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林産試だより2006年4月号 特集「共同研究しませんか」 共同研究事例:木材乾燥における自動制御システムの開発

 ●特集『共同研究しませんか』 共同研究事例

木材乾燥における自動制御システムの開発

技術部 製材乾燥科 中嶌 厚

昭和60~62年度:木材乾燥のマイコンによる自動化
平成14年度:高温乾燥対応の蒸気式乾燥装置自動制御システムの開発

 はじめに

 木材の蒸気式乾燥で用いられている一般的な操作方法は,乾燥室内の温湿度を含水率経過を把握しながら変化させるものと,あらかじめ設定した時間で変化させるものの二つがあります。前者を含水率スケジュール,後者をタイムスケジュールと呼んでおり,広葉樹工場は前者,針葉樹工場では後者を採用するケースが多いようです。

 いずれも対象製材にとって適当な乾燥スケジュールを乾燥前に作成し,それにしたがって温度調節計を手動で調整して温湿度の変更を行います。しかし,樹種や製材の大きさ,初期含水率に適合するスケジュールを作成するためには,乾燥に関する知識とともに経験に基づく適切な判断が求められ,一般に容易なことではありません。また,乾燥装置は連続稼動が原則なので,夜間や休日の管理業務は担当者にとって大きな負担となります。そこで,これらに対処することを目的に株式会社デックシステム(旭川市)と共同で,以下の二つの自動制御システムを開発しました。

 自動制御システムの概要

1.含水率スケジュールの自動化(昭和60~62年)

 乾燥操作を自動化する試みは,以前から行われていましたが,実用的な含水率センサーの開発に至らず現場には普及していませんでした。共同研究では,この含水率センサーの開発に重点を置き,最終的には乾燥室内の温湿度変化にも影響を受けず安定して製材重量を検出することのできるロードセルを用いた含水率センサーを開発しました(特許 平成7年1月取得,写真1)。また,温湿度制御方法は従来のステップ変化(5℃単位)ではなく,リアルタイムで得られる含水率に応じて0.1℃単位で連続変化させるので,乾燥材の品質向上や乾燥時間の短縮が期待できます。自動制御コントローラー(写真2)には,温度と湿度別に様々なスケジュールが記憶されており,これを組み合わせることによってどんな樹種にも対応できます。乾燥前に樹種や材厚,含水率などの初期設定を行えば,自動的に乾燥スケジュールが選択され,含水率経過にしたがって自動操作されます。なお,コントローラー1台で乾燥装置20室まで制御可能です。


写真1 ロードセルを用いた含水率センサー       写真2 自動制御コントローラー

2.タイムスケジュールの自動化(平成14年)

 樹種,材厚,含水率,温湿度条件が分かれば,乾燥速度(=処理時間)がある程度予想できます。そこで,様々な材種,温度条件によって乾燥試験を行い,処理時間を推定するタイムスケジュール作成ソフトを作りました。

 この際,温度条件は材種(材厚,材幅,木取り)別に中温(80℃以下)と高温(100℃以上),両者の中間に位置づけた中高温の三つの条件から選択できる方法を取りました。すなわち,乾燥材の用途とコストに見合う温度条件を担当者自らが判断します。

 本システムには,初期設定後にタイムスケジュールを自動表示させるほか,オリジナルスケジュールの作成,また変更があるまで定値制御を行わせる三つの操作方法が用意されています。当初はトドマツのみが対象となっていましたが,現在はカラマツも追加対応しています。

 利用状況と今後

 含水率スケジュールの自動制御システムは,40数社の民間工場に導入されました。また,タイムスケジュールの導入は今のところ1社ですが,スケジュール作成ソフトはこれまで数社に配布しました。

 なお,含水率スケジュールの制御システムは,導入されてから約20年近く経過していることから,平成18年度にシステムの刷新をはかる予定です。

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