本文へ移動
林産試だより2006年4月号 特集「共同研究しませんか」 共同研究事例:カラマツ由来の資源の用途開発

 ●特集『共同研究しませんか』 共同研究事例

カラマツ由来の資源の用途開発

利用部 化学加工科 本間 千晶

平成12~13年度:カラマツ由来の資源の有効利用に関する研究
平成14年度:カラマツ由来の資源の高付加価値化に関する研究

 カラマツは北海道の人工林面積のおよそ30%を占めており,約93,453千m3(平成16年度)と豊富な蓄積を持っています。しかしながら間伐材はもとより中・大径木でさえ安価な輸入材に押され,価格が低迷しているのが現状です。

 一方,カラマツ心材中にはアラビノガラクタン,タキシホリンといった他の樹種にはほとんどみられない有用成分が多量に含まれます。アラビノガラクタンは機能性多糖として,水分保持,乳化安定,氷晶防止といった性質が知られていますが,ダイエット食品としての食品分野,工業用原料等としての化学加工分野の用途には,輸入品が使用されています。また,タキシホリンは,抗酸化能,紫外線吸収能,活性酸素除去能等を有することが報告されており,食品分野,化粧品等での利用展開が考えられます。

 これらの資源を効率的に抽出し,用途を広げることで,カラマツの付加価値も高まるものと期待されることから,林産試験場では平成7年度よりこれらの成分の用途開発について検討を始めました。

 さらに平成12~14年度の3年間,糖鎖工学の応用・実用化に取り組む(株)生物有機化学研究所(札幌市)と共同研究を行い,カラマツの原材料の供給体制,アラビノガラクタンとタキシホリンの工業的抽出方法,タキシホリンの高付加価値化と用途開発について検討しました。

 有用成分を効率的に抽出するためには,カラマツを粉末状にする必要があり,粉体としての原料を確保する必要があります。畜産が盛んでカラマツ製材量も多い十勝・網走地方では,近年の敷料不足から敷料としてのおが粉の需要が高まっており,おが粉の製造工場数や生産量の増大が見込まれています。畜産と豊富な森林資源という北海道ならではの関係が,抽出原料の入手を考える上で有利な状況をもたらしてくれたといえます。

 これらの検討をきっかけとして,(株)生物有機化学研究所においてカラマツの有用成分を利用した化粧石鹸(せっけん)「唐松石鹸」や化粧入浴料「唐松風呂」が開発・商品化されました。私たちの身近にある森林資源の特徴・性質を活かした,北海道発の技術・商品としてさらなる発展が期待されます。


 化粧石鹸「唐松石鹸」および化粧入浴料「唐松風呂」について

(株)生物有機化学研究所


 商品開発の経緯

 弊社は,北海道大学,北海道立林産試験場などと北海道産カラマツの有効利用に関する研究を進めてまいりました。特に林産試験場とは,カラマツ中に含まれる有用成分の抽出とその利用に関して様々な取り組みを行ってきました。

 その過程で,弊社ではカラマツの持つ機能性のうち,保湿性や抗酸化性など化粧品原料として利用できる性質に着目し,カラマツの成分を化粧品の原料に利用するための検討を進めました。その結果,カラマツ中に含まれる保湿成分および抗酸化成分を簡易な方法で効率的に抽出する方法を開発し(特許第3751630号),この技術により得られる「カラマツ幹エキス」を機能性成分とする化粧石鹸「唐松石鹸」および「唐松風呂」を商品化しました。

 商品の特徴

 化粧石鹸「唐松石鹸」および「唐松風呂」(写真1)には,北海道産カラマツから抽出した「カラマツ幹エキス」が配合されております。この「カラマツ幹エキス」には,保湿性を高める多糖類(アラビノガラクタンなど),および抗菌・抗酸化力を有するポリフェノール類(タキシホリンなど)が多く含まれております。

 また,アルコールなどの化学合成品は一切使用せず,香料,着色料も添加しておりませんので,肌にやさしく,環境にも配慮した商品です。


写真1 『唐松石鹸』および『唐松風呂』

 カラマツ幹エキスの機能性

 次に,「カラマツ幹エキス」の機能性について弊社が実施しました試験結果の一部をご紹介いたします。

『カラマツ幹エキスの抗酸化力』

 抗酸化物質は,体内で発生する活性酸素などを無害化し,肌の老化や,しみ・そばかすなどの発生を抑制することができます。カラマツ幹エキス中に含まれるポリフェノール(主成分のタキシホリンはエキス中に5%程度含有)の抗酸化力は,代表的な抗酸化物質であるカテキンと比較して同程度であることがわかりました(図1



図1 カラマツ幹エキスの抗酸化力

『カラマツ幹エキスの保湿力』

 「カラマツ幹エキス」には,アラビノガラクタンと呼ばれる多糖が多く含まれています。そのため,「カラマツ幹エキス」は保湿性に優れており,他の市販石鹸等と比較すると,使用後の肌からの水分蒸発を抑えることができ,乾燥を抑制することがわかりました(図2)。



図2 カラマツ幹エキスの保湿力

 このように,「カラマツ幹エキス」には,抗酸化性,保湿性をはじめとして,抗菌性,角質除去効果,美白効果など多くの化粧品原料としての機能性があることがわかっています。

 終わりに

 「唐松石鹸」は「北海道女将(おかみ)の会」(道内温泉60施設が加盟)の推奨品に認定されています。今後,北海道の特色を活かした北海道独自の物産品として広く商品販売を進めていきたいと考えております。また,新たな商品開発も進めており,いずれは本商品の販売を通じて北海道内のカラマツ林の保全にも貢献できるように努めていきたいと考えております。

【問い合わせ先】
 ご質問などは下記までお願い申し上げます。
 〒004-0814
  札幌市清田区美しが丘4条9丁目2-1
  株式会社 生物有機化学研究所(担当:本間)
  TEL:011-888-8555  FAX:001-888-8558
  e-mail:cbi1@cbi.co.jp

前のページへ|次のページへ