Q&A 先月の技術相談から
A:当場には,使用料を負担し,作業員(ボード製造の場合は通常4人程度)を派遣して頂ければ設備をお貸しする「設備使用」という制度があります。ただし,使用後の原状回復および一般業務で機械を使用していないときの利用が前提となります。このため,万一使用設備に損傷を生じた場合は使用者側の責任で原状回復をお願いします。また,年度末(12~3月)は一般業務の使用頻度が高いため,設備使用への対応が難しいことをご理解下さい。その他の期間も一か月前までにはご連絡を頂き日程調整を行うことになります(一般業務との関係から,1団体あたり連続使用は3日間以内,年度内2回まででお願いしています)。なお,ボード製造設備の場合,各機械には当場職員がオペレータとして付きます。また,原料チップ,接着剤,接着剤噴霧の際のスプレーガン,プレスの際のコール板,離型シート等消耗品類は使用者側に用意して頂くこととなります。
プレスは,㈱山本鉄工所製で総圧力1,200ton,熱盤寸法2,100×1,100mm,熱盤間隔500mm,最高温度180℃,厚さ制御・圧力制御が可能です。パーティクルボード(比重0.65~0.70)製造時の最大圧力は面圧5~6MPa程度となります。
作業の概要は,パルプチップをフレーカー(写真1)で粉砕し,ダストを除く分級,乾燥までで3日程度の作業,乾燥済みのパーティクル(写真2)に接着剤噴霧,マット状に堆積(たいせき)させるフォーミング,プレス(写真3)で3日程度の作業となります。
写真1 フレーカー 写真2 パーティクル
写真3 大型ホットプレス
乾燥済みのパーティクルが既に用意されている場合は後半部分の作業のみでできます。後半部分の作業では,乾燥済みチップの含水率が特に重要です。一般的に含水率5%以上のチップに接着剤を添加するとプレス前の堆積したマットの含水率が15%以上となり,プレスの解圧時にパンクという爆発現象を生じ,製品ボードを得られないばかりか作業を行う上で大変危険です。このため,チップは使用前1週間以内に含水率2%以下(ほぼ全乾)に乾燥させ,厚手のビニール袋に入れて空気を抜き十分な密閉状態としたものを用意して下さい。なお,密度が均質な製品価値のあるボードを試作するためには,ある程度丁寧な作業が必要となるため,3日で5枚程度の試作が可能と考えて下さい。