Q&A 先月の技術相談から
A:含水率の変化による木材の収縮,膨張は細胞壁内の水分子(結合水)が出入りすることによって起こります。細胞内腔や細胞間げきに存在する水(自由水)は寸法の変化には関係しません。つまり,生材からの乾燥を考えた場合,一般的には木材は含水率が繊維飽和点(約30%)より低くなると,収縮が始まります(図1)。
木材はその構造上,方向によって収縮の割合が異なります(図2)。
木材の繊維方向,半径方向,接線方向の収縮率の比をとると,一般的に0.5〜1:5:10といわれています。
収縮率は,基準となる木材の含水率や寸法によって次の3種類に分けられています。
(1)気乾収縮率
生材から気乾状態(含水率15%)になったときの収縮量の割合です。基準は生材時の幅(長さ)です。
(2)全収縮率
生材から全乾状態にしたときの収縮量の割合です。基準は同様に生材時です。
(3)平均収縮率
含水率15%時の幅(長さ)を基準に,含水率が1%変化したときの収縮量の割合です。
これらは以下の式によりそれぞれ計算します。
乾燥による目減り分は,収縮率と,予定する仕上げ寸法から推測できますが,製材の際には,さらに狂いや仕上げの削りしろなどを考慮して寸法を決める必要があります。
1)寺澤眞:“木材の人工乾燥”,(社)日本木材加工協会,16-20(1976).