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林産試だより2006年4月号 特集「共同研究しませんか」 共同研究事例:食品機能性の高いタモギタケの開発

 ●特集『共同研究しませんか』 共同研究事例

食品機能性の高いタモギタケの開発

きのこ部 生産技術科 原田 陽

平成15~16年度:食品機能性の高いタモギタケの開発

 共同研究の経緯

 タモギタケは国内生産量の8割程度が道内で生産されている,北海道地域に特化した作目です。空知地方の南幌町にある(株)スリービーでは,会社設立時から林産試験場開発品種を使っていましたが,平成7年頃からは開発品種「エルム・マッシュ北菌2号」を使いタモギタケの生鮮品の生産事業のみならず,販路の拡大を目指した流通性を考慮して水煮やエキス製品を始めとする種々の加工事業を展開していました。

 同社では,併せてタモギタケ由来の健康機能に着目した商品開発を進めており,美味しさや機能性を兼ね備えたより良い製品作りを行うことにより,タモギタケのさらなる知名度アップを図りたいと考えていました。そのためには,市場や店頭で高い評価を得るような生鮮品の生産や,規模の大きい工場でも作りやすい品種が必要と考えていました。また,実大生産規模の栽培試験や基本的な健康機能に関わる評価が可能でした。

 一方,当場では,品種改良および栽培技術に関する豊富な蓄積があると同時に,平成13年から食味性向上技術等についての検討を行い,食味や機能性の評価方法に関する技術を蓄積しつつある段階でした。このようなことから,両者の開発力を併せて,共同研究をすることにしました。

 これまでの当場における品種開発では,当場で実施する小規模栽培試験の評価を基に品種を選抜してきました。しかし,今回のような共同開発を行うことで,より多い候補品種について,実大生産施設で栽培試験を行うことが可能になり,より生産現場に適応した品種を選ぶことや,開発のスピード化が可能になりました。

 研究内容

 過去に実施してきた品種選抜では,栽培試験における子実体収量やその形質といった生産性の評価を主に行ってきました。本研究では,食味や生体調節機能に関する評価を導入した新品種の選抜と育成を行うことにより,食品機能性の高いタモギタケの生産システムを開発することを目的としました。ここでは,以下の項目を柱として,共同研究を進めました。

 林産試験場担当:

1. 小規模栽培施設における品種の選抜
2. 選抜品種の食品機能性評価

 (株)スリービー担当:

1. 生産施設における品種の選抜
2. 選抜品種の食品機能性評価
3. 新品種の生産性および加工適性評価

 食品機能性としては,旨味に関わる成分(アミノ酸,核酸系呈味成分)の分析評価(林産試担当)や,健康機能に関わるin vitro(試験管内)の評価((株)スリービー担当)を行いました。

 成果

 共同研究の成果として,実生産に適応した優良な品種が得られました。共同開発品種は「エルムマッシュ291」(写真)として,種苗法による品種登録申請を平成17年に行いました。当品種は,実際に同社工場で試験的に生産に使用され,種々の製品(写真)に利用される予定です。生鮮品は,市場や店頭で高い評価が得られていることから出荷がかなり増え,年間数億円の売り上げが見込まれています。

写真 新品種「エルムマッシュ291」の生産の様子と種々の製品:発生の様子,生鮮品,水煮,健康食品エキス,動物用サプリメントのエキス,ごはんの素

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