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林産試だより2006年5月号 特集「平成17年度 研究成果発表会」 保存処理木材中の有効成分の分析方法

 ●特集『平成17年度 研究成果発表会』

保存処理木材中の有効成分の分析方法

性能部耐朽性能科 宮内 輝久

 研究の背景・目的

 日本農林規格(JAS)や優良木質建材等認証制度(AQ)では,保存処理木材(防腐防蟻処理)中の有効成分量が使用環境に応じて規定されています。これは,処理木材中に含まれる有効成分の量により保存処理の効果が異なり,また,腐朽菌や白蟻等による被害の危険性が使用環境によって異なるためです。よって,保存処理木材の認証試験や品質管理において,木材中の有効成分量をより正確にかつ効率的に分析する方法が必要です。
 木材中の有効成分を分析する場合,木材に本来含まれる成分が分析を妨害する可能性があります。JASやAQでは有効成分の分析方法についても提示していますが,これは一部の樹種を用いて開発されたもので,すべての樹種に対応できる方法とはいえません。そこで,本研究ではいくつかの道産材を用いた検討を行い,有効成分の分析時に起こる妨害を確認するとともに,その除去方法について検討しました。


 研究の内容・成果

 本研究ではスギ,カラマツ,トドマツ,エゾマツおよびベイツガの心材を使用し,現在,加圧注入用として主に用いられている木材保存剤の有効成分である,1.シプロコナゾール,2.テブコナゾールおよび3.塩化ベンザルコニウムの分析方法について検討しました。
 検討の結果,ベイツガ以外の樹種では,木材成分による分析の妨害が確認されました。そこで,この妨害を除去するため,固相抽出法を用いた方法を開発し,より正確で効率のよい分析方法を確立しました。

図 保存処理木材中の有効成分の分析方法


 今後の展開

 開発した試験方法を(社)日本木材保存協会や(財)日本住宅・木材技術センター等の関連機関に紹介し,JASやAQ認証に係る試験方法として採択されるよう働きかけています。
 これまでに,今回対象としなかった成分を有効成分とする多くの木材保存剤が開発されています。保存処理木材の性能や信頼性を向上させるため,今回対象としなかった有効成分についても,木材成分による妨害を受けることのない,より正確で効率的な分析方法を確立していきたいと考えています。

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