各地で行われているイベントに職員を派遣したり,木工道具や木のおもちゃを貸し出したりしています。

 もちろん林産試験場として重要な業務である研究成果の普及や,経験・技術を道民に還元するための企業等への技術支援活動も道内各地で積極的に行っています。道立試験研究機関として,北海道の木材産業がより活発になり,道民のみなさまがもっと木と親しみあえるように業務を進めていきたいと考えています。

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